上田トシコ/ぼんこちゃん


復刻版 ぼんこちゃん 上田トシコ - その他:honto電子書籍ストア

■今読むとしたら、漫画史の側面からか、 あるいはアート的な見方くらいしかないかもしれない。

第60回(平成26年度)の受賞作が発表された 小学館漫画賞を振り返る、 今回は第5回受賞作品から 、 上田としこ「ぼんこちゃん」。 ちなみに表紙は上田とし子名義、奥付では上田トシコ名義、 小学館漫画賞では上田としこ表記である。


村上もとか/フイチン再見! を今更ながら紹介したのはこちらのエントリに繋げるため、 だったのだが 受賞作の一つである 「フイチンさん 」が 電子版では入手不可能のようなので、 hontoに電子版のあるこちらの作品をご紹介(Kindleでは取り扱いなし)。 しかし、今読むと、昔の漫画だな、という感想しかない。 特に、おてんばな女の子、というだけの漫画であるので、 内容的にどうということはない。


コマ割りも極めてオーソドックス。 今となっては、 漫画史の上で名前のあがる人物の作品なので 目を通しておくのもよかろう、といった お勉強対象の一冊という域を出ない。


ただし、画風は高野文子が影響を受けたとかという話もある。 シンプルな描線は実作者には参考になるかもしれない。 そして、空白の使い方は、画面構成の面で、 アートとして一見の価値はありそう。


この手の昔の漫画を見たことがない人にとっては、 新鮮かもしれない。とはいえ内容的には、 いま読む必要も必然もない。「フイチンさん」 であれば少し違う印象が得られるかもしれないが。



【データ】
上田トシコ (うえだとしこ)
ぼんこちゃん
【発行元/発売元】パインウッドカンパニー 【発行日】2010年1月31日発行 ※電子版で購入
■評価→ 不能
■購入:
honto→復刻版 ぼんこちゃん 上田トシコ - その他:honto電子書籍ストア

日本の少女マンガの黎明期からパイオニアの一人として活躍を続け、名実ともに常に第一人者であり続けた上田トシコさん。今回、その代表作である「フイチンさん」「ぼんこちゃん」「お初ちゃん」のさん作品を初の電子書籍化しました。「作者のことば」ぼんこちゃんは、奔放と無邪気さと個性をうたった、私の啓蒙心もチョッピリふくめた家庭マンガです。あらゆる面にスモッグ汚染されてきている、今の時代に「ぼんこちゃん」から、少しでも清新な空気を感じていただけたら幸いです。(昭和46年9がつ30日発行 虫コミックス単行本より)。「ぼんこちゃん」は、「りぼん」昭和30年9月創刊号〜昭和37年12月号まで連載された作品。主人公である女の子ぼんこちゃんを取り巻く周囲の人々の優しい眼差しが古き良き日本の微笑ましい家族の日常を描いています。昭和35年上田トシコさんは「フイチンさん」「ぼんこちゃん」ほかで第五回小学館漫画賞を受賞しています。上田トシコさんの人生は、波乱万丈でありNHK朝ドラの主人公のようなものでした。ドラマ化もされた医療マンガ「JIN−仁ー」の村上もとかさんの新作は、上田トシコさんをモデルにするという話ですから、少女マンガファンだけでなく自他共に漫画好きを自認する皆さんには必読の書となること間違いなしですね!「正ちゃんの冒険」から始まる日本の少年少女マンガ史90年の歴史の中で最重要作品とも云える「フイチンさん」「ぼんこちゃん」を皆さんも是非この機会にご一読いただけたら幸いです。(漫画研究家本間正幸)


【オススメ】 萩尾望都/ポーの一族

ポーの一族(1) (フラワーコミックス).jpg
ポーの一族(1) (フラワーコミックス)

■【オススメ】バンパネラの一族を描く、大河ドラマ。

旧作レビューを行う 一巻読破クラシックス のコーナー、 今回は 小学館漫画賞 の第21回受賞者・萩尾望都氏の作品で 先に取り上げた 「11人いる!」 と共に対象となった「ポーの一族」を紹介する。


SF作品であった「11人いる!」に対して本作は 1880年ごろ、と設定された第一話に始まる、 過去を舞台にしたファンタジーである。


夫妻と少年少女の4人は、村をあとにする。 土地を移り行くには、理由があった。 彼らはそうして既に100年の時を経ていた。 少年、少女は若い風体のまま、いつまでも成長しない。 聖書や教会、十字架が苦手で、 脈はなく、油断すると鏡にも映らない。 彼らは、吸血鬼、バンパネラなのだった。


