【オススメ】EMMANUELLE MAISONNEUVE、JULIA PAVLOWITCH、高浜寛 /エマは星の夢を見る


エマは星の夢を見る (モーニングコミックス)

■【オススメ】なんだこれは。予備知識なしに読んで、一体なんなのだろう?と。 何も全く知らずに読んだほうが面白いと思うのだが、まぁ、 レビューしないわけにはいかないので・・・。

友人の誕生日パーティにやってくる女性、エマ。彼女はプレゼントとしてオリーブオイルの詰め合わせ を持ってくる。それを誕生日の友人は大歓迎。周りの人たちも、何をもらったのか興味津々。 エマは味覚と知識に全幅の信頼を置かれているグルマン。そんな彼女は、 応募したある仕事の返事をずっと待っていた。


本作の星は、ミシュラングルメガイドのそれ。彼女は調査員のポストに空きができたとして 職を打診され、試験を受けることになる。なるほど、そんな話なのか。 が、絵が、カラーのものをモノクロ化したようなタッチで、しかもそれが全ページ にわたって続くので、なんでこんな変な本にしたのだろう?と違和感を覚える。 ただしそれは、色付きならもっとカルトになったのに、という残念さである。


試験を受けたり指導を受ける調査員は癖があり独特。とはいえ勿論これはミシュランを非難したり 批判したりするものではない。本当は様々な調査員を描いてくれたほうが より面白くなった気もするが、主人公の成長譚というのが本筋だろうから、 一人で行動する彼女の孤独というところに話はシフトしていってしまう。


で、途中から話がよくわからなくなる。彼女が昔から憧れていた夢の国へ出張する。 そう、それは日本。実在の店が登場し、あれ?これって実在グルメマンガの 類というか寧ろ真打ちだったのか?と混乱してくる。そして和食を嗜んだエマは、 フランス本国に戻ったところで食べた料理の味を重ったるく感じ始める。 ・・・ん、何が描きたいんだ、この話・・・。


話は結局、彼女の成長譚という本筋に戻る。が、本作品は一巻表示がない。 つまり、この一冊で読み切り、一巻完結本である。え、ここで終わりかい、と。 しかも尺足らずの割に、余計なエピソードが挿入されている。この内容であれば、 恋人の話はばっさりすべて要らないだろう。女性が調査員になるのは 大変、という今だと性差別と言われそうな内容も違和感がある。そもそも女性の調査員が 珍しいのであれば、調査員を名乗って店に行ったらそれこそ目立つので、 名前を隠したところで意味が無いのでは、と基本的なところも気になってくる。


日本へ行ったのは物語構成上のサービスなのだろうけれど、おかげで余計な情報が 入り込み、尺を奪ったために、その前後にしわ寄せが行った。 もっとフランスにフォーカスしてよかったのに。ただ、こういう構成になってしまった理由は、 何となくわかる。原作者自身を投影しているからなのだろう。 原作者自身の新人の頃をそのまま主人公に埋め込んでしまったので、 今の目から見るとおかしかったり全体のバランスから見ると不要な要素が 入り込んでしまっているのではないか。


しかし、そうした、普通のプロなら取り除く余計な要素があるにも関わらず、 中途半端な話であるにも関わらず、これは、面白かった。 やりとりのテンポが良い。作画家さんの画面構成が見事なのもあるが、 主人公の心の声を文字にしつつ、それが邪魔にならず意味があるものになっている という話はそうはない。そうか、ミステリーショッパーものは、モノローグが似合うんだな。 逆にいえば、彼女の心の声を描いてしまうがゆえに、彼女にどっぷり入り込んで 話を描くほかなくなってしまい、物語は神の視点を失った。それは、 本作が彼女の物語だから致し方ないというか当然である。一方で、 プロの調査員の話ももっと読みたかったという思いもある。要するに、続きが読みたい、 ということであり、つまりは、くせになっている。そんな作品である。まぁ、 面白くて変なマンガでした。


