佐野妙/大神先生は鼻がキく


大神先生は鼻がキく (バンブーコミックス)

■嗅覚が異様に効くヒロインの話。 養護教師という設定を活かしはじめたところで終了 したのが残念。一巻完結。

鼻が利く女性をヒロインとした話。 記憶や行動が嗅覚と結びついている、 ということらしいが、当人の掘り下げが ないまま話を進めてしまったのが弱さか。


養護教師、という設定にしたのが あまりうまくいっていない。 しかも保健室にはあまり生徒がこない、 という設定。それはマンガ特に 4コマのはじめかたとしては、 登場人物を絞り込む意味では正しいのだけれど、 それでは話が進まない。


嗅覚でなにかに気づく、 というのなら相応のエピソードが必要。 終盤でようやく、彼女のその素質がオープンな情報になり、 皆が相談するようになって、様々なエピソードが 重なってくる。それでようやく面白くなりそうになったところで 終了。これを最初っからやっておくべきだったのでは。


ヒロイン自身の過去は中途半端に伏線張られて終了。 恋愛話もいくつかタネはまかれつつも発展させず。 それであれば、彼女は探偵的な役回りにして、 周囲のエピソードだけをぐるぐる回して 話を組み立てるほうが良かったように思う。 その点でカウンセラーの女医の存在が邪魔で、 養護教師とカウンセラーとを混ぜたヒロインに するのが正解だったろう。 ちょっと勿体無い感じの作品に見えた。


【データ】
佐野妙 (さのたえ)
大神先生は鼻がキく
【発行元/発売元】竹書房 (2018/8/27) ※電子版で購入
■評価→ C(標準)
■購入:
amazon→ 大神先生は鼻がキく (バンブーコミックス)
養護教諭・大神馨子は、常に生徒のことを思いやる優しい先生です。 そして――とても嗅覚が鋭いです。


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島崎無印/三年差


三年差 (ガンガンコミックスpixiv)

■3歳差の幼馴染を描く話。 時系列に沿って描いたほうがドラマチックにはなったはずだが、 現代で固定してしまった分、多幸感は増しているのかも。

3つ違いの幼馴染。3年違うので中学、高校は一緒にならない。 追いかけても追いつかない、そんなもどかしさを 抱えていた年下の女の子。でもいまは、一緒の家族。


ということで、冒頭のカラーで経緯をさらっと描きつつ、 4ページめには結婚式、そして始まる本編では 結婚6年めで既に子供も生まれている。 でも新婚さながらの仲の良さと初々しさがあるという、 理想的な夫婦、家族を描くお話。


ちょいちょい過去の話を挟んではくるが、 幼馴染もので一番せつなく一番おいしい部分を 時系列で描かないのでドラマ的にはおいしくなく カタルシスもなにもない。が、幸せな現代の時点に 視点を置いてエピソードを綴っていくので、 全編にわたりハッピーさがあふれていて、 楽しい気分になる構成ではある。 幸せ夫婦のモデルケース。


ただ、3歳差、ではなく3年差、というこだわりは、 2歳差の時期をヒロインが大切にしているところに あるようだが、これは正直よくわからなかった。 そういうこだわりを描きたいなら、 この構成ではないと思う。


【データ】
島崎無印 (しまざきむじるし)
三年差
【初出情報】ガンガンpixiv(2018年) 【発行元/発売元】スクウェア・エニックス (2018/8/22) ※電子版で購入
■評価→ C(標準)
■購入:
amazon→ 三年差 (ガンガンコミックスpixiv)
幼なじみの瑞希と和哉は三年差。『年の差』と呼ぶほどではないけれど、青春を共有するにはちょっと離れている。そんな三年違いの二人が綴る幼少期から現在までのダイアリー。単行本だけの描き下ろしとして学生時代の知られざるエピソードを60ページ以上も収録!!


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沼田ぬしを/かくう生物のラブソング


かくう生物のラブソング(1) (ヤンマガKCスペシャル)

■天災後の世界を描く話。 ただそこにゾンビ的発想を交え ややブラックなSFコメディとしたのは アイディア。

震災があり、そこで死者も出た社会。 続いて今度は隕石が落下する。 そこでも死者は出た、はずなのだが、 未知のウイルスの影響だかで 死者の身体機能を回復させた。


そこで彼らは帰還者とされ、公式には 死者はゼロという扱いとなり、 ゾンビと併存する社会が生まれた、 というややブラックめいたSFコメディ。 ゾンビ化した帰還者は、体温も静脈もない、食事を消化する機能もない。 ただ物語の主人公たちは、生者と帰還者の混ざり合う 環境をそのまま受け入れている。


ところで、それだけでは 物語は進展しようがない。 なので、なりすまし、というエピソードを交えつつ、 隕石落下に伴うSF話と冒険的な色彩を付加する。 が、そうした頑張りを見ても、 この設定だと出落ちになってしまうなぁ、 との感は否めず。とはいえ、震災だの天災だのを 描く話としては、こういうアプローチの ほうがマンガにする意味はあると思うので 好感は持てる。


