【オススメ】 中溝康隆、富士屋カツヒト/ボス、俺を使ってくれないか?


ボス、俺を使ってくれないか? (ヤングアニマルコミックス)

■【オススメ】一巻完結野球もの。 メリハリあって勢いあるので一巻ものとしてオススメ。

ドラフト5位入団で3年めの25歳、 2軍暮らしの一軍童貞。 彼女は年上の29歳で同居中。 彼女は年齢もあるのかクビ同然の 主人公とでも結婚したいらしい。 実家が和菓子屋である彼女は一人娘。 家業を継ぐこと前提の引退なんてまっぴら、 と思っている主人公に、彼女は 今度出る試合で最初のバッターを三振にとれたら 来年も野球続ければいい、そのかわり取れなかったら 今度こそ実家に顔を出すこと、と。


そんなギリギリ2軍野球選手の話、 かと思いきや話の転がり方は急。 1軍が手薄になり昇格しいきなり先発、 それなりの結果を残すも大物のFAにより移籍、 しかし移籍先では重宝され、ローテの谷間で 再び先発…。という、まぁ、漫画ならではな 話が続々と。勢いがあって楽しいが なんぼなんでも急展開、と思っていたら、 一巻にて完結。なるほど、それならこれでもいいか。


女性の揺れ動く思いのほうにフォーカスしたほうが 作品としては深くなったのではないかと思うが、 勢いを考えたら本作の構成で正解か。ところで原作本だと 野球にまつわるいろんな人の人生を描く話なのか。 →ボス、俺を使ってくれないか? 続編があってもいいのかも?


【データ】
原作=中溝康隆、漫画=富士屋カツヒト
ボス、俺を使ってくれないか?
【発行元/発売元】 白泉社 (2019/4/26) ※電子版で購入
■評価→ B(佳作)
■購入:
amazon→ ボス、俺を使ってくれないか? (ヤングアニマルコミックス)
これぞリアルプロ野球! 崖っぷちの2軍投手・石原はプロ入り3年で1軍登板ゼロ。いよいよ戦力外か? というタイミングでFカップの彼女から「引退して家業を継いでよ」と迫られる。そんな追い込まれた石原に1軍から声が! チャンスを掴めるか!?


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【オススメ】 尾崎かおり/ラブレター


ラブレター (アフタヌーンコミックス)

■【オススメ】 物事は一面ではなく少なくとも表裏二面あり 実際は多面的である、という話。

電子版では切り出されて販売されている短編。 電子書籍の利点だろう。単行本では 「金のひつじ(3) (アフタヌーンKC)」 に併録されている。「金のひつじ」は、 もっと冒険の話になるのかと 思ったが、現実的な話で終わっちゃったな。 中途半端な話になっちゃたなという感があるが、 まぁまとまってはいた。


さて題名の作品だが、魂が神様の選んだカタログから 自分の生まれるべき物件を探すという話。 主人公は、十代のシングルマザーの子になることを選んだ。


話は賛否両論ありそうな内容。 ネグレクトを正当化するのか、という凡庸な批判も 出てきそう。ただ、亡くなった子の魂は、 実際、この話が描くようなものに近いんじゃないか、 とは思う。「あのまま大人になったら僕はいつか 彼女を憎むようになったかもしれません」というのが イイ線をついている。無償の愛を描いたら、 こんな話になるのだろう。それは結構なハードモードだ。


一方で、人間は平気で他人を批判する。 それは自分を安全地帯においているからだろう。 ただ、自分が非難されないところでしか人は他人を非難しない、という 話では案外なかったりする。 他人の嫌なところはたいてい、自分自身の嫌なところである。 他人を非難する人は、その非難している材料を 大抵は自分の身に抱えている。 それが顕現しないで済む場合に安心して非難しがちだが、 ブーメランのように返ってくることも多々ある。 自分がしていることの贖罪となると思い込んでいるような人も多い。


「人間たちは善と悪という幻想を作り出し自分たちを仕分けることにした」「みんな善の側に立とうと必死だ」と。 そうね。悪を非難していると自分が善の側で正しい側だと思えるのかもしれない。そんなわけはないのだが。やっていることは、他人を非難しているだけなので。それは善行でもなんでもない。


