勢いにのる皇帝同盟と、衰えつつある協商とが対立する世界。舞台は中立国であるドラゴンフライ皇国。 国内は、皇帝同盟と組もうという艦隊派と、協商と組もうという条約派とが争っていたが趨勢は前者寄りに。とはいえ皇帝同盟の国家間の関係は協商との対立に決着がつけば同盟を組んだ4つの帝国同士のエゴがぶつかりあうこと紛うことなく、なので世界を現状で維持することが本邦の進むべき道である、と考える協商寄りの条約派を主人公としたお話。
皇帝同盟有利とみた戦闘で協商が勝利。これを機に、左遷された海軍中将が、協商の国家にある大使館に駐在武官として乗り込んでいく。当人は貴族で金があり、コストは厭わない。正論を振りかざすモンスター、人格はひどく嫌味と皮肉たっぷりだが清廉潔白の硬骨漢。「だからこいつは危険だ」「人間として正しいことと政策が正しいことは別物だというのに」「こいつは『良い貴族』であるという一事で『黒を白にしてしまう』」政敵にそう評される人物である。
大使館に着任当日、大使との対面をわざと遅らせ時間を作りその短時間で大使を屈服させる証拠を見つけて取引する。 なお当人は人の心がわからない、という自覚があり、それを副官に告げ、手助けをして欲しいと頼む。副官となった人物は士官学校を首席で卒業した女性で、かつ先帝と血縁のあるという設定。なので配属が決まらず厄介払いで中将の下につけられたと。
主人公は、昨今の作品だと「薬屋のひとりごと」の漢太尉、羅漢みたいな人物ですかね。まぁこういうフラットなキャラクターで原理原則があって、しかも正論を持ち出して持論に引き込もうとする人物がいると話を動かしやすいので。「周囲に合わせるんじゃなくて周囲をぶちのめしてきた口」の人物は、魅力的は魅力的ですしね。
面白いのだが、序盤にある戦闘シーンの絵がなぁ、うーん、うーん、と思っているうちにレビュー忘れました。 最新刊4巻が刊行済。
ドラゴンフライ皇国は、世界に覇を唱える『皇帝同盟』と結ぶべきだという主張の『艦隊派』、世界の現状維持を望む『協商』との友好関係を続けるべきだ、とする『条約派』の2つに分かれ内部対立を深めていた。『皇帝同盟』へ属するべき、バスに乗り遅れるな。という風向きが強くなる中、ユトランド上空の戦争で大きく戦況が変わる。結果、新品中尉・アメリアは関係が悪くなりつつある『協商』国家ブレタニケに『条約派』の正論モンスター海軍中将・ハラルドと共に駐在武官として乗り込むことに! 一歩間違えば、世界大戦。国、大使館、貴族、マスコミ……あらゆるものを利用する、『英雄を必要としないため』の闘いが始まる。これは、国家の趨勢を懸けた駐在武官たちの本格外交業務戦記である!
通りかかった家で訪ねてきた人が叫び声をあげていた。密室の家の中には変死体が。 すかさず現場写真をとったヒロインのしごとは週刊誌の記者。警察では自殺と考えているが、 グラスになみなみに注がれたワインなど不可思議なことがあり、彼女は真相究明のため、 捜査一課にいる先輩を飲みに誘う。
ゴシップ記者ものか、とか警察が情報漏らすなよ、などと思いつつ、ひとりふらりと入ったキラー通りのワインバーでソムリエに相談するうち、事件の真相が見えてくる。猪突猛進で犯人にも体当たり、という 危なっかしい人物ではあるが警察も殺人犯が逮捕できるので大歓迎、か。
ワトソン的な女性記者がかけまわり、その材料をもとに安楽椅子探偵さながらソムリエが解き明かす、 という形で毎回話を続けていくつもりなのか。一巻は2エピソードとも殺人事件だったが、 このまま殺しがいっぱい起こるのか?これ。
巻末では他社作品で著者名義も違う「神の雫」の広告あり。「神の雫」新作では本作の広告が出ていたような。なおペンネームを使い分けていることを尊重して同名義の作品のみを著者他作品としてリンク。いや、安童夕馬、青樹佑夜、龍門諒、亜樹直、有森丈時、伊賀大晃とか樹林伸氏のお仕事は正直追いきれずに漏れそうなので……。
