安藤なつみ/私たちはどうかしている


私たちはどうかしている(1) (BE・LOVEコミックス)

■老舗の和菓子屋を舞台にした 欲望と復讐の物語。ドロドロした話をスピード感を持って描く。

老舗の和菓子屋に住み込みで働くことになった母子。 一人息子ともなかよくなったが、 旦那さまが死亡、それに母が関与しているとされて 彼女たちは店を去った。


それから15年。子供だった女性は、和菓子職人に。 しかし職場に、母親が人殺しだ、というメールが送られ、 解雇される。そんな彼女に、見知らぬ男が持ってきたのは、 母からだという遺言。そして常連の依頼から、 結婚式の引き出物を賭けて、かつて住み込んでいた 和菓子屋と対決することにする。


スケール感の大きいような、その割に矮小化されているような、 読む分には面白いのだが評価するとなるとちと厳しくなる 類いの作品。母親の処遇がどうなったのか微妙であるし、 ヒロインに遺言届ける人物は誰って話であるし、 そしてその後の展開はもっと意味不明。 いきなり結婚を持ちかけられ、結婚式をぶち壊す。 これを、 スピーディな展開で強引に読ませていく。


しかしいまどき和菓子屋なんて舞台にしてどうするのか、 という思うのだが、作中でも経営うまくいっていないという ことは明言されてはいる。とはいえ探偵のいない金田一耕助もの という感じの雰囲気で、それは一体出口があるのか。


話がやや幼いことを気にせずに呑み込めるのなら、 楽しめるだろうサスペンスものである。すでに4巻まで発売済→私たちはどうかしている(4) (BE・LOVEコミックス)


【データ】
安藤なつみ
私たちはどうかしている
【発行元/発売元】講談社 (2017/4/13) 【レーベル】BE LOVE KC 【発行日】2017(平成29)年4月1日初版第1刷発行 ※電子版で購入
■評価→ C(標準) ■続刊購入する?→★★
■購入:
amazon→ 私たちはどうかしている(1) (BE・LOVEコミックス)
七桜は幼いころ、母が住み込みで働いていた老舗和菓子屋・光月庵で椿と出会う。しかしある事件が起き、殺人の容疑をかけられた七桜の母は逮捕され、七桜も追い出されてしまう。15年がたち、失意の七桜の前に現れた椿。二人は和菓子の腕を競って対決することに。七桜の人生を狂わせた椿。その憎い椿は、あろうことか七桜に自分との結婚を持ちかける。七桜をかつて幼なじみとだは気づいていない椿。思いもよらない言葉に七桜は!?


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しっぽの声(1) (ビッグコミックス)

■【オススメ】ペットを飼う、ということを シビアに扱った硬派な作品、なのだが 漫画としては非常にこなれており読みやすい。

窓の割れた家から外へ出ようとする犬たち。 そんなシーンから始まる物語だが、 犬目線の話というわけではない。 アンモニア化した糞尿の匂いが道路まで漂ってくる件の家。 その家は息子が動物の通販サイトを運営しており、 しかし犬が売れなくなったことで劣悪な環境で 放置されていた。そんな息子をかばいつつも もう限界で実際は助けを求めたい母親。


そこに動物愛護団体の女性と連れだち、 獣医師がやってくる。しかし中には入れない。 そこへ、 不法侵入も気にせず入っていく男が現れる。 その人物は動物愛護団体の人間曰く、 「お金持ちのおばあさんを騙して手に入れたお金で、 動物保護シェルダーを騙った施設を運営して・・・ 保護した動物を売りさばいたり、寄付金を騙し取っているそうです!」


偽悪的な人物を主人公にして、シリアスな 題材をシビアに描いていく作品。 主人公は評判は悪いが、真摯に動物のことを考えている。 一方でエリート獣医師は理想を振りかざしつつ、 その実現に邁進している。坊っちゃんではあるが 行動力はあり、この両者のバディものという形で 話は進んでいく。


そこから浮かび上がるのは、ペットの現実。 飼育崩壊したアニマルホーダー、 保健所で殺処分される動物。 注射による安楽死のほうが人道的だという主張や、 野良猫を捕獲し不妊・去勢手術を行って地域猫と して管理していくTNRなど、理想のような話は 結局は対処療法にすぎず現実を直視していないということ。


作品の肝は、「地獄への道は、無責任な善意で舗装されている」 というメッセージ。これでもって話を描いていくとなれば、 読んでいて心地の悪くなる人もいるだろう。 しかし、そういう人ほど読むべき作品と思われる。