まぁそんな話ではなく、この話は、愛ってこういうものかもしれない、 理不尽だし融通は効かないし、取り返すことも不可能だが。 本当は取り返しがつかなくなる前に出会えたら一番だったのだろうけれども。


【データ】
尾崎かおり
ラブレター
【発行元/発売元】 講談社 (2019/4/23) ※電子版で購入
■評価→ B(佳作)
■購入:
amazon→ ラブレター (アフタヌーンコミックス)

『神様がうそをつく。』『金のひつじ』の尾崎かおりが贈る、母子の物語。生まれる前の魂の「僕」。神様に、誰の元に生まれたいかと問われ、僕は彼女を選んだ。彼女は魚沼麻子、17歳。家出中でスナックで働いている。彼女と僕は、僕の父の家で暮らし始めるが、そこでの生活は長くは続かなかった……。雑誌掲載後、大きな反響を呼んだ傑作読み切りを電子書籍化。※本作は「金のひつじ」3巻にも収録されています


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【オススメ】 メノタ/果ての星通信


果ての星通信1 (PASH!COMICS)

■【オススメ】異星に飛ばされその施設で10年間を過ごす はめになった青年の巻き込まれ型SF。

生まれ育った地を離れ彼女と世界旅行に出るはずだった青年。 かれは10年前、雷に打たれたことがあった。そのとき見た夢では、 異星人に、君が必要だ、10年後に迎えに来る、と。 そして今がその10年後だった。かくして彼は、体に異変が起き、 気がつくと見知らぬ異世界にいた。


そこはモスリという名の惑星。宇宙の創造主が仕事に飽き、 それ以来、代行機関が星を作り宇宙を回しているという。 その役割を担うのが青年の仕事。あらゆる星から無作為に 選出された若者たちにより星の時間で10年間、 任務を務めるのだという。


かようにして巻き込まれ型サスペンスならぬSFとして話は 展開していく。異文化交流ものとしての面白さに加え、 星は作るものだ、という特殊なファンタジー設定が ぶっとんでいる。そんな中、主人公は地球に帰りたい 一心で行動する。


普通は観念して諦めそうだが、というか他の異性人たちは そのような素振りは見せず馴染んでいるのだが、 彼女を残してきたことが心残りであるとはいえ 何とか地球に戻る手段を探そうとする主人公の 思いは強い。その行動ゆえに物語の流れがいちいち戻され、 世界の全体像も見えづらくなっている感はあるが、 普通に未知の世界の探索で終わるだけの話よりは 物語にメリハリがついている面はあるかもしれない。


異星、異文化の描写は面白い。 とはいえ普通に考えればこの世界は異星というよりも 死後の世界的なものと考えたほうが良さそうな感じもするが…。


【データ】
メノタ
果ての星通信
【発行元/発売元】 主婦と生活社 (2019/4/26) ※電子版で購入
■評価→ B(佳作) ■続刊購入する?→★★★★
■購入:
amazon→ 果ての星通信1 (PASH!COMICS)
大学を卒業し、恋人との世界旅行を計画していたロシア人青年マルコ。 プレゼントを用意して弾む気持ちで旅の準備をしていると突如、 彼の体に異変が起き見知らぬ土地に転移してしまう。
その土地で10年もの間、 ある重要な“任務”をこなすことになったマルコの異星人交流譚。


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【オススメ】 中川いさみ/重粒子の旅 −鼻にガンができた!−


重粒子の旅 ―鼻にガンができた!― (ビッグコミックススペシャル)

■【オススメ】 ガン治療の経験をここまで淡々と飄々と描いた 作品は他にはない。というか担当編集に当時一切 説明していなかったというのが一番凄いかも…。

鼻にできものができ、痛くも痒くもないが治らないので 医者にいったら生体検査を受けて悪性腫瘍と判明した 著者の体験を描いたエッセイ漫画。


がん治療漫画だが、著者の場合は 腺様嚢胞癌、ということでまた特別。 放射線も薬も効かない、手術で切り取るのがベストだが、 鼻全体を切り取ることになるらしい。 それに対してセカンドオピニオンを受けたところ、 重粒子線治療を提案される。ただし保険外治療で300万円。 著者の場合は、加入している保険に先進医療特約 がついていてカバーできることになった。