彼らの特徴はバンパイアものの典型であり、不死ではあるものの、 クイを打たれれば死に、死ねば灰になる。 聖書や十字架に耐えることも努力次第では可能であるし、 人の精気を吸って生きるものなので血を吸わなくても良い、 という設定ではあるものの、 吸血鬼の造形を変えた作品というわけではない。


一方で、作品はバンパネラ側から見た風景を綴る エピソードを冒頭に据えており、 これは超能力者の苦悩や悲哀を描く類の 嚆矢の一つといえる。 設定の妙は、 子供の姿のままで成長しない人物を主人公に据えた点だろう。 そのために一所にとどまることができず、 何者にもなれない苦悩と、 それゆえ時間を超えて同じ人物が存在する タイムスリップ的なファンタジーとが同居する作品となった。 この、時代を超えて主人公が存在する点で、 SF的な色彩も合わせもったところが、70年代の作品らしさかもしれない。


ただ、ひとつ納得がいかないのは、 主人公のエドガーが、 風体どおりの少年らしい、理屈のわかっていない行動を とって自分たちを窮地に陥れることである。 100年ほど生きてきている割に、 行動が子供っぽいのはいかがなものか、 と思うものの、見た目で読者はなんとなく納得してしまう。 しかしやはり、主人公のその行動で話の展開が引きづられているため、 ちょっとどうにかならなかったのか、と思わなくもない。


【データ】
萩尾望都 (はぎおもと)
ポーの一族
【初出情報】別冊少女コミック 昭和47年12月号、7月号、8月号、3月号 【発行元/発売元】小学館 【レーベル】フラワーコミックス 【発行日】1974年6月1日初版第1刷発行 ※電子版で購入
■評価→ A(絶品)
■購入:
amazon→ポーの一族(1) (フラワーコミックス)

1880年ごろ、とある海辺の街をポーツネル男爵一家が訪れた。ロンドンから来たという彼らのことはすぐに市内で評判になった。男爵夫妻とその子供たち、エドガーとメリーベル兄妹の4人は田舎町には似つかわしくない気品をただよわせていたのだ。彼らを見たものはまるで一枚の完璧な絵を見るような感慨にとらわれた。実は、その美しさは時の流れから外れた魔性の美。彼らは人の生血を吸うバンパネラ「ポーの一族」であった。市の外れに家を借りた一家は、人間のふりをしながら一族に迎え入れるべき者を探し始めた。そして、エドガーが興味をひかれたのが、市で一番の貿易商の子息であるアラン・トワイライトだった…。

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【オススメ】 萩尾望都/11人いる!

【オススメ】 萩尾望都/11人いる!

11人いる! (小学館文庫).jpg
11人いる! (小学館文庫)

■【オススメ】物語の大筋はミステリだが、 今読んでも楽しめるのはSFであるがゆえだろう。

旧作を紹介する一巻読破クラシックスのコーナー、 当面はまもなく発表となるであろう小学館漫画賞の 過去の受賞作から電子書籍で読める作品を取り上げていく。 まずは1975年を対象とした第21回受賞作、萩尾望都「11人いる!」 言わずとしれたSFの名作である。


舞台は宇宙大学の入学試験。 最終試験として十名一組で宇宙船に送り込まれ、 そこで53日間、一人も脱落せずに過ごせれば合格、 という条件のなか共同生活が始まるのだが、 しかし、人数を数えてみると、ひとり多い 11人が船内にいるのだった。


大筋は題名どおりのミステリ。 とはいえ、それは、なるほど、というオチがつく。 シリアスでタイトな事件事故が起こることを考えると その仕掛けはどうか、と思わなくもないが、 宇宙ではどのような事態も起こりうるのだ、 という背景もあってのことなので、 ご都合主義な設定とは言えないだろう。


一方で本作が佳作傑作と言われるのは、 SFの要素ゆえだろう。 主人公の設定を踏まえた背景部分もあるが、 それ以上に作品が劣化しない理由は、 この作品の種族の多様性にある。 様々な人種がおり、そのダイバーシティは今でも新鮮。 皆がちょっとしたことで疑心暗鬼にかられることも、 一方で頑固なまでに信念をもって他人を信じるものがいることも、 ともにリアリティがある。 加えて、フロルという人物の設定は、SFでなければ成立しない。


このフロルが、感情に素直で、表裏なく発言するキャラクターである ことが、作品の肝となっている。そういうちょっとバカな、 空気を読めないがうまい具合に引っ掻き回す人物を、 口は悪いが美形で華がある設定としたところが作品の妙味。 特にこの人物の設計が、よりシリアスな続編でトリックスターとして 生きてくる。