謎多きソムリエ“キラーさん”が、隠れ家的ワインバーにいながらにして難事件を次々と解決する「安楽椅子探偵ミステリ」の傑作、ここに誕生! 大ヒットワイン漫画『神の雫』原作者による会心作。ある日、密室殺人の現場を目撃し、取材を進めることになった若手女性記者・真希あかね。偶然迷い込んだワインバーのソムリエに状況を説明すると、彼は豊富なワインの知識を交えながら事件解決のヒントを提示する――。
賊に襲われたところを救ってくれたことで剣も魔法も堪能な 王女殿下付きの近衛兵に恋したヒロイン。 しかし相手は王女と恋仲とも噂され、でも恋心だけは密かに持ち続けた。 そんな彼女に持ち込まれた縁談はまさに、彼とのもの。 しかしこれは王命によるもので、先方の家の意向でもなく、 近々成人の儀を迎える王女の側に未婚の兵士がいては駄目だという理由から のものだった。
そんな経緯と噂と王女の都合で忙しいことから、 結婚相手の想い人は王女であり自分とは偽装結婚だと 思い込むヒロインのお話。 とはいえ自身は彼のことがずっと好きで、ちょっとしたことで 舞い上がり、しかしそんなことはないと沈み込み、 という精神状態ジェットコースターもの。
初々しいといえば初々しい、鬱陶しいといえば鬱陶しい、 新婚なのにかわいそうといえばかわいそうなお話。 とはいえまぁヒロインの思い込みでしかないのだが、 そんな思い込みを抱えながら結婚することになるのは 大変だろうなと思うお話。 原作はどういう話なのかなと思ったら版元フランス書院なのか。まぁ10年以上前からティーンズラブのレーベルあるしコミカライズも珍しい話ではないのか。
伯爵令嬢オデットは、憧れの近衛騎士アルフォンスと結婚することなった。しかし、その結婚は王命によるもの、彼の意志によるものではなかった――。ある雨の日、賊に襲われたオデットの危機を救ってくれたのが、剣も魔法も一流の近衛騎士アルフォンスだった。その美しい姿にも魅せられて恋に落ちたオデットだが、ある噂を聞いてしまう。実はアルフォンスは王女と恋人同士だというのだ。彼のことは諦めつつも、ひそかに想い続けるオデットの元に、数年後、縁談が舞い込む。その相手は、なんとアルフォンスだった――。王女と近衛騎士の禁断の愛を隠すための結婚、そう知りながらもオデットは憧れのアルフォンスとの結婚を受諾する。それは悲しい恋の始まりだった――!?WEB発の人気小説をコミカライズ!※この作品は同タイトル分冊版の1〜4巻を収録した単行本版です。重複購入にご注意ください。
著者好きな人がきっちりハマる、期待通りだが期待以上の作品。
洋食屋のバイトでコックをしていたのだが店を閉めるということでクビになったヒロイン。 母は昔歌手で今は美容家、父は幼い頃に家を出た。今住んでいるのは 車の整備士をやっていた祖父のガレージで、祖父が亡くなった高校生の頃から なのでかれこれ8年。長年連れ添った老犬が亡くなったその日、浮浪者のような風体の 青年が通りがかり、行き掛り上、迎い入れて食事も提供。すると、家はないがお金はある、 という彼から、ケータリングの仕事を一緒にしませんか、と持ちかけられる。
まぁありえない流れなのだがそのファンタジーをファンタジックに描き切るのが著者の強み。 昔歌手だったという母がよく歌ってくれたのがサラ・ヴォーンの「バードランドの子守唄」で ヒロインの名前もサラ。そして彼女が歌うと愛犬がいつも遠吠えした、というエピソードを挟み込み、 題名の由来も引っ張らず早々に回収。
なお女性と男性双方には、親と不仲というか関係性が薄いという共通点があり、 男性の家の事情もその後のエピソードで語られる。そんな共通点を持つ二人の、 ビジネスパートナーから始まる恋物語、なのかどうかは知らん。
そして作品にはヒロインの父の霊というものが登場、 生霊だというのでどこかで生きているらしいが、それがヒロインと毎日のように会話をする。 ただし一日に3分しか現れることができない、という設定つき。 この辺の飛び道具がうまくファンタジー風味を増している。
普通に見えて突拍子もない話を入れ込んでくるセンスがとても好みで続刊が楽しみ。
コックのバイトをクビになり一緒に暮らす「家族」を失ったサラの前に長身長髪で髭面の男、アキオが現れ、サラの人生は静かに、しかし大きく動き出す。今始まる、ホットでクールなグルーヴィン・ラブコメディ!!
