【オススメ】 オノ・ナツメ/BADON


BADON (1) (ビッグガンガンコミックス)

■【オススメ】再生に賭ける元犯罪者4人の物語。相変わらず巧い。

刑務所から釈放され、首都で煙草屋を営むことで再生を図ろうとする 4人の男たち。


男4人、それぞれ違ったタイプが登場するお話。時代は近未来というか別世界であり、煙草に関しては重税が課され、それ故金持ちの高級な嗜みとなり客層は良いという状況で、裏社会を見てきた出自ゆえに皆タバコの味は知っている者なので煙草屋の経営に乗り出すという設定は巧い。


そしてそれ以上に、過去を必要以上に語らずに今だけを切り出す描きかたの 上手さ。これは以前からのスタイルであるが、大昔にはあまりにも刈り込みすぎてさすがに飲み込みづらいこともあったが次第にフォーカスの域が調整され、今となっては職人芸。目の前の話を理解するうえで必要なことは十分に語られつつ、それ以上のことは必要なときに適宜提示されるという話運びは素晴らしい。


裏社会を生きてきたが更生したいとしてもがく男の話は美しく哀しい。著者はからっとしたテイストの話も多いが。本作はややウェット寄りな作品となっている。


【データ】
オノ・ナツメ
BADON(バードン)
【発行元/発売元】 スクウェア・エニックス (2019/9/25) ※電子版で購入
■評価→ B(佳作) ■続刊購入する?→★★★★
■購入:
amazon→ BADON (1) (ビッグガンガンコミックス)
その日、首都バードンに4人の男たちが足を踏み入れた。揃いも揃って前科者である彼らの目的は「高級煙草店を起業する」こと…? 頼りにする「友」と賭けられる「夢」がある。このゲームに負けはない――『ACCA13区監察課』のオノ・ナツメによる男たちの危険な人生狂騒曲、開幕。


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【オススメ】 鈴川恵康/Dr.クインチ


Dr.クインチ 1 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)

■【オススメ】偽悪的な人物を主人公に据えた、 美容医療漫画。アプローチが上手い。

口が悪いが天才的な腕を持つ名のしれた美容外科医が主人公。 クリニック自体は別に院長がいるというスタイル、 イケメンだがゲイの助手兼麻酔医を用意して主要登場人物 の配置は万全。そこに、整形手術を渇望する患者たちがやってくる。


欲求は正しい、としたうえで、その人物が望む未来を与えようとする 話。冒頭から、過大誇大広告を行う美容外科を前提にモラルに欠けた 美容外科医に制裁を与える罰則を規定しようとする政治家を登場させ、 美容整形は不要医療だ、という問題を提起する。


それへの対抗策は搦め手で、かつ主人公のこだわるポイントも 一般人とは違う、という落とし方は巧い。正論だが線引の 難しいものを正義でもって運用しようという暴論が世の中多いが、 それを真正面から描いても面白くはならないので、この持っていき方は 正解。フィクションに限らず現実もそうなんじゃないかな。


整形、豊胸、処女膜再生。欲にまみれた話を 描くのかと思いきや、過去を捨てるため、そして未来に一歩踏み出すため、 の形成外科話があり。泣かせるエピソードを間に入れ込む構成は バランスが良い。 ブラックな裏社会話というわけでもなく、 まっとうな表の仕事として描かれているのも良い設定。このテーマはそれでこそ意味がある。


【データ】
鈴川恵康
Dr.クインチ
【発行元/発売元】 集英社 (2019/9/19) ※電子版で購入
■評価→ B(佳作) ■続刊購入する?→★★★★
■購入:
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口は悪いが腕は立つ天才美容外科医・権藤弓一朗の手にかかれば、いかなる容姿も思いのまま。今日も東京・新宿にある藤美容クリニックに、彼を求めて果てなき渇望を抱えた人々がやってきて――!? 己の美醜に囚われた数多の現代人の心を救う、新時代を切り開く医療漫画第1巻!!