【データ】
高浜寛 (たかはまかん)、原作=EMMANUELLE MAISONNEUVE/JULIA PAVLOWITCH
エマは星の夢を見る
【発行元/発売元】講談社 (2017/6/23) 【レーベル】モーニングKC 【発行日】2017(平成29)年6月1日発行 ※電子版で購入
■評価→ A(絶品)
■購入:
amazon→ エマは星の夢を見る (モーニングコミックス)

舞台はフランス。フードライターのエマは、ミシュランガイドの調査員になるという子供の頃からの夢を諦めきれず、ミシュラン本社に履歴書を送付する。9ヵ月後、調査員のポストに空きができたという連絡を受け――。元ミシュランガイド調査員の実体験を漫画化。知られざる彼らの日常とは?


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【オススメ】 中川海二/ROUTE END


ROUTE END 1 (ジャンプコミックス)

■【オススメ】「特殊清掃業」を描いた話は前例がないでもないが、 サスペンス・ミステリーの中に溶け込ませた本作は異色。

主人公は10歳で母親を自殺で亡くした。「十歳の俺は母の生きる理由にはなれなかった」 という思いと後悔と怒りで、彼は生きてきた。死にたい、でも自殺はしない。 そんな彼が生きる理由として縋ったのが、死体の出た部屋の後処理を行う特殊清掃業 のしごとだった。


主人公が現場処理をするなか、近隣では連続殺人事件が起こっていた。 死体をバラバラにして「END」と描く手口。それは世間で報道もされており、 その現場の処理は彼の会社でも行っていた。


そして主人公が世話になってきた尊敬すべき社長が、 この事件に関与しているような展開となり、 両者が交わっていく。事件に関わる 刑事は弟を亡くしたばかりで、その亡くした弟の部屋を処理したのは主人公の会社で、 主人公はそこに住んでいる、といった設定もあり、 絡み合った構成は読み手を作品世界に引き込んでいく。


特殊清掃や遺品処理では 【オススメ】 富田安紀子/Re:Life−リライフ− 【オススメ】 きたがわ翔/デス・スウィーパー といった作品があったが、特殊な職業に寄り添って展開しているこの2作も佳作だが、本作の場合は職業を描くことだけに重点があるわけではない。そこが一歩先を行くところで本作の志は高く、それがスピーディに綴られていくので読みても一気に引っ張られていく。


早い展開はただし痛し痒しで、一巻巻末では怒涛の展開に。それは早くないか? じっくり読ませてくれる作品かと思っていたのだが、これは短期集中決戦型なのか。


著者は中川貴賀氏の別名義であるらしい。「 リメインバッド 」は素晴らしい作品でした。お読みの方は本作も気にいると思うので是非。 ところで アマゾンで一件低評価なレビューを見たが、単行本読めば意味がわかるはずのそれこそ「思慮に浅く非常識」な意見だったのでああいうのが掲載されるのが集合知の弱点といいましょうか。


【データ】
中川海二 (なかがわかいじ)
ROUTE END(ルートエンド)
【発行元/発売元】集英社 (2017/6/2) 【レーベル】ジャンプコミックス 【発行日】2017(平成29)年発行 ※電子版で購入
■評価→ A(絶品) ■続刊購入する?→★★★★★
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amazon→ ROUTE END 1 (ジャンプコミックス)
人の死が日常的となる職業、“特殊清掃業"を生業とする青年・春野。彼が近隣で続発する連続猟奇殺人事件、「END事件」に足を踏み入れて…。生と死の在り方を問うサイコ・サスペンス開幕!!