フランス、パリ。日本人の少女、青夜は母の指導のもとレッスンと音楽会と読書と世界旅行に日々を費やしていた。そんな母ローランと娘青夜のもとに3年ぶりに訪れたのは叔父である神咲雫。そこで母は雫と飲んでいるワインの香りのイメージを娘に語らせる。青夜は、早逝した遠峰一青の娘。
ということで「神の雫」2部というだけあり前作を読んでいたほうが話の目指す方向と登場人物設定に関してはスムーズに理解できるが、そういう設定なんだと飲み込める人なら前作未読でもすっと入り込める仕上がりのワイン話。探索というか香りと味に導かれワインの世界にダイブする話なので、ある種のSF感あり。その表現が更に深化しており、ファンタジーとしての完成度が増している。
父が残した遺言を読むために、叔父に課せられたワインイマジネーション選手権WIC世界大会優勝に向けて参加するヒロインというのが物語の骨格。物語としてはスポーツものによくある料理系も踏襲したスタイルで珍しくもないが、そこに一巻の時点ですっと進められるのは続刊だからこその特権、絵と表現は素晴らしく紙書籍ならワイド版で出すのが良いのではと思うくらい。そういう点で電子版のほうが、精緻な絵であったり細かい部分を見たい場合には向いていそう。この一巻を読んで、前作を読み返したい気分になった。
衝撃の結末で幕を閉じた「神の雫」を巡る神咲雫と遠峰一青の死闘から時が経ち、舞台はフランス。世界中を旅する雫は、パリのローランのもとに立ち寄る。そこへやってきた“鼻の利く少女”の正体は──。「ワインを巡る終わることのない旅」が今、再び幕を開ける──。
漫画家の仕事場が舞台。漫画家と旧知のチーフアシスタント、そしてアシスタント歴一年の3人の職場で語られるのは、アシスタント歴が7年ほど、その後の漫画家歴が10年以上ある人物が経験したお話の数々。
最初のエピソードは仕事現場に警察が捜査令状を持って押しかけてくるというお話。この話はつかみとしては良いが面白くしようと盛っている感が立ってしまって正直さほど惹かれず寧ろ引いたのだが、続く話は漫画家稼業ど真ん中なエピソード。背景描くのが面倒と思ってしまったアシ一年めが、「背景とかってプロになったらアシスタントさんに描いてもらうじゃないですか/覚えても使わないようになる技術だから…/なんかむなしいなって最近思うんです…」と言ったことから語られるのは、それが口癖だった漫画制作を軽視したヤバイアシさんのお話。駄目な人をあげつらう話としてよりも、そんな人物を漫画家がどう対応しようと観察していたかの話として読むとなかなか興味深い。
その後も、アシスタント経験なく若いうちにデビューした作家のヘルプに入った話、血便で病院に行き肝臓に腫瘍が見つかり精密検査をした話、メールできた仕事のオファーで舞い上がるが実態は怪しい代物であったという話、原作付き作画の話、と続き、どれも興味深く内容も話運びも面白い。内容はエッセイマンガ風だが、簡略化されずにきちんと描きこまれた絵で普通のストーリーものと遜色ないのも臨場感あって読み手を引き込む。そして最後のエピソードは前半で巻またぎにする合本版の構成は正しい。これは続きが読みたい。
「漫画家」…それは、一日中机に向かい、黙々と地道に作業をこなす仕事――。
キャリア10年を越える五百住(よすみ)ジローの仕事場も、またそのうちの一つだった…ハズ…なのだが!?
漫画家の宿命なのか、それとも本人が引き寄せているのか!? 事件&珍事の連続で大騒動を巻き起こす!
警察によるPC没収、ヤバいアシスタント、若すぎる連載作家の末路、蝕まれる健康… ひとたび蓋を開けてみれば、業界の荒波を生き抜く作家ならではの悲喜こもごもが満載! 夢を売るかたわらで、誰もが格闘しているのはひたすらに目の前の「現実」で…?