その後はその先進治療と施設について、淡々と、飄々と 描写されていく。僻地で通信もつながらず、孤独感も増す、 鼻は赤くなり後遺症は残る、放射線治療は一生を通じて一つの部位 でできる量は限界が決まっている。再発の可能性は常につきまとう。 状況はシリアス。そんな自分の話を、こうして客観的に突き放して 描写できるのは、凄い。まぁ、担当編集者に入院通院の 話を一切していない人なのだから、作品もこうなるということなのかもしれない。


がんから生還したがゆえの話ではあるし、民間保険で特約をつけたほうがいいというのはケース・バイ・ケースでもある。そうしたことを百も承知のうえで読むべき作品ではあると思う。


【データ】
中川いさみ
重粒子の旅 −鼻にガンができた!−
【発行元/発売元】 小学館 (2019/4/12) ※電子版で購入
■評価→ B(佳作)
■購入:
amazon→ 重粒子の旅 ―鼻にガンができた!― (ビッグコミックススペシャル)
泣き笑いの5年間。秘めてきたガン闘病記!
『クマのプー太郎』でもおなじみ、ギャグ漫画家 中川いさみ――実はガンでした。
当時51歳。鼻のおできがガンと診断され単身、兵庫県で“重粒子線”治療を開始。
担当編集者にも隠し通した(!)約2か月間の 入院生活は……ヒマとの格闘、謎にSFチックな風景の数々、あり余る妄想、そしてご当地グルメ散歩に満ちていた!? (神戸牛、姫路おでん、海鮮丼、牡蠣カレー…うまいもの登場頻度高め!)
笑ってられない現実にも笑いを見出す、ギャグ漫画家のサガがここにある。
生きる。描く。生きる。命のふちを旅した、泣き笑いの5年間―― 中川いさみが見つめた「生きること」の意味。


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【オススメ】 今越章了/開演のベルでおやすみ


開演のベルでおやすみ 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)

■【オススメ】自信のなさゆえに他人を演じる ことに長けた少年が、演劇部にスカウトされる。

転校生は周囲を気にしすぎて自意識過剰な少年。 彼は自己紹介の挨拶で失敗したことを悔み、 クラスの王子と呼ばれる彼ならこうしたのだろうな、 と放課後一人で実演してみた。その現場を、 他ならぬ真似した当人に見られてしまう。そして彼に 協力を求められる。それは演劇部の代役だった。


急に転校してしまった部員の穴を埋めるため、 文化祭の公演での代役を求められた主人公。 役柄の人物像を自身で解釈して作り上げて欲しい、 と言われたことに、自分がいつも逃避してきたことを 当てはめてみると、部員たちに絶賛される。


自分に自信のなかった人物がふいに能力を見出される 物語。自分の居場所を見つけられた、幸せな物語でもある。 そして、ダイヤの原石物語であるので、磨かれる過程も 描かれている。メンター役なのが同級生というのは 出来すぎているが、そのおかげで話の運びはスムーズ。


更に、他校の注目の演劇部員とも遭遇、その彼女から 彼も注目される、という流れなのは秀逸。 割と多くある演劇もの漫画の中で見比べた場合、 粗もあるかもしれないが、勢いはなかなか。


【データ】
今越章了
開演のベルでおやすみ
【発行元/発売元】集英社 (2019/4/4) ※電子版で購入
■評価→ B(佳作) ■続刊購入する?→★★★★
■購入:
amazon→ 開演のベルでおやすみ 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)
「僕」以外の「誰か」になりきることで、グズな自分を責める気持ちを抑えていた高校生・吉井すばる。転校初日、誰もいない教室で、周りから「王子」と呼ばれる同級生・御影千理になりきる姿を本人に目撃されてしまい…!? カーテンの向こう側に知らない自分が待っている…! 白熱の高校演劇ストーリー、開幕!