【データ】
沼田ぬしを (ぬまたぬしを)
かくう生物のラブソング
【発行元/発売元】講談社 (2018/8/20) 【発行日】2018(平成30)年8月1日発行 ※電子版で購入
■評価→ C(標準) ■続刊購入する?→★★★
■購入:
amazon→ かくう生物のラブソング(1) (ヤンマガKCスペシャル)
全てを変えてしまった“あの日”から、フツーを生きぬく女の子たちの物語。友だちがゾンビになったけど、今日も私たちは元気です。2020年、第二次関東大震災が発生した。多数の死者を出し復興はこれからという時、茨城県井戸市に今度は謎の巨大隕石が落下。前の災害と違い、死者は一人も出ていない。――ゾンビになって、みんな“帰還”したから。



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円城寺真己/魔風が吹く


魔風が吹く 1 (ヤングジャンプコミックス)

■犯罪行為に加担しようとしたことが きっかけで堕ちていく話。背景には 天災があるようだが、それにしても、 こういう話に仕立ててしまうのはどうだろう。 いや、読ませるのだけれども・・・。

震災の記憶。 金を盗ったとして追いかけられる男。 医師はその男をGPSで追跡しており、 電話をかけると、そのケータイは 男の腹部の中で鳴るのだった。


話は2週間前に遡り、男が受け子として 詐欺の片棒を担ごうとしているところから 始まる。カネのため、一度きり、 と言いながらだったが、一度関わったことが その後を変える。友人の伝手から頼まれたのが、 遺体の遺棄。しかし震災の影響で山道は封鎖、 川に流したところで早期発見に繋がる。 その遺体の女性の父親が件の医師。 男が失くした携帯電話を発見したことで 医師は復讐を始める。


話は読み手を引き込むだけの魅力はある。 あるのだけれど、ダークサイドの話である。 犯罪に巻き込まれただけ、ではない。 自分から関わりに行っており自業自得、 とはいえ自身はそこまで酷いことを 行っている自覚はない。実際、そういう認識だろう。 ただ、こういう人物が、犯罪を助長している のも確かではある。


震災を背景に、犯罪を描き、 犯罪被害者の家族が復讐に加担し、 プロ犯罪者はためらいがなく、 ふわっと犯罪に関与した人物が右往左往する。 うーん、なんでこんな話にしようとしたかなぁ・・・ 内容は正直面白いけれども、 読んでいて良い心地はしない。


【データ】
円城寺真己 (えんじょうじまさき)
魔風が吹く
【発行元/発売元】集英社 (2018/8/17) ※電子版で購入
■評価→ C(標準) ■続刊購入する?→★★★
■購入:
amazon→ 魔風が吹く 1 (ヤングジャンプコミックス)
震災の爪痕が残る地方都市――犯罪に手を貸してしまった青年は、腹の中にスマホを入れられ、さらに裏社会の人間からも追われることに…


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西義之/エルフ湯つからば


エルフ湯つからば(1) (モーニング KC)

■冒険ファンタジーの世界の端っこを描く話。 深みを出すことも暴走させることもできそうな内容だが、 一巻はまだぼやっとした印象。

冒険者のいる、つまり退治すべき魔物のいる世界。 そこで、伝説となっているのが、巡回温泉湯、 幻の移動風呂屋であるエルフ湯。冒険者なら一度は入りたいという、 1分浸かれば体力全快、5分浸かれば夢の世界 を提供してくれるというもの。しかし移動風呂屋だけに、 出会える確率はとても小さい。そして、 番頭エルフのユフさんが可愛いと評判なのだった。


客の抱えている問題を見抜き、疾病を除去するだけでなく、 迷いも昇華させるという風呂。経験者はそれを喧伝し、 ギルドに番頭エルフのファンクラブを作り始める、 というのがオチ。


話の中軸を移動風呂屋としているだけに、 来訪者をとっかえひっかえして バリエーションを出すしかない。 なので舞台をギルドに移して描くエピソードも 出てくるが、結局のところ本題は毎度変わらない。


そこでどう展開するのか、暴走させるのか、 と思っていると、魔法に長じ戦闘力も抜群な 番頭エルフが、その風呂屋をやる能力を得るために 自分が入湯した場合に得られる癒やしを何者かに 上納している、という設定あり。しかし この設定、重いような、 そうでもないような、微妙な感じ。 ここを掘っていくことで 大きな物語の柱にしていくのだろうか。


いまのところは大きな物語の番外編としてなら成立しそうな 作品、という印象。


【データ】
西義之 (にしよしゆき)
エルフ湯つからば
【発行元/発売元】講談社 (2018/8/3) 【発行日】2018(平成30)年8月1日発行 ※電子版で購入
■評価→ C(標準) ■続刊購入する?→★★★
■購入:
amazon→ エルフ湯つからば(1) (モーニング KC)
『ムヒョとロージーの魔法律相談事務所』や『ライカンスロープ冒険保険』の西義之による新境地! 冒険には心強い仲間や強い武器も必要だが、傷ついた時の癒やしも重要である。浸かればあらゆる疲れや汚れを洗い流してくれるという幻の移動温泉「エルフ湯」。たった一人で温泉を率いる番頭・ユフは、懸命に冒険者の「癒やし」のために風呂を入れてくれるという……。異世界を舞台に繰り広げられる、まったく新しい冒険物語、開幕!


