左藤真通、市丸いろは/将棋指す獣


将棋指す獣 1 (BUNCH COMICS)

■アマチュアからプロの棋士を目指す話は、結局 現実味を持たせようとすると似てきてしまうのが難点か。

アマチュアから誕生した女性初のプロ棋士が 天竜戦なる棋戦で対局をする、という場面から話は始まる。 冒頭でネタばらしをして始める昔の映画風の構成。 個人的には余程のツイストがない限り嫌いなスタイルである。


話はアマチュアタイトルを獲ってプロに挑戦しようという アマ棋士を描くところで、そこに初めて参戦してきた 女性棋士が有力候補を蹴散らしていくという展開。


あれは誰だ、ということになるが、 その女性は当然ながら元奨励会会員。 だったら、誰だ、という程の話ではない。 が、三段に上がったところで退会してしまったという 過去があり、それは何故、というネタを絡めてくる。 しかしそのネタもなんだか微妙な話。まぁ、 これは修正が入ってくるのだろうとは思うが。


結局のところ、アマチュアからプロを目指そうという 棋士の話は、元奨励会員という設定からは逃れられない。 となると挫折をして回り道をした結果がどう プラスに働いているのか、という話にしたほうが良いのだが、 本作はそこを変化球にしているのだが、 あまり上手く効いていない。そもそも女性棋士がアマから プロ入りを狙う、という時点で大ネタなのに、 いろいろいじりすぎな感がある。 鍋倉夫/リボーンの棋士 が出たあとなので、ちょっとお腹いっぱいってのもあるかな。


【データ】
原作=左藤真通、漫画=市丸いろは
将棋指す獣
【発行元/発売元】新潮社 (2018/11/9) ※電子版で購入
■評価→ C(標準) ■続刊購入する?→★★★
■購入:
amazon→ 将棋指す獣 1 (BUNCH COMICS)
弾塚光、女性。元奨励会三段。プロ棋士を目指す。将棋の世界は厳しく、アマチュアからプロに上り詰めた人間はごく僅か。まして女性でプロになった者は皆無……であったが。――将棋ブームの到達点はここにあり! 女性初のプロ棋士誕生ストーリー、満を持して始動!! “ケダモノ”と呼ばれた女性の、清廉なる一手が盤上にいま花開く。


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富沢義彦、ハム梟/レオナルド危機一髪


レオナルド危機一髪(・ザ・ピンチ) 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)

■ガジェット要素を増したルパン三世、という感じか。

主人公はレオナルド・ダ・ビンチの末裔。彼はその先祖の 創造物を受け継いたことで、そのパテント料と名誉を 奪おうとするものから命を狙われる。しかしそうした襲撃を 創造物でもって撃退するのだった。


秘書の女性と、命を狙いに来たが面白いガジェットに目がない 刺客が寝返って味方について繰り広げられる軽快なアクションもの。 ルパン三世っぽいが、こちらは別に盗みに行くわけではなく、 むしろ命を狙われる側ということで比較的受け身。 一方で発明家の末裔ということでガジェットは盛りだくさん。


面白そうな雰囲気はあるのだが、 本気で命を狙う話はいくら軽やかに描いても物騒ではあり、 しかもそれが名声の奪取が目的というのもなんだかなぁ、と 無理さを感じてしまう。「ルパン三世」は偉大だ。


【データ】
原作=富沢義彦 、漫画=ハム梟
レオナルド危機一髪(レオナルド・ザ・ピンチ)
【発行元/発売元】集英社 (2018/11/2) ※電子版で購入
■評価→ C(標準) ■続刊購入する?→★★★
■購入:
amazon→ レオナルド危機一髪(・ザ・ピンチ) 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)
あのダ・ビンチの末裔レオナルドは、ある理由から世界中の企業から命を狙われている。中でも最大の敵は企業王プロメテウスのビクター。襲ってくる刺客を天才的発明品で迎え撃つレオナルドの痛快グローバル大活劇がここに始まる!!