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中川貴賀/ほしにねがいを
【オススメ】 中川貴賀/リメインバッド

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【オススメ】 鳩也直/何モナイ君タチヘ


何モナイ君タチヘ 第1巻 (あすかコミックスDX)

■【オススメ】 自分の渇望が人間の形となって生まれる、 という設定を更に一捻りした佳作。

朝気づくと自分の腹から何かが生まれた。 明らかに人間の形をしたソレを、放置して 学校に向かう主人公。面倒事はごめん、 平凡でいい、そう思う彼だったが、 帰宅後もそれは家にいた。


・・・何事もなさそうに学校に向かう時点で 大物だなこの主人公、と思うわけだが、 実際に彼はそうで、事故にあい 親を失いつつも、しかしそこで二重災害を 防いだ勇敢な英雄ではあるのだった。 ただそれは彼にとっては忘れたいし 周りには忘れていて欲しい過去である様子。


そうして周りから距離を置きたい彼が、 しかし、彼と同様に何かを生み出してしまった 人々を見つけ、心ならずも巻き込まれる物語である。


他の人は、自身の抑圧している欲求、渇望が 形になって生み出される。 それは本人と、同じように渇望の具現化を 為した人にしか見えない。 そしてその生み出されたものは、 本体である生み出した人を乗っ取ろうとする ある種の悪意を持っている。 ・・・という設定まではまぁよくある。 本作が非凡なのは、そうではない欲望も まま存在するということ。 主人公の具現化された渇望は、他の悪意をもつまでに 育った渇望を喰らう存在でもある。 ちなみに、より非凡な設定は、 主人公以外にも、なんか無害そうで、 存在しつづける渇望もある、という点だろうか。


欲求、というワードでなく渇望という言葉 で表現しているところがこの作品の肝であるかもしれない。 しかし、郊外の話で、 学校の裏サイトで噂がかけめぐるという舞台設定 なのはなかなかにリアル。 表紙のデザイン含めてなかなかチェレンジングな内容だと思います。


【データ】
鳩也直 (はとやなお)
何モナイ君タチヘ
【発行元/発売元】KADOKAWA (2017/5/23) 【レーベル】あすかコミックスDX 【発行日】2017(平成29)年5月24日発行 ※電子版で購入
■評価→ A(絶品) ■続刊購入する?→★★★★★
■購入:
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人の渇望と欲望を抉る化け物“ソレ”と送る奇妙な高校生日記 高校1年、真崎佑。ある朝起きると俺の腹の上にでっかい卵が寄生してて、その卵から化け物(裸の少年)が生まれたんだけど…。どうもソレは、人の強烈な「渇望」にとり憑くらしいんだけど、俺の渇望って何だよ…?


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鳩也直/非現実的ノンフィクション
鳩也直/雛高 救護クラブ
【オススメ】 鳩也直/とある空言、ボクの秘密

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【オススメ】 北川恵海、鈴木有布子/ちょっと今から仕事やめてくる


ちょっと今から仕事やめてくる (MFコミックス フラッパーシリーズ)

■【オススメ】パターン化したものの組み合わせだが、 ファンタジーに逃げないストーリーと、 辛気臭くならない絵との相乗効果で魅力的な一冊に。

主人公はまだ社会人一年生。入社してわかったのは 嘘ばっかりの会社説明会。サービス残業ばかり増え、 上司はパワハラ傾向あり。憂鬱な気持ちでホームの端で、 眠くなってきた、「このまま眠ったらホームに落ちるんだろうか/ そうしたら明日会社に行かなくてすむかな」 そう思ったところで、「ひさしぶりやな」と手を引っ張られた。


小学校以来だな、というその明るい顔をした人物に連れられて 一緒に飲み屋へ。誰だっけ?こんなやつだっけ?と思いつつ、 こんなに笑ったの就職してから初めてかも、というぐらい楽しく、 よくつるむようになる。


基本的に佳作は、小さなエピソードと大きなストーリーの両輪 で展開していく。本作の場合、主人公の働きぶりが一番小さなエピソード、 それを彼の勤める会社の同僚というやや外側の話があり、 その外側に彼に声をかけた人物の話がある。それぞれのパーツは類型的 であるのだが、組み合わせかたというか重層かげんが上手。 彼に声をかけた人物が何者なのか、というところに謎をかけ、 ファンタジーな話なのかと思わせつつ、そこに納得のいく理由をつけて 現実に着地させた仕掛けは見事である。