みんなが一度は憧れるクリエイターの第一線、華やかな作家稼業の『裏』側――覗いてみない? v ※こちらには【第1話〜第8話】が収録されています。
他責女のめちゃくちゃぶりを描くお話。読んでいてムカムカするが、こんな人実際にいるかなというと、まぁたまにいますよね……。
電車内でコーヒーを飲んでいて乗客にひっかけてしまった女性。しかし私のパーソナルスペースに入ってきたのはそっちだろう、ワタシは悪くない!と言い放つ。さらに悪いのは急ブレーキをかけた運転士だともいい、それを他人のせいにするなと咎めた相手に恫喝するのか脅迫するのかと言ってカメラを向け動画をとった挙げ句それをSNSにあげて拡散する。彼女は職場であるハイブランドなアパレルショップでもアクロバティックな他責理論を炸裂させ、注意すればパワハラだと言い出すので腫れ物扱いをされていた。
そんな彼女のいる店に新たに配属されたのはパリ本店から派遣されてきたアドバイザー。対抗心を燃やした他責ヒロインは、売上がたてられそうな客の担当を横取り、勝手にプレミアバッグを斡旋するが、その客が逮捕されたと警察から連絡が来て始末書沙汰に。加えて先の電車内動画も、彼女があげた一部ではなく揉め始めからのフル動画がアップされ炎上。彼女はアカウントを削除して逃亡するのだった。
うん、こういうアカウント、よく見ますね……。話としてはまぁ苛つくというかこれどういう気持ちで読めばいいのかな一応これがヒロインなのよね改心するのかしらんいや無理だろう天罰くだるまでの話なのかなどうなんだろう。書籍紹介文には32歳と書いてありまぁどんな年齢でもいるとは思うのだが、その年齢までこの状態でハイブランドで仕事続けられるのか?という疑問はありつつ。転職繰り返している感じしか浮かばないんだけどなこの手のタイプ。
アパレルショップ店員・火野真理(32歳)は最凶の“他責女”。ある日、真理の勤務する店に、性格が正反対の“自責女”倉田葵(30歳)が現れて…。ここまでくれば清々しい!? なんでもかんでも他人のせいにする“他責女”あるあるコメディ!!
商売の下手な夫が資産を食いつぶした挙げ句に愛人と家を出る。 しかし女伯爵は商才があった。離婚が成立したことを機に、 服飾や飲食などの商売で伯爵家を立て直す。 そんななか、門前で行き倒れていたという男性を受け入れる。 美形な彼は伯爵家にもすんなりと馴染んでいく。
そこへ王家から届いたのは、経済的に破産しているはずの 女伯爵を国王付きの侍女として招聘したいという、要は愛人になれとの手紙。 現状はそんな申し出など必要としない。 しかし別れた夫への対応もあり伯爵家は現在副業の収益を申告しておらず、 経営者も平民名義にしておりつまりは脱税状態。 対応次第では領地替えなどの罰則も。さてどうするか、というところで、 居候となっていた先の行き倒れの青年が話を聞き、結婚しようと持ちかける。
貴族ものファンタジー。駄目な婿と離婚して商才を発揮し一人切り盛りしていく 女貴族、という話だがそれをフォローする男性とのラブロマンス展開も。 とはいえ相手は美形で育ちが良さそうだが素性不明、 ヒロインもバツイチの身で結婚はこりごり、とハーレクイン的な障害あり。
居候青年は絵を描き、一方でヒロインは自室に気に入った絵を買い入れて飾っており その作者も登場、という絵をめぐる三角関係的な展開で巻またぎ。 女性は淑女として愛される存在であればよいというある種の呪いを断ち切って、 自身の力で人生を切り開いていこうとするヒロインの奮闘ぶりが素敵。
商才に長けた主人公×ワケアリ美青年画家 偽装婚約から始まる大逆転劇!
「元ダメ夫のせいで破産寸前になった伯爵家は、私が立て直す!」 商才に長けた主人公×ワケアリ美青年画家 偽装婚約から始まる痛快な大逆転劇!