【データ】
原作=夏緑、作画=ちくやまきよし、協力=杉本彩
しっぽの声
【初出情報】ビッグコミックオリジナル(2017年) 【発行元/発売元】小学館 (2017/12/27) 【レーベル】ビッグ コミックス 【発行日】2018(平成30)年1月1日初版第1刷発行 ※電子版で購入
■評価→ B(佳作) ■続刊購入する?→★★★★
■購入:
amazon→ しっぽの声(1) (ビッグコミックス)
動物の悲鳴に耳を傾けて!!!
繁殖業者、生体展示販売、引き取り屋、殺処分………… ペット流通において、 その命はどのように扱われているのか。 誰かと共に生きたくて、 生まれてきただけのペットが 我々の想像を超える状況に置かれていることがある。 声なき声に、 力を与えるも 殺すも人間。 アニマルシェルターの所長を務める天原士狼と 獣医師の獅子神太一は厳然と立ち向かう――


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正直不動産(1) (ビッグコミックス)

■【オススメ】やりての不動産営業マンが 呪いの影響で嘘をつけなくなる、という設定で 押し通していく話はユニーク。

女性をマンションに呼びつつ、次はもっと眺めの良いところに 引っ越す、と景気の良い話をする主人公。 羽振りの良い彼は、不動産会社の副課長というポジション。 トップセールスマンとして部長の座も目前。 そんな彼のセールストークは、本人曰く 嘘で塗り固めたもの。そう、夢を持っているらしい新卒新入社員を前に 言い放つ。


そんなやり手の営業マンが、地鎮祭を行う土地に 祠と石碑が残っているのに激怒、客がこれを見て テンションが下がる前になんとかしたい、と自らスコップで これを壊す。しかし、それ以来、彼に異変が。 嘘をつくことができなくなってしまうのだった。 しかも彼はもとから一言多い。なので、言わなくてもよい 真実の言葉が口から出てしまう。


騙す仕事で、嘘がつけなくなった者が生き残れるのか? というお話。不動産周りのお勉強をするには良い入り口となる 作品かもしれない。ちなみに、主人公の成績はやや後退。 ただし底辺まで落ちるというわけではない。 以前の自分のような凄腕の営業マンが新たに入社してきており、 その人物が抜群の成績を残すという対比。


その一方で、 主人公は新卒の子の指導役を任されてもおり、 理想と希望に燃える彼女とのバディものという面もある。 この新人を、単なる薄っぺらい理想ではなく、 自身の経験を踏まえた上でカスタマーファーストの 不動産取引をしたい、と考える人物としたことで 話に深さが加わった。実際、彼女は知識もあるし 知恵も絞り、長いスパンで考えて物事を提案する、 ということで主人公の横にいる単なる脇役ではなく、 主人公にも影響を及ぼす存在となりつつある。


仕事と物語と双方の面白さを描く作品。 ただ仕事や業界の素晴らしさを称揚する類い ではないので、他にはなかなか出てこない 稀有な存在となるだろう。 不動産業がすべて悪だとは思わないが、本来NGのはずの 両手取引が当たり前の世界ではこの本に言い返せる人は少ないのではないかと。 なお小説ではもっとシビアな実態を描いた本が いくつかありますよね。


ちなみに、不動産業なんて、それこそAIとか機械化とかで なくなってしまっていい仕事ではあるのだろう。 仲介業すべてがそもそもそういう性質。 買い手と売り手とがなかなか結びつかないものの仲介は 商売として残るだろうが、不動産はそうではないからねぇ。


【データ】
原案=夏原武、脚本=水野光博、大谷アキラ
正直不動産
【初出情報】ビッグコミック(2017年) 【発行元/発売元】小学館 (2017/12/27) 【レーベル】ビッグ コミックス 【発行日】2018(平成30)年1月1日初版第1刷発行 ※電子版で購入
■評価→ B(佳作) ■続刊購入する?→★★★★
■購入:
amazon→ 正直不動産(1) (ビッグコミックス)
不動産業界の闇を曝け出す皮肉喜劇!!
営業に必要なこと以外、客に見せも教えもしないーー そんな不動産業界に前代未聞の爆弾が、いま炸裂する!! 登坂不動産のエース営業マン・永瀬財地は 嘘を厭わぬ口八丁で売り上げNO.1を叩き出す凄腕だった。 だが、とある地鎮祭で石碑を壊して以来、 嘘が上手くつけなくなってしまった…!! 千三つと言われる海千山千の不動産業界で かつての成績が一気に低下する中、 永瀬は、嘘が上手くつけない正直営業で苦戦するが…!? 不動産屋の裏側を全部ぶっちゃけちゃうニュー・ヒーロー、誕生。


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2017-01-12



●2018年1月12日発売の「紙」書籍→(★☆は電子書籍あり:★は紙書籍と同発で安価、☆は紙書籍と同価格ないし紙書籍より発売遅延)

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☆(電子版1/19) 小学館 ビッグ コミックス〔スペシャル〕 でぃす×こみ 3 (ビッグコミックススペシャル) ゆうきまさみ → 【オススメ】 ゆうきまさみ/でぃす×こみ

☆(電子版1/17) 双葉社 アクションコミックス/(月刊アクション) LOOP THE LOOP : 1 飽食の館 (アクションコミックス) Kate/カズミヤアキラ