一方で労働に関する話も現実的なアドバイスが混ざっており面白い。 営業なら「ネクタイの色もっと明るく」 「なにかを説明するとき普段の1.5倍ゆっくり話せ」テレビのまともなニュース番組は これを踏襲しているが、大人は相手の話が理解できなくてももう一回とは 言い出せないから、という説明が素晴らしい。「相手をほめるチャンスがあれば なんでもほめろ」「こっちの話聞いてもらうために相手の話を聞く」などなど。


それで成績が上向きになったあとの会社のブラックぶりは、 サル山の中のことしか考えない猿という感じで、 でもこれって日本の世の中全体で、野党とか宗教とかマスコミとかネットとかで 見かける内部での序列をめぐる足の引っ張り合いに近い。 本作では主人公は決断し、結果的に彼が選ぶのは、ブラック企業云々以前に そういう働き方から遠い場所を切り開く道である。それもそれでブラックな 部分がありそうな職なのだがそれを言い出すときりがない、別に天国として 描かれるわけではないのでツッコむところではないのだろう。


良い対応をしてもらったら自身が別のひとにそうした対応をしていくことで おすそ分けを広げていく、というような思想もよろしく、そしてそれを ことさら強調しない作りに好感がもてた。オススメの一冊である。一巻完結なので コミカライズはだいぶ端折っているのかも。 原作はこちら→ちょっと今から仕事やめてくる (メディアワークス文庫)


【データ】
原作=北川恵海(きたがわえみ)、 著者=鈴木有布子 (すずきゆふこ)
ちょっと今から仕事やめてくる
【発行元/発売元】KADOKAWA / メディアファクトリー (2017/4/22) 【レーベル】MFコミックス フラッパーシリーズ 【発行日】2017(平成29)年4月22日発行 ※電子版で購入
■評価→ A(絶品)
■購入:
amazon→ちょっと今から仕事やめてくる (MFコミックス フラッパーシリーズ)

ブラック企業に勤め心身ともに疲弊した青山は、駅で線路に吸い込まれるように倒れかけたところを、「ヤマモト」と名乗る男に助けられた。元・小学校の同級生という彼の人柄に次第に心を開く青山だが…!?


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【オススメ】 草川為/今日の婚のダイヤ


今日の婚のダイヤ (花とゆめCOMICS)

■【オススメ】可愛さを自覚し生きてきた ヒロインは29歳。結婚したいし理想も高い 彼女は誰と恋をするのか。

ハイスペックな女子であるヒロインだったが、 狙った男は前作で同僚に落とされ、それから5年、 付き合いはしても理想は高く、この人となら、 という人物には巡り合っていない。友人に紹介された 公務員とは二度目のデートで宝くじ売り場に並ぶことになり、 そんな相手は御免こうむると別れるところから話が始まる。


しかしその後出会いはなく、友人からの「あんたいつも理想高すぎ。 結婚したくないの?」とのメッセージが呪いのように付きまとう。 次に彼女が選んだ相手は、まさかの既婚者。理想の結婚を したい彼女には不倫はありえない。一人暮らしもはじめて 吹っ切れた彼女は、今まで自ら出していた可愛さのオーラを抑え、 自然体でいることにする。そんな時、彼女は、また クジの公務員と偶然再会するのだった。


今日の恋のダイヤ 」のレビュー時に触れた続編。電子版がようやく 発売されたのでご紹介。 前作を読んでいたほうが楽しめるが、 ここから読んでも話はわかる。 寧ろ前作から5年後の話である、ということを 飲み込む必要があるので、前作を読んだ後だと戸惑うかもしれない。


前作はきれいな連作短編 オムニバスだったが、本作はその前作で 出てきたふわふわ系女子がまるまる一巻主人公。 その点で前作ほどにかちっとまとまってはいないが、 恋に落ちるだけでなく結婚前から結婚後までを 綴る流れは他にあまり例を見ず、ユニークな作品 となっている。