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【オススメ】 原田尚/サイクリーマン


サイクリーマン(1) (モーニング KC)

■【オススメ】元選手が再びサイクリングを始める自転車漫画。 人物設定に無理がなく、上手い。

兄弟が帰ってくる、ということで倉庫掃除をすることにした主人公。 そこで古い自転車を見つけ引っ張り出すそんな彼の足には大きな怪我の手術跡が。久しぶりに漕ぎ出して出かけると、前を走っている男性とペースが同じになってしまった。彼と競いあうことで仲良くなり、また次も走ることを約束する。しかし彼は、主人公の勤める会社に上司として転勤して来たのだった。


すごい厳しい上司、ということだがプライベートは別ということで、ツーリング仲間となるふたり。自転車を良く知る者と、そうでない者とのペアリング。師匠と弟子スタイルのバディものは定番ではあるが、そのふたりの出会いと関係性の設定はふたりが無理なくつるめるもので良く練られている。かたや自転車選手を目指すも怪我で断念し兄弟はおそらくプロで活躍中、自身はしばらく自転車から遠ざかっていた、一方は妻の親の会社で気を張って働いているがその分長年友人もいなかった、そしてともにプライベートの時間は空いている。


ともにサイクリング自体は好んでいるので、どちらかが無理やり引きずり込まれたということではなく、好きなもの同士が出会って仲良くなった話なので、読み手としてもすんなり、するっと読める。他方、サイクリングの魅力にはまる初心者としては、ふたりが仲良いことを偶然知った会社の同僚が、ダイエット目当てに参入してくるという設定で放り込んでくる。ここはちょっと一足飛びな気がするが…男性二人のサイクリングものを読んでいたい読者も結構いるのではと思ったが…。


上司のプライベートに関して、娘を早々に話に絡めてきたのはなかなかユニーク。そこから初心者向けの魅力を語っていくのかと思ったが。逆に主人公のプライベートに関しては特に深堀りせず。ここは会社の同僚が掘っていく感じなのかな。話を転がす人物として同僚を使っていくスタイルの様子。ちょっと投入が早かったような気もするが、さて…。サイクリングに殆ど興味のない身にも一巻は非常に面白かったので、続刊も期待してます。


【データ】
原田尚
サイクリーマン
【発行元/発売元】 講談社 (2019/9/20) ※電子版で購入
■評価→ B(佳作) ■続刊購入する?→★★★★
■購入:
amazon→ サイクリーマン(1) (モーニング KC)
かつて自転車選手として将来を嘱望された竹繁が、サイクリングロードで意気投合したロードバイク初心者の矢美津。二人は「自転車」という趣味でつながり、仲間になる。しかし、実は矢美津は、竹繁にとって気安く話せない人物だった…! 家庭の悩み、職場のストレス。自転車を漕ぐだけで、みんな後ろに吹っ飛んでいく! 新しい自分、新しい世界が見つかるファンライドストーリー、開幕! 読むと自転車に乗りたくなる!!


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【オススメ】 原秀則/しょうもない僕らの恋愛論


しょうもない僕らの恋愛論 (1) (ビッグコミックス)

■【オススメ】 「さよなら三角」や「冬物語」を読んでいた世代に ドンピシャにハマる優柔不断な大人な話。 …いや、読んでいた世代にとっては主人公の年齢はちょいと下になるような気はするが…

主人公は40代、キャリア二十年のデザイナー。 フェイスブックの友達リクエストに大学時代同級生だった 女性が申請してきた。その翌日、友人から その彼女が死んだと聞かされる。


爽やかかつ優柔不断な優しさで包まれた話。 彼女の葬儀の際に娘と出会い、その娘は 母が昔好きだったという人に興味を持ったのか 彼に会いに来るようになる。…このあたりは いい年したおっさんの夢のような話になるが… なにせ彼が出会った頃の彼女を彷彿とさせる存在なわけで、 青春よもう一度的な部分がある。


とはいえ中年男にはこの段階では別に下心も何もない、 というのが著者の作品らしいところ。 亡くなった彼女との別れは、急に父が倒れて 家業を手伝う必要があり家計の問題もあって 大学からも東京からも離れたことが原因、と。 …その割に大学時代の友人と連絡取り合う中に 戻っているところがご都合主義な感じもするが、 その後東京に戻り、かつ彼女は結婚したと聞いた、 となれば彼女とだけは連絡する関係に戻らなかった のも普通か…。