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【オススメ】 高橋葉介/師匠と弟子


師匠と弟子(上) (ぶんか社コミックス)

■【オススメ】 幻術師と、そこに弟子入りすることになった 少年との話。歪んだ愛情を飄々と描く。

表紙のとおり、ひとつ目で角が生えた 少年が主人公の話。とはいえそれは 彼自身が認識していた姿で、実際はそのような 異形なわけではなかった。それは彼に憑いていた ものの仕業。そして他にも妖怪の類が見える彼は、 幻術師である師匠のもとへ預けられたのだった。


ただそれは不義の子を厄介払いしたいという 母の意向もあったとか。それを皮肉る師匠に、 少年は別に悲しくもないと答える。そして、 私は本当に少しも悲しくはなかった、と。 しかし第一話の終わりには泣く少年を描きつつ、 これは別に私が泣いているわけではない、母が恋しくて 泣いているのではない…とだけさらりと書く。


話は幻術師としての師匠の仕事っぷりを中心に 描かれるが、そこで顕れるのは様々な人の 歪んだ愛情。客もそうだが、少年の母も、姉も。 そして師匠の姉弟子も。女は油断ならないので 信用するなと師匠は言いつつ、相手を始末する わけでもなく返す。じゃれ合いでもあるが、 弟子に対するOJTにもなっている。


各エピソードの最後の一コマでさらっと落とす 構成は文学的。少年の母も、厄介払いを したい割に百戦錬磨の師匠に子を委ねており、 さて本心は?という謎解きもあり、 下巻も楽しみ。 → 師匠と弟子(下) (ぶんか社コミックス)


【データ】
高橋葉介
師匠と弟子 (せんせいとわたし)
【発行元/発売元】ぶんか社 (2019/3/9) ※電子版で購入
■評価→ B(佳作) ■続刊購入する?→★★★★
■購入:
amazon→ 師匠と弟子(上) (ぶんか社コミックス)
母の不義の証として生まれ、妖が視えることで謎の幻術師・無名のもとに預けられた少年・無天が世の中の諸行無常を渡り歩く――。


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【オススメ】 安堂友子/マチ姉さんの妄想アワー


マチ姉さんの妄想アワー (上) (ぶんか社コミックス)

■【オススメ】昔話を改変した与太話。 手を変え品を変え面白い。この手のものは大の好み。

定型4コマもの。内容は、昔話や童話のパロディ。 それを、弟が姉に聞かされる体裁をとり、 姉が天然でナチュラルに話を盛ったり曲げたり暴走させたり している、という構成は一捻りあって面白い。


パロディ自体は面白いが、とはいえそこで面白さを 出し続けるのは問題がある。その中で手を変え品を変え いろいろ見せる工夫は凄い。同じ話をベースにして 色んな話があるのは、ネタの限界なのかと思いつつ、 バージョン違いの面白さと、さらには 姉のめちゃくちゃさを表現しているエピソードと 考えると絶妙。前に話した話と違うわけなので。


サンドイッチの中身だけを変えていけば良い話なのだが、 外側の部分、姉弟で構成している部分もいつのまにやら、 他の家族や姉弟の友達まで登場して膨らんでいく。 その割に、その昔話以外を構成する部分は およそ6ページ11本(最初のページは1本のみ)のネタのうち 最初と最後の2本に限定するストイックさ。


著作権フリーの題材を使ってそれを下敷きに フィクションを展開していく、というのは 正しい創造のあり方だと思っているので その点でも本作は個人的な理想にマッチ。 この手の暴走するバカなノリは大好きなので、 同時発売の下巻も買い。新シリーズとなって 連載は続行しているようなので、それも 単行本にまとまることをお祈りしつつ。


【データ】
安堂友子
マチ姉さんの妄想アワー
【初出情報】まんがホーム(2013年〜2015年) 【発行元/発売元】ぶんか社 (2019/4/12) ※電子版で購入
■評価→ B(佳作) ■続刊購入する?→★★★★★
■購入:
amazon→ マチ姉さんの妄想アワー (上) (ぶんか社コミックス)
幼い弟・トシのために、マチ姉さんが贈るオリジナリティーあふれた昔話の読み聞かせ! 誰もが知っている昔話の数かずが鬼才・安堂友子によって抱腹絶倒4コマに生まれ変わる! 伝説の作品が電子書籍でまとめて読める!


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