「賢い女は愛されないのですよ」 幼いころから母にそう育てられてきた伯爵家の一人娘・アンバーだが、彼女には商売の才能があった。
元ダメ夫のせいで破産寸前になった伯爵家を立て直すため以前からこっそり経営していた飲食店や服飾店の利益を拡大しエステやバーなど次々に事業を立ち上げていくアンバー。
ある事実が判明してピンチに陥るも、そこに現れた謎めいた美青年・クリスティアンが驚きの提案を出してきて…!? 「だったら、僕と結婚しよう アンバー」
お客さんとのおしゃべりが苦手な美容師は、お使いに出たところで髪が真っ赤な男の子を見つけ、その綺麗な染め方に思わず後をつけてしまう。するとそこには猫バスのような車がおり、今日から毎週金曜日にここでドーナツ屋を出店するのだという。髪は自分で染めていると聞き呆然としたが、オープン記念のサービスだといただいたドーナツの美味しさに、幾つか買って戻ることにするのだった。
そんなエピソードから始める移動販売のドーナツ屋のお話。続くエピソードからはこのドーナツ屋出店に至る経緯が語られていく。その筋のものにも見える青年は任侠もの好きな調理師で、その趣味で卒園した幼稚園の園長と繋がっていた。その園長の頼みで、自分の夢だったという移動店舗を園長の孫息子とともに任されることになる。
調理も運転もできない孫息子とで、大丈夫かなと危惧した調理師だったが、彼の思いや行動力に感心する、という展開で丁寧に出店準備を描いていくほのぼのファンタジー。ちなみに登場人物は特に説明なく動物の形態をしている人も多々。なお出店準備の数々は地に足ついた現実的な内容で、魔法で解決、みたいなことは一切ない。
一巻のつくりかた、エピソードの配置は完璧。丁寧な構成で素晴らしい。「2巻につづく」とあるので続刊もあるようで楽しみ。
赤髪の男子と、ちょっとコワモテの黒猫。二人は揚げたてのドーナツをかかえて毎週金曜日にキッチンカーでやって来る。二人の出会いから始まる、ふわふわドーナツのおいしい秘密とは…。思い出が笑顔でつながり、広がる人の輪◎甘〜い幸せお届けします。単行本描き下ろし充実。
高校生男子が家に帰ると鍵が開いていた。ということは、と入ると、おかえりとラフな格好で 迎えいれる笑顔の美女が。彼女は、3つ上の姉の中学時代からのともだち。
美意識が高い美人な姉がその審美眼でもって選んだ友達が、ひーちゃんこと日向子さん。 そして弟であるあっくんこと旭くんも好みは姉と同じ。ということで美形な彼女に惹かれているのだった。 大学進学を機に実家を出た姉につきあわされて二人暮らし、 そこに姉がスパルタでしごいて同じ大学に進学させたひーちゃんが入り浸るという状況。 極力無茶に見せない設定で描く疑似同棲話。
彼は彼女に好意を覚え、しかし弟扱いされているという認識もある。 そんな状況のラブコメ話。これがラブコメとして成立するのは、 実は相思相愛であるから、なわけだが。その甘酸っぱさが素晴らしい。 その後ろに、全部わかっている少年の姉がいる、というのが出来過ぎなわけだが。 それもまた良し。
姉とふたり暮らしの家にいりびたる、姉の親友・ひーちゃん。完璧に顔がよくてかわいくて、その上いろいろ距離が近すぎる彼女に、オタク男子高校生・旭は翻弄されっぱなし…? 距離感バグりぎみ美形ギャル×おかん系男子、両片想いじれキュンラブ!!
王国の次期女王である第一王女。彼女には婚約者がいる。伯爵家の次男で、 彼女のことを愛していることが態度の隅々から分かる、のだが彼女はそれを疑っていた。 王家には固有魔法があり、それは他人の心の内を知ることができる読心魔法。 その魔法が、婚約者の本心は彼女を嫌っていると告げているからだった。
心が読める魔法を持つ者の話。しかしその魔法にエラーがあるのでは、 という珍しい設定の話。呪いの結果、本心と違うものが見えているのかもしれない、 しかしそんな障害がありうるのか、どうなのか、と悩む話になっている。
読心魔法も、その人の心の姿が掌ほどの大きさで現れて喋りながら動く、 というもので、実に漫画や動画に向いていて可愛らしく素晴らしい。 本当は相思相愛のようなのに、ヒロインは婚約破棄を思い詰める。 障害が彼女自身の能力にある、というところが異色なハーレクイン的ロマンスである。
勘ちがい王女×不憫な婚約者 極甘すれちがいラブコメディ!