文庫版を電子化した本作にはその続編も収録されている。 戦争をしたくない王だが、結局、開戦目前まで事態が追いやられる、 という話で主人公たちはそこに巻き込まれる形。 戦争を回避したい、と思うだけではダメだ、という苦い話でもある。 戦争をしたらなんとかなるのではないか、それこそが突破口だ、 という思いには、手段としての戦争を否定するだけではなくて、 戦争する目的と同じことを別の平和的な手段で到達できるのだ、 と示さないと意味がないわけだ。


そんなシリアスな話を主人公たち、というか、 フロルの脳天気さが救っている。 そして巻末の、更に脳天気さをパワーアップした ショートショートですっかり口直しをして一巻終了。 一冊の構成としてよく出来たものになっている。 自分が昔読んだときは正編と続編で別々の冊だったような気がしたが・・・ 70年代刊行の本はそういう形態だったので記憶は正しいのか。 本電子書籍は1994年の全一巻化された版が元になっている。


【データ】
萩尾望都 (はぎおもと)
11人いる!<新編集版>
【発行元/発売元】小学館 【レーベル】小学館文庫 【発行日】1994年12月10日初版第1刷発行 ※電子版で購入
■評価→ A(絶品)
■購入:
amazon→11人いる! (小学館文庫)

宇宙大学受験会場、最終テストは外部との接触を絶たれた宇宙船白号で53日間生きのびること。1チームは10人。だが、宇宙船には11人いた! さまざまな星系からそれぞれの文化を背負ってやってきた受験生をあいつぐトラブルが襲う。疑心暗鬼のなかでの反目と友情。11人は果たして合格できるのか? 萩尾望都のSF代表作。


【オススメ】 田村由美/ボクが泥棒になった理由

ボクが泥棒になった理由(ワケ) (フラワーコミックス).jpg
ボクが泥棒になった理由(ワケ) (フラワーコミックス)

■【オススメ】 美人だが意地っ張りな母親に振り回されて、 大変だけれど頑張る幼い少年のお話。

電子版が出ていたので購入。そうか「龍三郎」シリーズは1991年刊行で今から・・・23年前なのか。 絵柄は今風ではないが、そもそも現代的な話ではないので、いま読んでもハンデにはならない。


主人公は かわいい少年なのだけれど話としては彼がかわいらしさを振りまく話ではないので、 デフォルメされて三白眼のような目で描かれる場面が多い。 つまりはそういうコメディである。天真爛漫というかワガママで贅沢グセが抜けない 元女優の母親に振り回される話。


そこに、元ダンナも登場し、 彼が全く異種な人物であるところが このシリーズの肝。ただ、あくまでも龍三郎シリーズなので、 主人公が積極的に動き、彼が事件を引き起こし、かつ 決着もつける。


一瞬弱気にはなるが、そこで、 自分が頑張らないと、と気合を付け直して 踏ん張る主人公が格好いい。 いや、でも、この話は、 男は女に振り回される、って テーマの内容だよな・・・。


【データ】
田村由美 (たむらゆみ)
ボクが泥棒になった理由
【初出情報】デラックス別冊少女コミック 1990年7月30日号、9月30日号、11月30日号、1991年1月30日号 【発行元/発売元】小学館 【レーベル】別コミフラワーコミックス 【発行日】1991年5月20日初版第1刷発行 ※電子版で購入
■評価→ B(佳作) ■続刊購入する?→★★★★★
■購入:
amazon→ボクが泥棒になった理由(ワケ) (フラワーコミックス)
高台にある大きな家に、元女優の美人なママと2人暮らし。お嬢様育ちでわがままなママは贅沢が大好き。でも家にはお金がなく、ママは家の骨董品を売っては贅沢を。そして龍三郎がガールフレンドのリエちゃんからのあずかりものの指輪まで、骨董屋に売ってしまう始末。龍三郎はあわてて取り戻そうとするが、時すでに遅し。腹を立てる龍三郎にママは一言「盗めばいいんじゃない」とドロボウ宣言!不器用なママにはまかせられないと、龍三郎も盗みにいくのだが…!? ●収録作品 ボクが泥棒になった理由/パパが泥棒になった理由/ボクが王様になった理由/ボクが幽霊になった理由

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【オススメ】 冬目景/イエスタデイをうたって

イエスタデイをうたって 1 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL).jpg
イエスタデイをうたって 1 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)