さらに。さかのぼって高校時代の同級生との 交友関係も続いている様子。彼のことが今でも 好きな女性とは飲み友達。…うん、著者の作品らしい…。 一方で主人公は結婚歴があるような描写もあり。


そんな状況で、主人公自身は会社では後輩を育て 仕事を譲るようにも言われ、取引先ではずっと 手掛けてきた作者の装丁もどうやら別の人のところへ 依頼があったようで、自分はもう古くなっているのか、 と思いはじめてもいる。と、公私ともに中年クライシス状態。


話としては、亡くなった彼女の娘が、あなたの娘です、 と彼のところへ行くのならわかりやすいのだが、 そうでないのでちと話として良くわからない部分がある。 年齢的に辻褄があわない設定なのでそういう話では絶対ないから、 思春期の少女の女心ゆえの行動なのだろうが、 わかるような、わからないような…でも父親の姿が今の所見えてこないので、 だからなのかな、とも思う。話は基本的に主人公の側にあるが、 鍵を握るのはこの少女であり彼女がトリックスターであるはずなので、 その子が今後どんな行動に出てどう納得させてくれるのか、 を見届けたい。


【データ】
原秀則
しょうもない僕らの恋愛論
【発行元/発売元】 小学館 (2019/7/30) ※電子版で購入
■評価→ B(佳作) ■続刊購入する?→★★★★
■購入:
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恋愛漫画の名手、待望の新作!! デザイン会社に勤める拓郎の元に、ある日フェイスブックの友達申請が。それは、二十年前、彼が好きだった女性、安奈からのものだった。 だが翌朝、安奈の死の知らせが…現実を受け入れられないまま葬儀に出席し拓郎は、安奈の娘、くるみから声をかけられる。 そして三か月後、突然くるみが拓郎の家を訪ねてきて…!? 過ぎ去った過去の後悔やこの先の人生に悩む40代の主人 公・拓郎と、そんな彼を想い続ける同級生・絵里、 そして拓郎に興味を示す女子高生・くるみたちが織りなすラブストーリー!!


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【オススメ】 寺坂研人/ビーストチルドレン


ビーストチルドレン 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)

■【オススメ】これくらい強引な展開でないと スポーツ漫画の一巻は厳しいのでは…。

たまたま見に行ったラグビーの試合に心奪われた少年は、 その後も一人練習を続ける。そしてようやく、ラグビーを 知る同世代に出会い、勧められた高校に進学する。 そこには彼が心酔する選手が作ったラグビー部があった。


スポーツ漫画の典型のひとつ、 見いだされていない天才もの。 一人で練習を続けてきた、という話で、 だからこそ傍目からは無茶な練習をこなしてきた、 というのは物語としてなくはない。


進学した先で才能を認める人がいるという のも良い話。いきなり試合に起用される、 というのもその人物が認めたらありだろう。 その展開だからこそスピード感もあり、 読む側も乗せられる。


雑誌で他の作品もあるなか細切れで読むとどうなのか知らないが、 単行本で読む分には勢いがあった。 ありえないという点ではスポーツ漫画の殆どがありえない わけで、そこを本作は熱量のある勢いでカバーしており、 読ませると思うのだが…。


【データ】
寺坂研人
ビーストチルドレン
【発行元/発売元】 集英社 (2019/9/4) ※電子版で購入
■評価→ B(佳作) ■続刊購入する?→★★★★
■購入:
amazon→ ビーストチルドレン 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)
ラグビー一筋、熱中すると周りが見えなくなる少年・桜。ラグビーを通して本気でぶつかり合える相手を探す中、同じ学校のユキトと出会う。彼がラガーマンだと知った桜は、一緒にラグビーをしようと持ちかけ!?