数々の魔法を使いこなす第一王女・エステリーゼ。 そんな彼女の悩みは、やたら愛をささやいてくる婚約者・セオドアの存在。 なぜなら「エステル、愛しています(本当は好きじゃないけど)」って、読心魔法で心の内がお見通しだから!
だけど必死な彼が本気にも思えてきて――まさか、心の声が間違っているの?(※正解)
彼の心だけ正しく読めないのには、とある事情が……? 勘ちがい王女×不憫な婚約者 極甘すれちがいラブコメディ!
優秀な長女と、美少女と言われる三女に挟まれた貴族の次女は、目立たぬ存在。小さな魔獣をてなづけることのは得意な程度。そんな彼女が助けた魔獣が懐いていたところを、襲いに来たものだと誤解され、かばった彼女が斬られてしまう。
が、実際には破魔の剣は彼女を鞘とみなし、彼女の身体に取り込まれることになった。剣の持ち主で軍神と呼ばれる第二皇子は、剣の鞘となった彼女を正妃として迎えようとする。
偶然発揮した能力、特質が呼び込むシンデレラストーリー。皇子は手段として彼女を求めることになったが、結果的にロマンスに進展していく様子。ヒロインも皇子も状況を冷静に理解している分、 話として派手な動きはないが、やたら騒がしい話よりは好感が持てる。
この手の話としては、ヒロインの置かれていた環境、家族に おける立場が特に虐げられたものではなさそうに見える点は良い設定、とはいえヒロインにまつわる噂 もあったようでその出所は一体どこか、そこを深堀りするのかどうか。
私はただの「鞘」なのに―。もどかしい想いが交錯するシンデレラロマンス!
優秀な長女と美しい三女に挟まれ、目立つこともなく生きてきたオードル家の次女サクラ。小さな魔獣を手懐けること以外、これといった特技も持たずひっそりと生きてきたにもかかわらず、サクラは一夜にして「軍神」と呼ばれる皇子カイの妃として連れ去られてしまった。その理由は、サクラが「破魔の剣」を納める鞘となる身を持っていたから――。ただ「剣の鞘」としてカイの手元に置かれるため、正妃として迎えられたサクラだったが、その聡さ、優しさが冷徹なカイに少しずつ変化を与えていく。不器用にすれ違いながら愛を深め合う、美しきシンデレラロマンス!
30代でブラック企業を退社し地元に戻ってリサイクルショップを開業して2年になる人物。 今の仕事は性にはあうが利益は薄い。そんななか自分の敷地内に見つけたのは大きな穴。 地盤改良なんてする余裕はないのだがと思いつつ、捨てたはずの枝木が消えた。 ゴミも捨ててみたところ一晩たつとこれも消えていた。 監視カメラもつけて見たが誰かが持ち去るということでもなく、穴の奥にと消えていく様を見て、 男性は問題なしと判断、逆に便利なものとして事業ゴミの捨て場として活用することにするのだった。
題名にダンジョンとあるのでつながってる先が異世界なんだろうなと思わせはするものの、 そのブラックホール的な穴をブラックなビジネスに使うという、え、そっちなの?というお話。 グレー通り越してブラックなお仕事テーマのホラーみたいな作品。
業者が押し付けてきた廃棄物も穴に捨てられたことで、その手のものを引き受けはじめ、 リサイクル屋は休業状態、廃棄物処理の免許も取るがそこに怪しげなサラ金も関わり、 当然裏社会とつながっており、また地質調査を相談した大学教授も産廃処理技術を 詐欺まがいの契約を結んで奪い取ろうとするなど、出てくる人物全員駄目。