ただ、結婚から一年後の話は、やや苦しい設定。 不倫してるんじゃないか疑惑を持たせるために 出て来る登場人物が無理やり感がある。とはいえ、 現実には結構ありうる話ではあるのだけれど。 結婚相手はかなり芯がしっかりしているし、 ヒロインもその点ではなかなか頑固なので、 ふらつかない主役にこの手のネタは絡ませづらい。 愛するがゆえの不安、ということをテーマにしたかったのだろうが、 そこはもう少し練り込んで欲しかった。


とはいえ、この作品で描かかれるような時間軸が一冊にまとまった 本は他に読んだ覚えが殆どない。この構成で一冊を仕上げた点 だけでも凄い、と私がこのブログで紹介した作品を すべて【オススメ】としているような著者の信者であることを差し引いても思う。


【データ】
草川為 (くさかわなり)
今日の婚のダイヤ
【発行元/発売元】白泉社 (2016/12/5) 【レーベル】花とゆめコミックス 【発行日】2017(平成29)年3月1日発行 ※電子版で購入
■評価→ A(絶品)
■購入:
amazon→今日の婚のダイヤ (花とゆめCOMICS)

ハイスペック&容姿端麗な豊川のぞみ(29)。結婚を意識するのぞみが惹かれたのは、理想とは違う2つ歳上の久慈栄。通称・クジ男。一緒にいるほど見えてきた、のぞみがダイヤよりも、もっとずっと、欲しかったものは…。この人と結婚していいの!?と悩む、カーストトップ女子の結婚、ここにあり!


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【オススメ】 麻生みこと/アレンとドラン


アレンとドラン(1) (Kissコミックス)

■【オススメ】麻生みこと作品にしてはあんまり 跳ねない題材と主人公?と思いつつ、語り口は巧いので するする読んでいくと、いや、ごめんなさい、 さすがに面白く転がっていくのだった。

主人公は片田舎出身、近所のイオンモール的なものの、 その片隅のヴィレッジヴァンガード的な店で育ち、 大学生になり東京へ。単館系映画を 愛するいまどきの若者では 少数派なサブカル女子に育ってしまった。


SNSで同好の士かと思った相手と映画館で待ち合わせれば、 相手はいい年したオッサン。でも興味をもってくれた相手なので、 と思った自己評価の低い彼女の運命やいかに、というところで 薄い壁した家の隣人が初対面で助け舟を出してくれた。


ということで、隣人であるイケメン男子との話に突入。もちろん、 いきなり恋が始まったりはしない。彼女のほうは映画にしか興味がなく、 コミュニケーション能力が低く、自信もない。 一方の彼もサブカル系には興味がない。が、彼は自分のバイトする バーに彼女を誘う。彼は彼女に興味を持っていた。 人として、というか心理学的研究の対象として。どこにもいない 彼女は、面白い観察相手であるのだった。


オタク系サブカル女子の話なんて面白くなるのかな、著者の作品 にしては珍しく転がらないのでは・・・と思いつつ読んでいたが、 ヒロインと正反対に見える男性をバディ的存在に据えて 漫才のようにやりとりをしていく語り口はやっぱり巧い。 そしてそうこうするうちに、実はタフな彼女が自分をさらけ出しつつ 居場所も見つける、という展開になってきて俄然面白みが増してくる。 そんな人間だと見抜いて彼女に注目していたのが隣人の男性、 という時点で彼はある種の神であり理想の男性であるのだが。


孤高系ゆるキャラ、というヒロインの存在と、 その立ち位置を嬉しがる当人の性格は非常に面白い。 漫画を読む人たちに近いキャラクターな気がするが・・・あ、 そうなると近親憎悪的な発想も出てきそう?


