かずはしとも/ブラック・オペレーション


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■ブラックに見える職場で立ち位置が一転二転するツイストものの サスペンス。設定は面白いが実は登場人物が違う二話めが一番 面白いような。そして一話めはキャラクターの設定が三話め以降と違うような。

専業主婦だった女性が夫のリストラをきっかけにパートに出る。 ファミレスの仕事をこんなものかと勤めていたが、 実際は他のバイトにシフトを操作されていた。 そのバイトは、お子さんがまだ幼いころに旦那さんをなくして 女手一人で育ていると。しかし、友人がその人を顧客として 知っていた。20年前に旦那が亡くなったときに保険金が下りていること、 豪邸に住み悠々自適で、その夫は妻のモラハラで追い詰められて自殺したとの 噂があることを。


悪意を持って動く人物が主人公、かと思いきや第二話は全く登場人物が 変わってオフィスで展開される話。曲者と素直な人物、と思いきや、 違う生き物であるのだ、という話は面白い。 と思ったところで三話めには一話めの人物が再び登場。 連載ものとしていくには、軸になる人物がいて、フォーマットが決まっている ほうが回しやすいのは確かだからな…。


ところで三話め以降も相応に面白い。主人公たるおばさんが 話をひっかきまわすが、悪意をもって動いた一話めとは違い、 三話め以降は話によりツイストをかける役回りで、 より複雑な展開になっている。やや説明不足で、 読者が置いてきぼりな部分もあるが、痛快な内容ではあるので 読後感は悪くない。この路線で一話めも書き直すべきだったのではないかと 思うがどうだろう…。


【データ】
かずはしとも
ブラック・オペレーション
【発行元/発売元】 秋田書店 (2020/10/16) ※電子版で購入
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職場のブラックな人間関係はブラックに解決!! 様々な職場に現れるパートの達人・大剛寺あやか。彼女が動くと、誰かが闇へと消えてゆく…!! 様々な職場に現れるパートの達人・大剛寺あやか。見た目は鬼瓦と称される中年女性。しかし彼女が現れると、ブラックな職場の人間関係が闇の中でかたづいていく…!! ファミレス、オフィス、ブラックな職場から、いつのまにか誰かがいなくなっている…。手段は選ばない、ただ悪い奴は逃さない!! それが彼女の流儀…。



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本島幸久/ダモクレスのゴルフ


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■くせ者が登場するミニツアー舞台のゴルフもの。 設定はユニークで、ゴルフ初心者にも丁寧なつくり。 ただそこまで丁寧でないほうが良い内容のように思うが。

プロゴルフのミニツアーを舞台とした話。 無名のプロが参加費を払い、その集まった額から賞金を出すのが このミニツアーだという。競馬のステークス方式と一緒。 そこに参戦しているプロを目指す研修生が本作の狂言回し。 彼は、元学生チャンピオンでプロテストに合格した選手と、 そして本業が漁師という人物とともに、ホールを回ることに なるのだった。


本作の主人公は、この漁師。自信たっぷりの人物は ツアーあらしのような存在で、一緒に回ったものを翻弄して 食っていくのだった。ゴルフのテクニックから蘊蓄から 混ぜ込んで丁寧に描いていく話はゴルフ好きを増やしたい ということなのかもしれないが、いや、それにしては 内容が外連味ありすぎで、こうケレンがある話は もっと勢いで押していったほうが良いような気がするが。


場数を踏んで手慣れた漁師のゴルファーに、 すっかり心酔した狂言回しの青年が次の試合も同行する展開で、 ちょっとしたバディものに。一方でこの漁師が我が道をゆき 周囲のプロゴルファーやその予備軍を振り回す話かと思ったが、 同じような曲者が登場してくる展開は面白い。 このまま曲者がインフレーション起こしていってもよさそうな、 そんな類のお話。女性ゴルファーを出してきて話に絡めてくる 展開も上手でさすが。