そんななか、穴にゴミを捨て続けた男性は、金は入ってくるうえに、 なにか力もみなぎってきて、ヤクザが送り込んできた人物も動きを見切って追い払い、 教授の企みも地獄耳で看破する。その力はどこから?どうして?というところで 例の穴とつながるのだろうが、なんでまた?ということは一切触れられずに一巻終了。 ブラックファンタジーというかホラーミステリというか、そういうテイストの作品に 仕上げているのは方向性として面白い。
ある日、家の庭に穴があいていた。落ちたら危ないのでゴミを捨てた。家庭ゴミを捨てた。事業ゴミを捨てた。建設ゴミを捨てた。しかし穴は埋まらない... そんな奇妙な穴だが、ビジネスに有効利用できた。しかし良からぬ奴らも次々と寄ってきて… これは、穴に魅了された男の、狂いゆく人生を描いた物語。
「第1回一二三書房WEB小説大賞」“金賞”受賞。小説家になろうで人気を博した怪異譚が待望のコミカライズ。
同じ高校に通う幼馴染ふたり。一方は可愛い女の子。一方は校舎裏でタバコも吸うようなヤンキー女子。しかし可愛い女子はヤンキー女子が大好き。で、テストの成績で勝ったことを理由に なんでもお願いを聞いてもらうとして、双子コーデを持ちかけるのだった。
1ページ4コマ定形基本のストーリーもの。精神的双子の可愛い女子二人の話。 ヤンキー女子のほうは自分が可愛い格好なんて似合わない、と思いがちで、 一方の幼馴染は彼女がそんな気持ちになるのが嫌い。 自分自身を可愛いと思っているが同様に幼馴染のことも可愛いと思っており大好きなのが 素晴らしい、百合っぽい友情もの。
どう話を広げるのかなと思ったところで、可愛い制服を着られるバイトを一緒にはじめ、 更に今度は実際に双子の男子を登場させる展開。その双子男子も彼女たちを 投影したような設定で、そちらに進むのかなと思わせつつ、幼馴染の過去話を 匂わせて巻またぎ。続刊が読みたくなる仕掛けで上手い。
『ギャルがシルバニアファミリーを溺愛したら。』『着物ちゃんとロリータちゃん』の著者最新作!正反対な幼馴染2人のお洒落と青春!
異世界転生もの。転生特典として回復系魔法の治療師の才能を得たのだが、 この世界は美醜の価値観が逆転していた。 そこへやってきたのは、呪印により淫欲の状態異常となっていたエルフ。欲情した 状態で彼を襲ってくるのだった。
彼の感覚としては凄い美人、だがそれはこの世界では醜いということなのだが、 彼は素直に綺麗だという言葉を口にする。エルフの冒険者仲間は、 そんな言葉でいつも騙されてきたじゃないかと警戒するのだったが、 彼の言葉が本心からのものとわかり、仲良くなる。
転生もので、美醜の感覚が逆転している世界で、ブス専もので、 という設定だが結局まわりまわって 女性パーティとのハーレムもの、というお話。 設定は面白いがこれ出オチだよね、なんか展開あるのかな。
電子書店のレビューで点が低いのは修正問題が原因の様子。 まぁちょっと極端な修正で絵がなんだかわからん状態になってますが、 モロに描かれていたらそれはそれで完全エロ漫画であり。 まぁそれはそれでいいような気はするんですが。
不遇な美女冒険者たちの寄る辺ないココロとカラダを癒やします♪
美醜の価値観が逆転した世界に転生した主人公・トーワ。 女神様から受けた転生特典“治癒能力”を活かし治療院を営んでいたある日、 見るからに美しいエルフ少女が治療を受けにやって来る。 しかし、なぜか腰をガクガクしていて様子がおかしい…… と思ったら、トーワを押し倒していきなり襲いかかってきて――!?
不遇な美女冒険者たちの寄る辺ない心とカラダを癒やします♪ 異世界治癒ハーレムコミカライズ開幕!!