■【オススメ】青年のモラトリアム生活を 気だるげにしかし綺麗に描く。

1999年の旧作ですが電子版を買ったのでご紹介。 危険なモラトリアム作品である。


大学を出たがやりたいことがなく、 コンビニでバイトするフリーター生活を送る青年。 学生時代、恋人未満だった友だちは 非常勤講師の口があり実家のある金沢へ戻っていった。 が、その後すぐ東京の高校に赴任することになり、 彼と再会する。一方で、怪我したカラスをペットにして 肩に乗せて街中を闊歩する少女は彼に気があって アプローチしてくる。


フリーターが美女ふたりの間で揺れ動くという、 夢物語である。貧乏なはずだがその貧乏さも さほど感じさせない描写が綺麗で、これもまた 読者を魅了する麻薬である。


実際のところ青年には出口がない。職につくつもりがなく、 やりたいこともない。彼を好きな少女も明るく屈託がないが、 高校を中退しており、これまた何がやりたいということもない。 一方で彼が惚れている女性のほうは教師の職についているが、 非常勤の身であり、昔好きだったひとが亡くなってしまい、 それ以来、宙ぶらりんな気持ちでいる。みな、袋小路にはまっている。


そんな、モラトリアムを描く物語のなかでも最も凶悪な類の傑作である。 主人公の告白を拒絶しながらも友人としての付き合いは 求める女性は、魔性の女である。・・・現実にも結構いますな・・・。 こういう相手に振り回されたら悲劇、もしくは喜劇である。 そしてこの話は、そういう話である。 時間の止まったなかで展開されるまったりとした話。 物語であるがゆえに綺麗、閉ざされたフィクションであるがゆえに許される 話である。


【データ】
冬目景 (とうめけい)
イエスタデイをうたって
【初出情報】ビジネスジャンプ 平成10年1号〜4号、18号〜22号 【発行元/発売元】集英社 【レーベル】SHUEISHA YOUNG JUMP COMICS 【発行日】初版発行1999年、デジタル版発行2014年 ※電子版で購入
■評価→ B(佳作) ■続刊購入する?→★★★★★
■購入:
amazon→イエスタデイをうたって 1 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)
大学卒業後、コンビニでバイトをする魚住。そんな彼の前に、ある日カラスを連れた少女・ハルが現れた…。 「49%後ろ向きで、51%前向きで…」 へそ曲がりだけれども正直な彼らの心は、舞い落ちる桜のようにゆらゆら揺れて…。

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芳崎せいむ/風のゆくえ 天のめぐり

風のゆくえ 天のめぐり(1).jpg
風のゆくえ 天のめぐり(1)

■考古学者と雑誌記者のバディもの。

テレビの番組で有名になった二枚目の考古学者。 彼が共演した女優といい仲なのではないか、 ということで雑誌記者はそのネタを追うことに。 しかし、考古学者に直撃してみると、 彼は小学生の頃の同級生だった。


という設定なのだが、記者が気づくまでには時間がかかる。 その勿体ぶったところが著者らしいところか。 女優との恋愛ネタが最初に出てきつつも、 この話がぜんぜん膨らまず。 発射用ロケットにしてももう少し・・・と思うのだが、 引っ張り続けてはいるので、何かしら絡ますつもりではあるのだろう。


話は、考古学の面をより深堀りする方向に。 かつて革新的な、斬新な主張をした学者がいたが、 その論は葬り去られてしまった。しかし、物語の主役の一人たる考古学者は、 その論文が掲載された幻の雑誌を追い求める。


とはいえ、学者が長らく追いかけているというのに、 記者が考える手段が極めて幼稚で、本当に雑誌記者か?リサーチ力ないけど大丈夫か? というかパソコン使えないとかいつの時代の話なのか、 と愕然とする。著者の作品にありがちな弱い構成がそのまま表に出てしまったような作品で、 もう少し丁寧に組み立てたらより面白いものになったのでは・・・と思ってしまう。


《以下追記》しかしさすがにこれはオカシイと違和感を覚えまして調べたところ、こちらは2009年小学館クリエイティブから書籍が刊行されており、ということはつまり更に遡って原本があるわけで、1997年の作品であることが判明。1997年なら無理のないお話ですね・・・申し訳ありません。ちなみに、アマゾンで調べて判明しました。なぜなら、本電子書籍には初出情報がないからです。そして奥付部分には2014年4月発行の表示のみ。マルシー表記も2014年です。 《以上追記おわり》