【データ】
本島幸久
ダモクレスのゴルフ
【発行元/発売元】 講談社 (2020/10/15) ※電子版で購入
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超真面目人間、真中進一朗は腕を磨くためにゴルフのミニツアーに参加する。有名な大会のようにテレビ放映もなければ賞金も安い。そこに想定外の人物が現れた。通称『マグロゴルファー鉄』。普段はマグロ船の船長、かなり変則的なゴルフを繰り出す。追い込まれれば追い込まれるほど、鉄はそれを楽しんでいるようだ。進一朗は、そんな鉄に魅力を感じるとともに、「天才性」を見出すのだった。あらゆる手段と知力を尽くして勝ちにこだわるプロゴルファーたちを描く群像劇。


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小松翔太/いとやんごとなき


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■なんじゃこりゃ、という後頭部をひっぱたかれるようなギャグ漫画。 面白いことは面白いが、何を読まされているのだろうか。

母親がお金持ちと再婚して、超名門校へ転校することになった女の子が主人公。 しかしそこで転校早々、股間が光り輝いている男子に遭遇する。


この男子が、いとやんごとなき家柄のお生まれで光の貴公子様と呼ばれている完璧な存在として尊敬と好意を集める存在という設定。 それに対してヒロインの感性は相いれない。とはいえ、 状況に特に逆らうのも面倒なので考えることはやめようと思ったのだが、 彼と接点を持ったことで、彼に執着されてしまうのだった。


ふと吐いた暴言がやんごとなき人に刺さり、Mっ気を開花させる、 という話だが、そんな内容のわりに描写はおとなしい。 ヒロインが諸々の受容性が高いのでドタバタするようなものではなく、 凪のような空気感が漂うギャグマンガとなっている。


面白いしセンスもすごいと思うが、なんというか、オススメしづらいというか、 評価をどう言語化すればいいのか悩む一品。


【データ】
小松翔太
いとやんごとなき
【発行元/発売元】 小学館 (2020/9/18) ※電子版で購入
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光り輝く学園ノーブルギャグ、開幕!
庶民少女・出海あすかは超名門校・雲上学園に転校した。 そこで出会ったのは、学園一の貴人光の貴公子光暈寺麻呂。 彼の股間は興奮すると、光る。 尊い男子が輝きを放つ、唯一無二の学園ノーブルギャグ開幕。


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有間しのぶ/伽と遊撃


伽と遊撃 1 (ビームコミックス) (amazon), 伽と遊撃 (honto)

■なんだろう、24年組が描いていたSFみたいな感じではあるのだが、その割に話が漫然としているので、 読んでいてあまり気分が乗らない。評価はそれなりにされるのだろうけど…。

人類が絶滅近くまでいき、百年以上かけて立て直したという世界でのお話。 その世界では、架空の物語・創作・空想が厳しく制限されていた。 その架空にのめりこんだからこそ人類は争い滅亡したと考えられているからだった。


技術面では進化していて視力を失っても耳を失っても再生できてしまう。 人間そっくりに擬態できるがあくまでも犬である人工知能の疑似生命体 がベビーシッターをしていたりもする。


そんな世界で、研究者である母親と、娘である姉妹がまずフォーカスして描かれる。 母は仕事を優先し娘をシッターに任せたが、娘の愛慕がシッターに向かっていることに 嫉妬している。そして、姉に関しては溺愛しているが、妹に関しては全く愛情を注げない ことも吐露している。…そういう話をこの世界設定ではじめるのか…。 そして学者間でのポジションを優先して家に招く男性は娘に手を出してきたりする。 現代舞台だと母親は水商売やっている系になるところなので、 その点ではユニークかもしれないが…。


そこから疑似生命体を作ったりそれを管理している人物の話になり、 一方で世界の闇である家出少女を集めて追い立てるゲームの話に触れ、 あるいは将来の職業の適性判定から未来の自分自身と遭遇したり、 過去の犯罪者の記憶を現代に呼び起こして疑似生命体に固定化させたり、 と話は広がっていく。縦横無尽というか、とりとめもなくというか。


