【オススメ】 カルロ・ゼン、石田点/テロール教授の怪しい授業


テロール教授の怪しい授業(1) (モーニング KC)

■【オススメ】テロリストとは何か、 を考えさせる教育もの。異色作。

大学で上京してきた類の少年。大学の新歓の波を抜けたところで一息ついていると、ボランティアサークルだという人たちに声をかけられる。そこに割って入る男女。優しい人たちかと思い心を許しかける少年。そこに大学教授が一声。「カルトや危ない連中は茶番をよくやります」と。そうして、自らのゼミで新入生相談会をやっていると案内するのだった。


開放的なレクリエーションから次第に閉鎖的になっていくというカルト勧誘の定番を忠実に再現して、それに引っかかってしまった学生をテロリスト予備軍として扱い反テロリスト教育を行うゼミの話。自分がひっかかるはずがない、と思いこむ教養の高い人がテロリストになりがちであるというのは世界の常識。自己がない人が流され、外界から孤立して組織で煮詰まり、育まれてしまった自己に固執する。選んだつもりが選ばせられている、という悪い循環。


「善意だけの人間には困ります」「良いことをしたいと思うのは結構!!」「ですが年端もいかない若僧が勉強もせずに世界を救えるのはハリウッド映画の中だけです!!」


実際問題、何かしようと前向きである人が色々と引っかかりやすい。何か善いことがしたいと思う人ほどそうなのだろう。「何か」したい、でもその「何か」は「何か」でしかなく漠然としている、というのが厄介。手段を目的と混同するとそういうことになる、ということか。


こうした内容を、ゼミの中で討論を展開するだけの話とせず、きちんと背景に物語を走らせながら描くのが本作の魅力である。


【データ】
原作=カルロ・ゼン、漫画=石田点(いしだてん)
テロール教授の怪しい授業
【発行元/発売元】講談社 (2018/12/21) ※電子版で購入
■評価→ B(佳作) ■続刊購入する?→★★★★
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泣く子も黙るローレンツ・ゼミには、今年もそうとは知らない学生たちが集まっている。「あなたたちはテロリスト予備軍です。」予想だにしない一言に愕然とする生徒たち。脱落=テロリスト認定。恐ろしすぎる授業が始まる――。そもそもテロリズムとは何か? 日常に潜むテロの根っことは? 今までメディアで語られてきたテロ論は全部ウソ。テロ教授が教える、知るのは怖い、知らないのはもっと怖い「テロとカルト」の真実。



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【オススメ】 澤江ポンプ/パンダ探偵社


パンダ探偵社 1 (torch comics)

■【オススメ】難病ものの人情もの。 その難病が、動物に变化してしまう、という ものにしている点が諸作との違い。

狼男が実際にいる世界の話。主人公も、いわゆる 変身病にかかっていた。最終的には人格が失われ完全に 別の生物へと変容するのだという。彼が変わるのは、 ジャイアントパンダ。


パンダ、というキラーアイテムを出してきている割に、 表紙に見るようにその造形は微妙。でも他の動物の絵は キレイに描いているので、これはわざとなのか?


彼は教職をクビになり、先輩に誘われ探偵職に。 携わるのは、変身病絡みの仕事。そこで彼は青臭い 思想でもって行動する。バディものの基本で、 わかっている先輩とわかっていない後輩という 図式を愚直に踏襲しており、これは、話自体は 極めてオーソドックス。


そして、ウェット。動植物に変身してしまう病は、 最終的に人としての自我をなくしてしまう「山月記」 状態。自身もそうなってしまうことに心構えが できていない主人公。彼の行動は色々ともどかしい。 一方で、出来た人として先輩が存在しているのは、 話の構成としては凡庸な気もするが、 見た目奇妙な話をコメディやコントとしてではなく 展開していくには、このベタさが良いのかもしれない。