1997年作品。2009年には小学館より再発あり。今回、2014年に電子版刊行。


【データ】
芳崎せいむ (よしざきせいむ)
風のゆくえ 天のめぐり
【発行元/発売元】講談社 【レーベル】Amie講談社コミックス 【発行日】2014(平成26)年4月1日発行 ※電子版で購入
■評価→ C(標準) ■続刊購入する?→★★★
■購入:
amazon→風のゆくえ 天のめぐり(1)
honto→honto - 風のゆくえ 天のめぐり(1) 芳崎せいむ(著) - 少女コミック:電子書籍ストア
eBookJapan→風のゆくえ 天のめぐり 少女コミック 芳崎せいむ - 電子書籍・コミックはeBookJapan
自分はいま、なぜここにいるのか……。ほかのどこでもなく、なぜここなのだろう――? 新進気鋭の考古学者・上月(こうづき)のスキャンダル記事を狙っている雑誌記者の津嘉山(つかやま)。はじめての出会いなのに、なぜだか心ざわめく彼は、勢い、上月の“鏡片探し”の旅に同行することに――。芳崎せいむが贈るネオ考古学ロマン!!

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槇村さとる/ヒロインの条件

ヒロインの条件 (クイーンズコミックスDIGITAL).jpg
ヒロインの条件 (クイーンズコミックスDIGITAL)

■槇村さとるは一巻完結となると寸詰まり感がある。

槇村さとるの長編作品には、独特のグルーヴ感がある。 構成にメリハリがあるのだが、それがパキパキしたものではなくて、 ゆるい流れの連続として表現されるのが特徴である。 何か急にイベントが起きてそれが物語の転機になる、 というのではなく、その前から流れは変わっている。


そういう性質の作品を描く作家なので、 短編ではあまり持ち味が出ない。尺が足らないので、 何か中途半端な、あるいは詰め込みすぎでとっちらかった 印象になる。数巻で終わる作品の場合は、ツマラナイということはないが、 面白く感じるものほど、論点が整理されている。 そのフォーカスされた論点から、話はあまりはみ出さない。 長く続くものの場合は、話がフォーカスされた枠を飛び出して広がっていく のだが、そこまで育たなかった、あるいは枠にはめこんだ場合には、 数巻でまとまる作品となる。


では一巻本の場合はどうか、というと、本作の場合、 短編ほどの不自由さはないものの、 長編ほどの広がりは持ちようがなく、 結果、寸詰まりな感があった。


フィギュアスケートの世界が舞台。 ただし、主人公はトップ選手だったが肝心なところで 失敗した過去を持つコーチ。そのときに、 コーチに見捨てられた、という思いがあって、 恩師とはぎくしゃくしている。 この設定は、スケートを描いた傑作佳作を持つ著者だからこそ 説得力を持つもので読み手は期待する。 が、話は、フィギュアをまったく知らないが スタッフとなっている男性を絡め、どこに向かうのか? と思わせる。さらに、才能ある初心者が入ってきたことで、 話が歪みはじめる。


その子が、昔、主人公のスケートを見てファンとなった、 という設定は良い。が、その後は、その子が主役となり、 主人公や、あるいは恩師の過去を彼女が背負う話となる。 それはさすがに話として歪みすぎているので、 その矯正のために、主役となった子供にしわ寄せがいく。 まぁ、これは妥当な展開であるのだが、 その後の調整は極端。そしていきなり時間が飛んで話を綺麗にまとめて終了。


うん、上手いのだけれども。描きたかったのは、 何だったのだろう。主人公である元選手で現コーチ、30歳のヒロイン の新たな人生、なのだと思うし、実際、そういう内容ではあるのだが、 それが、新しいヒロイン誕生という話にまとめられてしまうと、 うーん、それで良かったのだろうか? と思ってしまう。いや、上手い終わり方なのだ。それは確かなのだが。 良い話だけれど、主役はだれで、論点はどこ?というのがぶれているように見える。 「見捨てない」という話、なんだとは思うので、だからチームが同じママの結末は 綺麗に仕上がってはいるんだけど。


【データ】
槇村さとる (まきむらさとる)
ヒロインの条件
【発行元/発売元】集英社 【レーベル】SHUEISHA QUEEN'S COMICS DIGITAL 【発行日】2006年初版発行、2013年デジタル版発行 ※電子版で購入
■評価→ B(佳作)
■購入:
amazon→ヒロインの条件 (クイーンズコミックスDIGITAL)
honto→honto - ヒロインの条件 槙村さとる (著) クイーンズコミックスDIGITAL - クイーンズコミックス:電子書籍ストア
eBookJapan→ヒロインの条件 少女コミック 槇村さとる - 電子書籍・コミックはeBookJapan

名門クラブでフィギュアのコーチをしているリサ。そんな彼女の前に、ズバ抜けた運動能力と物怖じしない滑りをみせる少女が現れ…。本格派フィギュアスケート・ストーリー!!

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