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粟国翼、猫井ヤスユキ/過去のあなたを誘拐しました


過去のあなたを誘拐しました 1 (ジャンプコミックス)

■残虐ものと不条理もの。勧善懲悪系の内容をひっくり返そうとしたアイディアはわからないではないが、読み味は悪い。

ある人物のケータイに届く通知。過去のあなたを誘拐しました、という件名に、いたずらと思い放置したところ、身体に異変が。自身の犯した罪を懺悔しないとペナルティが遂行されるという。結果、彼は指を、足を、歯を失い、そして死に至るのだった。


そんなプロローグの後、描かれるのはそのまさに最初のエピソードで裁かれた人物が起こした事件の裁判の報道をテレビで目にする少年。事情があり実家を出ている彼は、年上の女性と同居している。彼女は薬を常用しないと問題があるらしい。そんな二人が拉致される。そして監禁されるのだが、彼らも冒頭の人物同様将来犯罪者となるために、過去の自分が誘拐された、ということらしいのだった。


冒頭のエピソードはグロテスクだがまぁ良い。犯罪を嫌う勧善懲悪的な思想の人物が、実は冒頭の人物同様、将来犯罪行為に及ぶらしい、という皮肉な展開は、なかなかユニーク。ただし、なんで犯罪者を過去に遡って誘拐などできるのか、そんなことをできる存在とはなんなのか、そもそも過去に遡れるなら事件自体を止めることはできないのか、という疑問が湧く。登場人物にそれを語らせているように、そこが物語の肝なのだろう。ただ、一巻ではそこまで立ち入ることなく終わってしまう。


登場人物は増え、残虐なシーンと不条理さだけを提示して終わる一巻は、悪趣味の一言に尽きる。善と悪、ということであればジャンプレーベルであれば「DEATH NOTE デスノート」という傑作があるわけで、本作のアプローチはアイディアはあるものの練りきれていないという印象を受ける。


【データ】
原作= 粟国翼、漫画=猫井ヤスユキ
過去のあなたを誘拐しました
【発行元/発売元】集英社 (2018/11/2) ※電子版で購入
■評価→ C(標準) ■続刊購入する?→★★
■購入:
amazon→ 過去のあなたを誘拐しました 1 (ジャンプコミックス)
中学生の月島友孝は、複雑な過去を抱える同居人のミカと静かな日々を送っていた。だが突如、謎の集団に拉致されてしまう。見知らぬ“施設”で目覚めた友孝たちを待っていたのは、凄惨な“断罪”だった――。「未来のあなた」が犯す罪、その罰が「過去のあなた」に降りかかる――!! 戦慄のSFクライムサスペンス、始動!!


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石井まゆみ/歌うたいの黒兎


歌うたいの黒兎 1 (マーガレットコミックス)

■安定の続編。

歌うたいの黒うさぎ 」の続編。タイトルが一部漢字になっただけなので 混乱必至…次は「歌唄いの黒兎」にでもしたらどうですかね…


内容は、特に一巻であることを意識した作りはまるでナシ。 劇的な変化もなし。新しいメイド、 新しい登場人物、は加わりつつも、 話に大きな変化をもたらすものでは今のところはない。


つまり話は特に転がらない。スピンオフや番外編 を展開しているかのよう。とはいえこの空気感が 好きな者にはそれなりに楽しめる。が、 ここから読み始めて面白いかというと、それはないだろう。


普通に続刊でナンバリングしたら良かったのでは? と思うが。単行本ビジネスとしては、一巻として出すより 巻数重ねたもののほうが本来売れ行きがよいはず。 シリーズ作品の場合、 ファンが増えて固定化することと、そうした固定ファンの 剥落と新規流入が途絶えることとのせめぎあいだが、 売り上げランキングでは必ず巻数を重ねたものが上位となり 一巻本が顔を出すことはまずない。


業界にいると往々にして、マンネリよりリフレッシュを 考えがちだが、本来売れるのはマンネリ。 利益率が良いのもマンネリなビジネス。 もちろん、内容のリニューアルは必要なことも多いが、 スクラップ&ビルドするくらいなら、マンネリズムのほうが 良いというのが定番。複数ラインやブランドを持てるビジネスなら、 マンネリはキャッシュ・カウとして残しつつ、 別ラインなり別ブランドなりを立ち上げて、 キャッシュ・カウが負け犬になるまでは維持するというのが ベター。