【データ】
澤江ポンプ (さわえぽんぷ)
パンダ探偵社
【初出情報】トーチweb(2018年) 【発行元/発売元】リイド社 (2018/12/27) ※電子版で購入
■評価→ B(佳作) ■続刊購入する?→★★★★
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現代の“変身物語”開幕――!! 身体が徐々に動植物に変化していきやがて人格が失われる不治の病“変身病”。 パンダ化進行中の半田と学生時代の先輩・竹林は変身病に関わる案件専門の探偵業を営む。 そんな彼らに舞い込む5つの依頼、その結末は…!? ヒトでなくなっていく変身病者たちの覚悟と選択、そして残された者に宿る勇気と希望の物語。
!! 才能を賞賛する漫画家多数 !! 『金剛寺さんは面倒臭い』とよ田みのる ――“ネームも絵もセンスありすぎて怖い” 『バイオレンスアクション』室井大資 ――“最新天才作家・澤江ポンプ、堪能しました” 『メタモルフォーゼの縁側』鶴谷香央理 ――“直視できないくらいかっこいい漫画です”
※電子版は電子限定描き下ろしイラストを6枚収録!


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澤江ポンプ/悟りパパ

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【オススメ】 まるかわ/よろずの候


よろずの候(1) (ウィングス・コミックス)

■【オススメ】妖怪との交流話。地方を特定した舞台であることと、 オムニバス形式なところが特色の、ほんわかとした作品。

路上で瀕死だったネズミを助けて以来、 女性は彼につきまとわれている、 というエピソードで始まる作品。


バケネズミを女性は冗談だと思っていたが、 結局しまいには信じることになる。 その後もこの町をめぐる話が続くが、 登場人物は変わっていく。でも連関はしていて、 ひとつの大きなコミュニティが描かれていく。


最初のエピソードと違い、続くものからは、 妖怪が普通に社会に溶け込んでいる話となっており、 若干その世界観に面食らうが表紙を見れば まぁそういう話なのだろうという想像はつく。 そもそも妖怪がいて当然という前提がないと 話は広がらない。


そのあたりさえ飲み込んでしまえば、 ほんわかとした話が広がる。 人の良い妖怪ばかりではないが、 そこを仲介する存在があって、 それで万事なんとなく転がっていく、 というのは社会の描き方として素晴らしい。 巻数重ねていって欲しい作品である。


【データ】
まるかわ
よろずの候
【発行元/発売元】新書館 (2018/10/25) ※電子版で購入
■評価→ B(佳作) ■続刊購入する?→★★★★
■購入:
amazon→ よろずの候(1) (ウィングス・コミックス)
人間と妖怪、神様が共存するのどかな町に住む、ちょっぴりヘンテコで優しい面々。彼らが引き起こす七十二候(しちじゅうにこう)にまつわる事件を美味しい食べ物と季節の風景で彩る、静岡県・遠州(えんしゅう)地方を舞台にしたほんわかオムニバスストーリー!


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【オススメ】 琴川彩/今宵、オオカミホテルでランデヴー


今宵、オオカミホテルでランデヴー (プリンセス・コミックス・プチ・プリ)

■【オススメ】ミニマムな登場人物で様々な 仕掛けを用意した小洒落たシチュエーションコメディ風 ホテルもの。

冒頭からヒロインの意図せぬ再会シーンで始まる 物語。舞台は近日オープン予定のホテル。 そこでオーナーが留守の間に代理をつとめるのがヒロイン。 再会した相手はコンシェルジュとして雇われた男性。 彼は、活躍中の人気俳優。だけれども訳あって 干されているのだとか。そして、そもそも彼は 英国喫茶でお互いスタッフとして出会い、恋に落ちた 相手だった。


設定が盛りだくさんな物語で、その分浮世離れしている のだが、可愛く仕上がっているキュートなお話。 設計はミステリに近く、全体を指揮している神のような 存在のオーナーがおり、その下で思惑のありそうな 俳優とそして小説家も合流。全体的にはヒロインが その中で翻弄される話で、方向性は全く違うが 不条理ゲームものに似た構造。