凄い作品と後に評されるのかもしれず、そうした作品に実際なるのかもしれないが、 一巻の段階では正直なんとも、期待値込みでオススメ絶賛する手もなくはないが、 面白かったかと問われると、うーん、と首をかしげてしまう。意欲作ではあると思うが。 いろいろな作品のパッチワークにも見える。雰囲気は24年組の描く作品っぽいのだが、 交通整理という点ではあまりできているようには思えない。 フィクションを失った世界、という設定が殆ど有効に機能しないまま 話が進んでいっているのが消化不良の原因だろうか。


【データ】
有間しのぶ
伽と遊撃
【発行元/発売元】 KADOKAWA (2020/10/12) ※電子版で購入
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第23回手塚治虫文化賞マンガ大賞受賞の「その女、ジルバ」の著者がおくる、衝撃の近未来ファンタジー!!
「物語」「創作」「空想」が粛清された世界で、少女は何をみつけるのか……?


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外本ケンセイ/さよならブラック企業 働く人の最後の砦「退職代行」


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■人生は一本道ではない、人生の選択肢は無限にある、という話には同感。

好きなものでさえ最後まで終わらせられない、何事も中途半端と自覚している 女子。そんな彼女は今度は絶対に逃げない、ちゃんと最後までやり通すんだ、と 誓って会社勤めをしていた。しかし彼女の勤め先は営業成績で社員を追い詰める ブラックなテレアポ営業会社だった。


そんなヒロインが救われるところから始まる話。いっぱいいっぱいになっていたところで 偶然出会った女性に、道は一本ではない、辞めることも重要だと教わる。 その女性は退職代行や労働問題を専門とする法律事務所の弁護士だった。 忘れ物を届けるために訪れたところ、そこの仕事を手伝うことになる。


正義や大義の話が柱で、ヒロインが気持ちで突っ走り、失敗も起こすが、 フォローされて仕事に馴染んでいく話。に見えるが、もう少し大きな視点も 用意されている。昔ながらの中小企業はブラックに見えるが、 そういう形でないと維持できないというジレンマにも触れている。 そうした中小企業が社会の成長を抑制しているというのが定説だが…。


ヒロインを救いあげた弁護士にも当然バックストーリーがあるわけだが、 一巻はそのあたりには触れず何も知らないぺーぺーのヒロインに特化して 話を展開しているのは読みやすい。一方でよくある話にも見えてしまった面も。 思いを爆発させて啖呵を切るような場面は、それがあると構成しやすいのだろうけれど、 話が安っぽく見える。そこで終わらせない構成は良いと思いつつ、 一巻の段階でそのレベルの話から一歩上がったところが読みたかった気はする。 ヒロインの成長のためとはいえ、最初のエピソードにループしたかのような 展開は冗長な感じも。螺旋階段のように前にいた場所とは似て非なる場所に いるのだろうが、別のエピソードを1巻ではいれたうえで2巻の序盤でやると 良かったのでは。


【データ】
外本ケンセイ
さよならブラック企業 働く人の最後の砦「退職代行」
【発行元/発売元】 少年画報社 (2020/10/12) ※電子版で購入
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辞めたい…けれど辞められない…パワハラ・過重労働・不当賃金・極悪ノルマ…無法地帯のブラック企業から逃れることはできるのか!?闘う女弁護士・不知火と見習い・リコが綴る”仕事”の真意を問う労働譚!「辞める」仕事は逃げじゃない!