なお面白い作品の常として、巻末のスピンオフおまけ漫画もまた 面白い。


【データ】
麻生みこと (あそうみこと)
アレンとドラン
【発行元/発売元】講談社 【レーベル】 【発行日】2017(平成29)年3月1日発行 ※電子版で購入
■評価→ A(絶品) ■続刊購入する?→★★★★★
■購入:
amazon→アレンとドラン(1) (Kissコミックス)

林田(リンダ)は田舎から大学進学に伴い上京して1年。単館映画などのサブカル好きにとっては、それなりに幸せな日々を送る。ところが、ある日、サブカル女子を食いモノにする物知り風おじさんに襲われそうに…。それを救ってくれたのは隣人・江戸川(エドガー)だった!


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【オススメ】 阿弥陀しずく/からっぽダンス


からっぽダンス 1 (Feelコミックス FC SWING)

■【オススメ】好きになった相手が結婚することを知った不器用な女性が、 年下でストーカー気質の男性と付き合うことになる。

既に完結した作品(からっぽダンス 4 (フィールコミックスFCswing))ですがレビュー漏れだったので今さらですがご紹介。 先輩に呼び出された男性が二人でラーメン屋に、 というところから話が始まる作品は著者が著者だけにBLなのか? と思うわけだが、そうではなく、その店に女性がやってきたことで話が動きはじめる。


先輩は女の子と付き合っても長続きせず振られてばかり。 女心がわからないうえにストーカー気質があるらしい。 ところでそんな彼の職業は、警察官であるという。


一方の女性はクールに見えるがこちらはこの十年ほど 男性とおつきあいもしておらず、いま派遣で勤めている会社 で気になる男性にアプローチしようとしたところで その人が結婚寸前であると知る。しかもそのことは周知のことで 気づかなかったのは自分くらい。そんな彼女に彼はアプローチするのだった。


ああ、失恋直後の人にアプローチするのは正しいよね、と 思いつつ。割れ鍋に綴じ蓋なのか、微妙にすれ違いつつ、 ストレートな物言いをする二人は案外とよいコンビに見える。 加えて彼女はアイドルファン。行きがかり上、 彼女は彼をコンサートに連れて行く、という展開で、 なんだこの話?普通の作劇と全然違うぞ?と思い始める。 このズレ具合が素敵。


オーソドックスな恋愛マンガであれば二人の関係だけに フォーカスしがちだが、そういう話はもう既にありふれている。 そんななかで本作のように 生活のディテールが描きこまれている作品は、 ひと味ちがう面白さを感じさせる。


話の作り方としては狂言回し的に存在する後輩の男性の存在が オカシイというか都合が良すぎるのだけれど、まぁ、それはそれとして。 ドルヲタ話としては ひうらさとる/ホタルノヒカリ SP というのもあるのだけれど、あれはちょっと深いところに行き過ぎて なんだかわからない話になってきているので・・・。物語の展開上、 限界ってのはあるよね・・・。


【データ】
阿弥陀しずく (あみだしずく)
からっぽダンス
【初出情報】FEEL YOUNG(2014年) 【発行元/発売元】祥伝社 (2015/1/24) 【発行日】2015(平成27)年1月24日発行 ※電子版で購入
■評価→ A(絶品) ■続刊購入する?→★★★★★
■購入:
amazon→からっぽダンス 1 (Feelコミックス FC SWING)

久我慎一郎(くがしんいちろう)24歳、警察官。惚れちまったらストーカー。惚れる→追いかけ回す→フラれるの3連コンボを繰り返すストーカー警官・久我が出会ったのは片想いに破れたばかりの美人OL・月島(つきしま)さん。さっそく近づきデートに誘ってみたら、彼女に連れて行かれたのは女だらけの東京ドーム。そして爆音と共に始まったのは男性アイドルのコンサートで──!? ストーカー警官(ポリス)と! ドルオタ残念美人の! じれっじれのラブコメ!! 同時発売ほのぼのBL新定番まんが『こんなはずでは』との連動小話も掲載!



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