☆(電子版1/17) 双葉社 アクションコミックス/(月刊アクション) 荒野の花嫁 : 1 (アクションコミックス) 村山慶

★(電子版同発) 双葉社 アクションコミックス/(月刊アクション) ピーター・グリルと賢者の時間 : 1 (アクションコミックス) 檜山大輔

★(電子版同発) 講談社 KC KISS やんごとなき一族(1) (Kissコミックス) こやまゆかり

★(電子版同発) 講談社 デザートKC なのに、千輝くんが甘すぎる。(1) (デザートコミックス) 亜南くじら

☆(電子版同発同額) 小学館 サンデーうぇぶりSSC 死神坊ちゃんと黒メイド(1) (サンデーうぇぶりコミックス) 井上小春

☆(電子版同発同額) 小学館 裏少年サンデーコミックス 彼は彼女に変わるので(1) (裏少年サンデーコミックス) 中てい/壱崎煉

☆(電子版同発同額) 小学館 裏少年サンデーコミックス 柘榴ノ地獄(1) (裏少年サンデーコミックス) 雲雀ヶ丘柿屋敷

☆(電子版同発同額) KADOKAWA ビームコミックス KISS 狂人、空を飛ぶ 1 (ビームコミックス) 新井英樹

☆(電子版同発同額) KADOKAWA ビームコミックス アイアン・ゴーストの少女 1 (ビームコミックス) 三家本礼

★(電子版同発) 講談社 デザートKC はじめてのキス(1) (デザートコミックス) 赤池うらら


押川剛、鈴木マサカズ /「子供を殺してください」という親たち


「子供を殺してください」という親たち 1巻 (バンチコミックス)

■内容は題名通り、しかしユニーク。 これがフィクションであるなら文句なしにオススメなのだが。

原作ありのコミカライズもの。精神的に壊れているが 適切な対応をとられていない子供(といっても既に 成人している人が殆ど)を、親の依頼で医療施設に 送り込むべく説得する、そんな特殊な移送というか 警備業務を担う人物のお話。


作画の鈴木マサカズ氏の飄々とした画風もあり コミカルにも見えるが内容はシリアス。 そんなシニカルな話だが、これがフィクションではなく、 原作者自身の仕事を描いたノンフィクションであると いうことで、驚く。いや、これ、実話ベースだと したら、どう消化すりゃいいんだ、読者は。


こう言ってはなんだが、内容は突き抜けていて面白い。 しかし何が主人公にその仕事をさせるのか、 がいまいちわからない。子と向き合わない親が問題なのだ、 的な話ではありつつも、主人公はその親からカネを いただくことで仕事にしているわけだろう、 それをこうしてオープンにするのか?うーん・・・。


フィクションとして読んでしまうとオススメなのだが、 いろいろもやっとする。いや、これも現実、ではあるんだろうが。 これまた巻またぎも上手いんだ・・・。続刊発売済 → 「子供を殺してください」という親たち 2巻 (バンチコミックス) 気になるけど、 うーん、買っていいものか。原作はこちら→ 「子供を殺してください」という親たち(新潮文庫)


【データ】
原作=押川剛、漫画=鈴木マサカズ
「子供を殺してください」という親たち
【発行元/発売元】新潮社 (2017/8/9) 【発行日】2017(平成29)年8月9日発行 ※電子版で購入
■評価→ C(標準) ■続刊購入する?→★★★
■購入:
amazon→ 「子供を殺してください」という親たち 1巻 (バンチコミックス)

家族や周囲の教育圧力に潰れたエリートの息子、酒に溺れて親に刃物を向ける男、母親を奴隷扱いし、ゴミに埋もれて生活する娘…。現代社会の裏側に潜む家族の闇と病理を抉り、その先に光を当てる――!! 様々なメディアで取り上げられた押川剛氏の衝撃のノンフィクションを鬼才・鈴木マサカズ氏の力で完全漫画化!


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2018-01-11



●2018年1月11日発売の「紙」書籍→(★☆は電子書籍あり:★は紙書籍と同発で安価、☆は紙書籍と同価格ないし紙書籍より発売遅延)

☆(電子版同発同額) 竹書房 バンブーコミックス 金沢シャッターガール (バンブーコミックス) 桐木憲一

☆(電子版同発高額) 芳文社 まんがタイムKRコミックス フォワードシリーズ ブレイキンガールズ! (1) (まんがタイムKRコミックス フォワードシリーズ) きりきり舞


2018-01-10



●2018年1月10日発売の「紙」書籍→(★☆は電子書籍あり:★は紙書籍と同発で安価、☆は紙書籍と同価格ないし紙書籍より発売遅延)

☆(電子版1/20) 講談社 星海社COMICS 乙女男子に恋する乙女(1) (星海社コミックス) 島崎無印

☆(電子版1/29) 小学館 フラワーCアルファ ミステリと言う勿れ 1 (フラワーコミックスアルファ) 田村由美


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