ヒロインの過去のトラウマを解きほどいていく、 デトックス的な物語。この先の展開も 悲しくなることはないと思われ、 続刊も安心して読めそう。


【データ】
琴川彩 (ことかわあや)
今宵、オオカミホテルでランデヴー
【発行元/発売元】秋田書店 (2018/12/14) ※電子版で購入
■評価→ B(佳作) ■続刊購入する?→★★★★
■購入:
amazon→今宵、オオカミホテルでランデヴー (プリンセス・コミックス・プチ・プリ)
かつて心に深い傷を負わされた人気俳優の高瀬と、なんの因果か同じホテルで働くことになった小都子だけど……!!? ワケあり芸能人との恋模様、交錯する想いの行方やいかに……!!?


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琴川彩/Cafe南青山骨董通り since 1962
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【オススメ】 すもももも/亡国のマルグリット


亡国のマルグリット (プリンセス・コミックス)

■【オススメ】 亡国の遺児もの。いくつかの要素を組み込み 一巻から充実で読ませる。

戦いに破れ逃げる幼い王女、森の中で 傷ついた侍女とも離れ、野生の狼が迫る なかで気を失った。そして、気づくと彼女は、 家の中にいた。


助けたくれた村人は、彼女を 病弱な息子と偽って追っ手から匿った。 本来の息子は病死して弔ったばかり。 彼女はその息子として育てられる ことになるのだった。


亡国の遺児もの。そのまま村では男子として 育てられることになる。その時点で無理がある わけだが、そこはあまり他の村人を絡めないことで さくっと進める。その上で、見慣れぬ粗暴な 男たちが村に現れたという情報、さらには 身なりの良い人物と怪我した護衛を登場させ、 彼らを主人公が村に導き入れることで 新たな展開につなげていく。


そのエピソードを経て、主人公は 男として生きていくのはこの先無理であり、 とはいえ村人に真実を告げるわけにも行かず、 そこで育ての親に、 人の行き交う大きな都市に出て女性として 生きるのがよかろう、と 信頼できる人物のもとへ送り出されることになる。


おかげで一巻のうちに好人物である育ての親が 物語のメインストリームから退場してしまう ことになるのだが、そうした贅沢な作りに したおかげで話のスピード感、濃密度は増した。 巻末に至る展開は急すぎて、そこまで転がらなくても いいのでは、それはよくある話と同じになってしまうのでは、 という危惧はありつつ、丁寧な構成で読ませる。


【データ】
すもももも
亡国のマルグリット
【発行元/発売元】秋田書店 (2018/12/14) ※電子版で購入
■評価→ B(佳作) ■続刊購入する?→★★★★
■購入:
amazon→ 亡国のマルグリット (プリンセス・コミックス)
ルナリア王国の幼い王女・マルグリットは、命を狙われていたところをエルベ村のクリストフに助けられる。それから10年、息子・ニコラとして育てられたが、ある日襲われていた金細工師見習いのルネとレオを助けたことで……!? 傷を抱えた少年少女のヨーロピアンロマン、開幕!


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すもももも/センゴク男子 花の乱

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【オススメ】 原克玄/プレイボーイ侍


プレイボーイ侍 (少年チャンピオン・コミックス・エクストラ)

■【オススメ】 もてすぎるプレイボーイの 次元の違う生き方が突き抜けていて素敵な 4コマもの。

スーパーでバイトしている21歳の大学生は、 同時期に入った31歳のフリーターの無気力さ かげんにあきれていた。しかし、その人は、 スーパーの女性全員としたことがある、 というのだった。


シュールな設定だが妄想話や不条理話ではなく、 実際に無茶苦茶にもてる男の話。 彼がもてる理由を彼の持つ理念のせいと 思わせるツイストかげんが本作の魅力。 そして普通のもてない男子 を狂言回しとして配置したことで、 地に足のついた話となった。