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土屋計/鉄刻の清掃員さん


鉄刻の清掃員さん 1 (MAGCOMI)

■「時間」を切り売りする話は面白いが、 その他の要素を盛りすぎではないか。

「時間」が売り買いできる、という ことが中軸となっている話。ただし、 おおっぴらにはなっておらず、知る者ぞ知る状態。 若い子の時間ほど純粋であり高く売れる。 ただし、相手の承諾がないと買えないため、 時間の売り買いの概念が分からない幼児からは 奪えない。


この時間を切り売りする設定は面白い。 ただし、そこにガジェット的ギミックが入り、 身体が変わるというのは傍流SFマンガチック。 さらにアクション要素が加わり、これが 読みづらい。果ては、失われた身体、という 設定まで載せてきており、それが主人公にとっての テーマで、自分の身体を取り戻すのが目的、 という物語。いろいろ載せすぎていて、 話がごちゃついている。


主人公は清掃員、時間にまつわるトラブルを 処理するという、後ろめたい身が皆 支援している会社に所属する立場なのは巧いのだが、 話が複雑になりすぎたのに、 主人公の目的は未来ではなく過去の復旧に 向かっている時点で、読者にその複雑さを読み解く 意欲がわかないのは致命的。


広がる話ではなく閉じていく話を 複雑にすることで読み応えがあるように見せようとする のはあまり歓迎しない。このテーマならもっとシンプルでいいと 思うのだが。


【データ】
土屋計 (つちやけい)
鉄刻の清掃員さん
【初出情報】月刊コミックガーデン(2017年〜2018年) 【発行元/発売元】マッグガーデン (2018/4/13) 【発行日】2018(平成30)年4月28日初版発行 ※電子版で購入
■評価→ C(標準) ■続刊購入する?→★★
■購入:
amazon→ 鉄刻の清掃員さん 1 (MAGCOMI)
血で血を汚すハイギミックアクションバトル、開幕…!!人の「時間」を高値で売りさばく違法ビジネスによって、世界では少しずつ異変がおきていた。民間の『特殊清掃員』として働く兎村はブローカーに立ち向かう…。


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新井春巻/魔法少女になれません。


魔法少女になれません。(1) (ヤンマガKCスペシャル)

■読者に前提共有させることを すっ飛ばして始めるような作品が 商業展開されるのはいかがなものか。 いろいろ勿体ない。

人を襲うシャドウを撃退する魔法少女もの。 退治すると願いの欠片がたまる。 それが満たされた時に願いがかなう、 そのためにプロの魔法少女をやっているらしい。


魔法少女であることが一般人にばれると 即死、というヘビーな設定。 その一方で、シャドウというのが、 女の子のストッキングを破るという類で、 戦いに負けてもねちょねちょになるだけで 命をとられるわけでもない、という、 成人漫画から成人要素を抜いたような、 ぬるい設定でもある。


という話であることは読み進めればわかるのだが、 その説明を済まさぬままに、ヒロインが シャドウ退治のため都会暮らしを始める。 その内容が、都会で暮らすためにバイトをしたり 学校に行ったりして、そのことが魔物退治 の障害になってしまうというコメディ展開。 前提を理解というか納得というか飲み込めないままの 読者を置いてきぼりにして様々なことが進んでいく。


巻末にある表題作と全く関係のない読み切りは 面白く、手短ななかに色々詰め込む才のある 作者であるようなので、入れる内容と順番の 整理さえしてくれれば良かったのになぁ、 と思いつつ、そういう仕事は編集がやることなのでは? 編集者の存在意義とは何なのか? とも思ってしまう。 出版社からリリースされるものは、出版社のフィルターを 信用しているからこそ購入するのであって、 それが機能しないのであれば今の時代、出版社に存在価値など ないわけで。


【データ】
新井春巻
魔法少女になれません。
【発行元/発売元】講談社 (2018/8/8) 【発行日】2018(平成30)年8月1日発行 ※電子版で購入
■評価→ D(問題) ■続刊購入する?→★
■購入:
amazon→ 魔法少女になれません。(1) (ヤンマガKCスペシャル)
シャドウを退治するプロの魔法少女・川下さおり。田舎から都会に出てきたばかりの女子中学生。都会で独り暮らしの荒波が魔法少女に襲いかかる。バイト先の店長の熱血が、同級生の善意が、同じ魔法少女のライバル心が、さおりの変身をはばむ! 変身したいけど変身できない魔法少女の日常コメディ!!



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