まぁ、新味を出したい、っていうのは分かるんだけれども。


【データ】
石井まゆみ
歌うたいの黒兎
【発行元/発売元】集英社 (2018/10/25) ※電子版で購入
■評価→ B(佳作) ■続刊購入する?→★★★
■購入:
amazon→歌うたいの黒兎 1 (マーガレットコミックス)
楡屋敷家で働くメイド・森永永森子。通称は黒ウサ。ふだんは仕事をしていないように見えるけれど、お屋敷のひとり息子の叶夢からは絶大な信頼を寄せられている。そのため、屋敷の人々からも一目置かれるようになった黒ウサは、いつだって叶夢坊っちゃまのために、お屋敷を駆け回っているのです…!!


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あぶぶ、りしん/女騎士「姫には死んでいただきます。」


女騎士「姫には死んでいただきます。」(1) (電撃コミックスNEXT)

■「セーブポイント」という概念を活用した 不条理ゲーム系ファンタジー。アイディアは面白い。

本作は出版社のご厚意により恵投いただきました。 → ※ご恵投について

死に戻り系の系譜にありがならも、死に戻り系「コメディ」という新機軸で楽しんでいただけるコミックス
とのことで、三森すずこCVの新作ゲームが同時リリースされるメディアミックス展開もある様子。


魔王が送りこんだオークに包囲された王国の話。城に派遣されて間もない皇女が主人公。城では、オークに陵辱される前に自決しよう、というムードが支配的となり、それに抵抗しようとした姫が味方に命を狙われる、という不条理なお話である。


シリアスにも、エロティックにも転がせる展開だが、本作はあくまでもコメディタッチで描く。絵も崩し気味で少年誌から幼年誌の中間のテイスト。読みやすさはあるが、その反面、いろんなエッジを削ぎ落としており、今どき話題になる定番の方程式とは違う作り方のように見える。


ポイントは、セーブポイント、という概念を持ち込んだこと。おかげで姫は難しいRPGに挑む初心者のように何度も死を経験しつつ、復活する。途中で、何度も死んでいるんだから余計にこれ苦しみ味わっているだけなんじゃないの?という問いかけを自身でしているが、それをあっさりスルーするのは、コメディタッチで展開する作品ゆえ。


なおセーブポイントとはいうものの、割と初期に設定されており、死んでも復活できる、という程度の役割でしかない。が、そのことを作者側も意識しており、話が進んだところで別の場所のセーブポイントも登場する。


本作の場合、難敵を倒すのにどんな工夫をしていくのか、がエピソードの肝。コメディタッチであるがゆえに、そこも割と軽く描かれがちなのも、ちょっと勿体ないところ。とはいえおかげでテンポよく描かれているところはコメディという手法をとったがゆえのメリットではある。


【データ】
原案=あぶぶ、漫画=りしん
女騎士「姫には死んでいただきます。」
【初出情報】@vitamin(2018年) 【発行元/発売元】KADOKAWA 【レーベル】電撃コミックスNEXT 【発行日】2018(平成30)年10月26日初版発行
■評価→ C(標準) ■続刊購入する?→★★★
■購入:
amazon→女騎士「姫には死んでいただきます。」(1) (電撃コミックスNEXT)

死に戻り系ヒロイン、誕生! 逃げて、殺(や)られて、生き返れ!!
ニコニコ漫画&コミックウォーカーでW1位! 城を包囲するオーク共に凌辱され、王家の歴史が汚れることを恐れた女騎士たちは、姫を斬首し自害を企てる。さぁ、逃げ切れるか、お姫様!