このもてるプレイボーイが、 自分だけがやるのは卒業、周りにも全員お持ち帰り させることを夢して掲げたことで、狂言回しの学生 が生きる展開に。とはいえ、後に別の流派な モテる男が登場し、その人物の唱えるモテロジックが 理解しやすい理論である一方、 そこからは31歳プレイボーイの 超人かげんがより強調されていく。 終盤ではモテはやされる女対モテる男の頂上決戦 的な展開に。これを続刊でどう落ちをつけるのか が楽しみ。


【データ】
原克玄 (はらかつのり)
プレイボーイ侍
【発行元/発売元】秋田書店 (2018/12/7) ※電子版で購入
■評価→ B(佳作) ■続刊購入する?→★★★★
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amazon→ プレイボーイ侍 (少年チャンピオン・コミックス・エクストラ)

宇宙一モテる男・天谷さん(31歳/フリーター)が、モテない大学生・小向君に究極のモテテクを伝授!? 青年誌を中心に唯一無二な作品を発表し続ける孤高のギャグ職人・原克玄の実体験(?)を基に描く超実践的モテ指南ギャグ!!


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原克玄/かばやし
原克玄/みんな生きてる

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【オススメ】 宇佐美真紀/スパイスとカスタード


スパイスとカスタード(1) (フラワーコミックス)

■【オススメ】幼馴染の女の子が男子についに告白。 10年越しの思いは叶ったのだけれど、 付き合っていることは口外禁止と言われてしまうのだった。

子供の頃から10年間、ずっと好きな幼馴染。 一緒の高校に通っているが邪険にされつつも、 女子は彼に告白する、という。 相手は恋愛禁止の部活に入っているのに? と言われつつ玉砕覚悟の突撃は、 当然のように失敗…というのは表向き。 彼の前で、どうしてもダメならもう追いかけるのやめる、 と涙ながらに決意したところ、彼からは思わぬ返答が。 責任だから付き合う、と。ただし、付き合っていることは 絶対に誰にも言うな、というのが条件だった。


可愛らしい作品。上手い。ヒロインは本当に裏表ない。 駆け引きなどしているわけではなく、 ダメなら諦める、というのも涙も本心から。 ピュア。一方の男子は、ツンデレ系。 彼女のことは当然気になっている。とはいえ自分から 行動するようなところまでになっていない。 そもそも部活も恋愛禁止。でも、 彼女を泣かせたくない、悲しませたくない。 そして、他の人に取られたくない、という感情は密かにある。


障害のある恋愛ものはそれゆえ展開しやすく面白い、 という王道。その障害が、二人の仲を考えたら 別に大したものではない、という基本線もきっちり。 とはいえ高校生にとって部活を退部しなければいけない という話はそれなりに大きく、それゆえ隠そうとする のも妥当な行動であり、話の展開に無理がない。


初々しくてオススメ。 巻数重ねて4巻まで出ています→「スパイスとカスタード」4「ココロ・ボタン」番外編小冊子付き限定版 (Betsucomiフラワーコミックス)


【データ】
宇佐美真紀
スパイスとカスタード
【発行元/発売元】小学館 (2017/2/24) ※電子版で購入
■評価→ B(佳作) ■続刊購入する?→★★★★★
■購入:
amazon→ スパイスとカスタード(1) (フラワーコミックス)

小さな頃からずっと抱えてた チカくんへの気持ちが 温められて孵るみたいに あたしチカくんに 本当の恋をしたんだよ *** タマは10年間、片想いしてた幼なじみの チカくんとつきあえることに。 ニヤけ顔が止まらないタマはHAPPYモード全開〜〜!!! と思いきや、チカくんの入ってる剣道部は恋愛禁止! もしつきあってることがみんなにバレたら 「即刻別れる」とチカくんにいわれてしまい―・・・!? ツンデレメガネ男子と一途なあまかわ女子の ドキドキいっぱいのナイショのおつきあいスタートです!! 『ココロ・ボタン』『夕暮れライト』の宇佐美真紀、 待望の新作コミックス第1巻、ついに登場!


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宇佐美真紀/恋*音
【オススメ】 宇佐美真紀/春行きバス
宇佐美真紀/幸せいくらで買えますか?

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