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【オススメ】 春原ロビンソン、ひらけい/姫様“拷問”の時間です


姫様“拷問”の時間です 1 (ジャンプコミックス)

■【オススメ】敵に囚われた姫君があれやこれや と拷問を受ける。ただしエログロ一切なし。

魔王軍の手に落ちた国王軍の王女。 騎士団長でもある姫君は、監獄の中で、 拷問を受けることになるのだった。


が。内容は、表紙の絵にあるような中身。 基本的に食べ物で姫様をつり、食べたいが 故に口を割らせるのだった。優しい人たちの 優しい拷問話。まぁ、魔王軍なので、人ではないのだが。


和気あいあいとしながらの拷問タイム。 そして。姫様の暴露する秘密ネタはたいしたものがなく、 ときに重要なものはあるがそれを魔王は採用しない、 などという馬鹿げたコントが延々展開されていく。


ワンパターンのコントだが、拷問コントには トリビア的なお役立ちネタも含まれるようになり、 食べたいよりもったいないなどの心くすぐるネタに 転化していき、案外バリエーション豊富で飽きることなく 一巻を読み終えた。巻を重ねても面白く読めるかどうかは 展開次第だが…。


【データ】
原作=春原ロビンソン、漫画=ひらけい
姫様“拷問”の時間です
【発行元/発売元】 集英社 (2019/9/4) ※電子版で購入
■評価→ B(佳作) ■続刊購入する?→★★★★
■購入:
amazon→ 姫様“拷問”の時間です 1 (ジャンプコミックス)
国王軍と魔王軍が衝突を始め幾年月。王女にして国王軍第三騎士団“騎士団長”の姫は、魔王軍により囚われの身となっていた! やがて、姫に待ち受けるのは斜め上の拷問の数々で――!? 最も残酷な拷問の時間が今、始まる!!


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【オススメ】 クロマツテツロウ/ドラフトキング


ドラフトキング 1 (ヤングジャンプコミックス)

■【オススメ】他と違う癖のある、でもその眼力ゆえに 一目置かれているスカウトマンのお話。面白い。

主人公はプロ野球のスカウトマン。しかしドラフト候補生に、 うちの球団も指名するかもしれないがお前はプロでは通用しないので 行くな、と忠告するような人物。そしてその候補生は プロ入りしたが通用せず5年で引退することになるのだった。


その候補生だった人物もスカウト部に入りつつ、 勝手な動きをする主人公に右往左往しながらバディもの的に 展開していくプロ野球裏方話。


皆が注目する選手をドラフト で指名してもしょうがない。狙うのは新人賞を獲る選手ではない。 ドラフト下位からでも下剋上し、数年後に、あの年のドラフトで 一番活躍しているのはこの選手だ、というドラフトキングを獲るのが 目的だ、というスカウト部長の発言が本作のすべて。


野球選手には、野球が好きで好きでしょうがない、という人が向いている、 というのは確かにそうかもしれない。何かのバランスが崩れたときに、 それでも自分を信じて続けられるのは、それが好きでないと難しい。 たぶんに個人の力量で行う範囲の広い仕事ほど、そういうことに なるのだろう。ちなみに自分の裁量だけでどうにかなるわけではない仕事は 好き嫌いの強度はあまり関係ない気がする。


主人公の好物が「黒松」のどら焼きだということなので、 十条在住者としては評価高めにしました(うそです。) 後半の話は、社会人野球の選手のプロ入りの道を スカウトマンが閉ざしたという一方で実はその選手とスカウトマンは 仲良く交流しているという内容で、その真相は巻またぎという構成。 続刊が気になるが、実は2巻同時発売。続刊をすぐ買いました。


【データ】
クロマツテツロウ
ドラフトキング
【発行元/発売元】 集英社 (2019/8/19) ※電子版で購入
■評価→ B(佳作) ■続刊購入する?→★★★★★
■購入:
amazon→ ドラフトキング 1 (ヤングジャンプコミックス)
全てのプロ野球選手が通るプロ野球の入り口、ドラフト。その陰には、高校野球、大学野球、社会人野球、独立リーグ…全ての野球選手の中から隠れた才能を見出し、プロへと送り込むスカウトマン達の活躍がある!! 並外れた眼力を持つスカウトマン郷原が見出した選手とは…!? その年のNo.1選手、ドラフトキングの獲得を目指すプロ野球スカウト譚開幕!!


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