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灰谷音屋/ジュニオール


ジュニオール 1 (少年チャンピオン・コミックス)

■理想のサッカークラブを作る、理想の監督になるのが目標の少年が、 高校の弱小サッカー部でその実験を始める。

ユース時代に監督に便利使いされながら、何の特徴もない器用貧乏だとして上に進めなかった少年。彼の夢は、そうしたダメな大人から解放されたチームを作り監督となること。そんな彼は、進学校の弱小部 でサッカーを続けていた。


自由な発想をするポルトガルとのハーフの子、それと 体力抜群で学校が唯一後押ししている強豪野球部にも スカウトされながらそれを袖にした子と出会ったことで、 彼の構想が現実を帯びていく話。弱小部活の成長譚でもあるのかもしれない。


ダメな人物嫌味な人物が出てくる点はありきたりで この辺がもやもやするのだが、 そうした者たちがいて邪魔をするのが現実ではあるし、そうした現実との対抗軸で話を作るのはチャンピオンらしさでもあるだろう。


それにしても、タイトルはハーフの子の名前で、タイトルロール そっちなんかい。まぁ冒頭も彼から始まってはいるけれども。 まぁ複数主人公の話ということで、展開上別に問題はなかった。


【データ】
灰谷音屋 (はいたにおとや)
ジュニオール
【発行元/発売元】 ※電子版で購入
■評価→ C(標準) ■続刊購入する?→★★★★
■購入:
amazon→ ジュニオール 1 (少年チャンピオン・コミックス)
サッカーエリートの道を阻まれた志摩晃は、「プロサッカークラブの監督になる」という夢を胸に秘め岐阜県立可児第三高校の弱小サッカー部、通称「可児三」で淡々とサッカーを続けている。ある日の通学路、サッカー選手としての情熱を失っていた志摩の前に一風変わった雰囲気を纏った同級生が現れる。彼の名は五十嵐ジュニオール。天真爛漫なジュニオールの性格に触れ志摩の心に変化が…!?



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河内遙/涙雨とセレナーデ


涙雨とセレナーデ(1) (Kissコミックス)

■現代の高校生が、明治時代にタイムスリップ。 自分と容姿も名前も似た人と誤解されていく。

高校生活をそれなりに楽しんでいるヒロインは、 部活に入った理由でもある先輩と映画を見に行く約束をとりつけた、 その直後の授業で彼女は別の世界に誘われる。 気づけば彼女は、明治時代末期にいた。


既に巻数重ねている作品だがレビュー漏れしていたので今更ながらご紹介。 流れで読ませるし、絵は綺麗。良い心地で読ませてもらいつつも、 なんだかはっきりしない話のまま一巻が終わってしまい、 主人公同様狐につままれた感覚あり。


昔から見ている夢の通りの話で、当初主人公はこれは 夢だと理解していたが、実際はその見ている夢はかつて あったことのようでもあり。そして、 その世界では主人公とそっくりの人物がいて、 それと取り違えられ誤解される展開に。


とはいえ本作の場合、主人公と間違えられた人物は その世界に実在して主人公とも遭遇し、かつ主人公は 彼女に匿われる形で日々を過ごす。なので、誰も知らない 世界に放り出されるわけでも、誰かの代わりに人生を過ごすわけでもない。


逆にいえば、主人公には居場所がない。現代風の思想をその時代に 持ち込むという役割を果たしているが、主人公が主人公として 存在を認識される場面がない。このままで一巻を終えるのか、 それは読者はかなり信頼されているというか、試されているなぁ、 と思いつつ。


続刊4巻まで発売済→ 涙雨とセレナーデ(4) (KCデラックス)


【データ】
河内遙 (かわちはるか)
涙雨とセレナーデ
【発行元/発売元】講談社 (2015/10/13) ※電子版で購入
■評価→ C(標準) ■続刊購入する?→★★★★
■購入:
amazon→ 涙雨とセレナーデ(1) (Kissコミックス)

ある日突然、音楽の授業中に光に包まれて、明治40年にタイムスリップしてしまった元気な女子高生・陽菜(ひな)。そこで出逢ったのは、愁いを秘めた御曹司・本郷(ほんごう)と、自分とそっくりな少女・雛子(ひなこ)。廻りはじめた運命の歯車――。切ないタイムスリップ・ロマンス!


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