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大町テラス/まにまに道草


まにまに道草 (ワイドKC) (amazon), まにまに道草 (honto)

■子育て後の子離れを描く作品。一巻完結。

娘が大学進学のために家を出て、母親はなんとなく気分がうれしいような、 さみしいような、落ち着かないまま街を歩く。


子育てが終わったような終わっていないような、微妙な気分の話。 子どものほうはだいぶ親離れが進んでいて、新幹線の距離の大学に行き、 さらに海外に留学までするという。夫婦二人になり水入らずな時間もあり、 旧友とも仲を温めて、昔の知り合いに誘われパートもし、 推しのアイドルを見つけて応援を始めたりもする。 そんな、娘がいない場所でも私の生活は続いていく、というお話。


珍しい題材の漫画ではある。あとがきをみると、 実体験を投影して最終話を描いているようで、 言いたいことは確かにそこなのだろう。 ただ、新型コロナウイルス禍のなかだと、ああ、こういうの、よかったねぇ、 またしたいねぇと別の感情になるのがなんとも。


紙書籍はワイドKCという形態なので判型が大きいからその値段なのね、 と思うが、電子書籍で読む分には判型は関係ないので、紙書籍の 価格に引きずられて値付けが高くなるのは正直腑に落ちない面はある。 DL価格が一律に近い音楽や映画と比べて 電子書籍の値付けは自由度があって面白いなとは思いますが、 いずれ紙出版時代の遺産はご破算にしないといけない時期が来るのではないでしょうか。


【データ】
大町テラス
まにまに道草
【発行元/発売元】 講談社 (2020/10/13) ※電子版で購入
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昨日、娘が家を出た。主婦のハルコは「子育ての終わり」と「娘の独り立ち」をうれしく思う反面、寂しさも感じる。娘と離れ、「お母さん」としての役割を持て余す日々の中で、娘に知らず知らずのうちに依存していた「私」にハルコは気づいてゆく。これは「訪れた別れ」と向き合う「新しい私」に出会う物語。



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池辺葵/ブランチライン


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■四姉妹と母の女系家族を舞台にしたお話。 著者にしてはやや薄味?

バスで山の上へ帰る女性、既に亡くなっている夫の命日を祝っている。アパレル通販で働く女性、 喫茶でランチメニューを作る女性、市役所で遅刻して上司になじられている女性…彼女たちは姉妹で、山の上の鼻の家に集合する。もう一人、長姉は息子とハワイにいる、四姉妹の物語。


家族ものは視点がぐるぐる動いて単行本の一巻だととっちらかることも多いが、 本作の場合は姉妹の末っ子を中心に話が描かれ、その点で読者は迷子になりづらい。 ただしそこに、作品にまだ出てこない長姉の息子、姉妹にとっては甥っ子の話が 混ざってくるのは、さて、どう読もうかな、という気にはなる。


唯一結婚したが夫と上手くいかず疎んじられ離婚する長姉、そしてそれを見ていたからか そういうことでは特にないのか未婚な姉妹。しかしこういう家族の話がメインかというそういう 感じではなく。末っ子が仕事のとらえ方を変えたきっかけが甥っ子にあって、 甥っ子の存在は重要なわけだが、しかし、どうも無理に家族ものを描いているように 見えて仕方がない。物語の展開の幅が広がるようで、逆に末っ子一人の話を描くより 窮屈になっているようにも見える。


まぁ末っ子に関してはある程度話が見えてしまったので、本来の主人公は甥っ子であり、 さらには末っ子の職場でバディを組んでいる青年が境遇としては表裏のようなので、 この二人の対比で描いていく話、なのかなぁ。どうだろう。


【データ】
池辺葵
ブランチライン
【発行元/発売元】 祥伝社 (2020/10/8) ※電子版で購入
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【電子限定!描き下ろし特典ペーパー収録】『プリンセスメゾン』の池辺葵、心の最深部に触れる最新作! 4姉妹と母。女たちが抱く罪悪感と宝物。 アパレル通販会社で働く4姉妹の末っ子・仁衣。喫茶店を営む三女・茉子。役所勤務の次女・太重。シングルマザーの長女・イチ。そして、実家を一人で守る母。今はそれぞれ離れて暮らしているが、女5人で育てた長女の息子・岳は、皆にとっての宝物だ。けれど、岳にとっての女たちは、いつも正義であっただろうか――? あなたにもきっと、思い当たる感情がある。だからこそ、この物語はあなたの呼吸をふっと軽くする。池辺葵が紡ぐ様々な世代の女たちと家族のあり方について。


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