明るい性格で成績優秀、先輩や教師からの評判もよく、ついたあだ名が「ヒロイン」 という女の子。しかし同じ学校に通う一つ年上の兄の彼女を見る目は複雑な表情。 廊下で会って話しかけられたときも微妙な対応。そしてそれを、帰宅後、妹に なじられる。実際の彼女は、口が悪くてガサツ。なのだが学校では猫かぶりを続けるつもり。 とはいうのだが、それが少し無理をしているようで、メッキが剥げかけていなくもなく。 そこへ舞い込んだのが、ある手紙。そこには、あなたの秘密についてお話したい事があります。放課後に 校舎裏で待っています。と書かれていた。
猫かぶりしている「音子(ねこ)」ちゃんが、その本性を声から気づいた先輩に演劇の世界に誘われる話。 その演劇でなら素も出せるぞ、ということで説得され、周囲の状況からも受けるほかなくなるのだが、 演技自体はノリノリで溌剌としながらいつもの自分を曝け出す。
ヒロインの面白さは、猫を被った自分について、それで周りを騙しているのだから最後まで騙し切る責任がある、というところ。「遊園地の着ぐるみで考えてみろ/ステージ中に脱いで中の人が出てきたらガッカリなんてモンじゃねぇだろ!それと一緒だ!」と。その信念に演劇に誘う先輩も想像以上だとより一層気に入ることに。演劇披露の初日が早々にやってくる展開は意外だったが、その芝居の内容も作り込んでいるのは偉い。この手の漫画はその辺を逃げがちなので、感心した。
そして後半では演劇部入部希望者が登場。その子は実はヒロインが猫かぶりのキャラクターの参考にした少女だった、という展開で本当のヒロインが出てくるのは想定外。風呂敷を更に広げて話を拡張していく展開は素晴らしい。
外では美少女、家ではガサツ。そんなネコを被った少女・広瀬音子。しかし、そんな彼女の正体を見抜く先輩が現れて…?ネコを被るなら演技の中!?本性を隠すべく何故か演技に挑戦することに…!ネコ被りJKがお贈りする演技コメディ、ここに開幕です!
ゲームセンターでクレーンゲームをしている少年に話かけられた少女は、 そこで仕事を済ませた帰り。その仕事は、殺し。暴力団に飼われており、 その仕事を引き受けていた。
そんな彼女に、件の少年が今度は公園でアプローチ。 一目惚れしたのだという。付き合ってください、という彼と、 彼女は付き合うことになる。
少年と同棲しつつ、殺し屋稼業を続ける少女。 誕生日に着飾ってレストランで食事をする予定が、 休みであったはずのその日に臨時の仕事が入るのだった。
ヤクザもので殺し屋もの、一方で主人公たちはピュアな感じで絵柄も可愛らしい。 残虐なシーンも多く、絵柄とのすり合わせがなかなか難しそう。 話は、好きな彼氏を生かすために彼を殺し屋として一人前にすることになる、 という展開。彼の姉が死んだ理由というか場面も記される。
これは切ない純愛というよりも神話を現代に焼き直したような 話か。物騒すぎるが。
ヤクザに殺し屋として育てられ、人の愛を知らずに育った少女、ねずみ。何も知らない普通の青年、碧(あお)。二人は恋に落ち、共に暮らし始めるが、魔の手はすぐそこまで迫っていた‥‥。あまりに残酷で、あまりに切ない、初恋の物語。
高校2年で漫画家になり騒がれたが、不評の数々を目にして漫画が描けなくなってしまった 少年は大学に入学。漫画はもうこりごりと思っていたのだがサークル勧誘を断る口実に 漫画研究会に入るのでと言ったところ、漫研に入ると決めていたという女子と遭遇する。 彼女が作品を読んで漫画家になりたいと思ったというのが、彼の漫画だった。 彼がその作者と知らぬまま、彼女はプロになって会うのが夢という。でも会ってどうするの? と聞くと、「ぶち殺す」「絶対に殺す」というのだった。
まだ何者でもないが作品を読まれることが快感だという少女は、 彼とは違う性格なのかあるいはそれはまだ何者でもない故の楽観なのか。 しかし彼女の性格がSNS向きだということを見て取った漫研の先輩は SNSに漫画をアップして知名度を上げることでプロになる道を切り開くことを提案する。
見知らぬ他人に傷つき神経すり減らした人物と、見知らぬ作家に情熱の火を焚べられた人物、 両者が出会うお話は、漫画家の卵もの。少女は自身が憧れている人物自身に それと知らずに自分のアドバイザー、担当編集者になってくれと懇願する。 結果二人三脚で話が進んでいくバディもの。 よくある粗削りな青春ものではあり、漫画がテーマなのも珍しくないが、 出てくるキャラクターや成功への方法論は現代風にアレンジされている。
SNS研究会の「フォロバしてくれない人は切れ!フォロバしてくれた人は相手が忘れた頃に切れ!そうしていればそのうちフォロワー数がフォロー数を超える!」「まずトレンドに上がってるワードをこれでもかと使ってつぶやく!」「一切関係ない言葉も構わず動員して自分の投稿を人の目にいれまくれ」「他人のバズった投稿のコメント欄で自分の宣伝をする」「バズりのおこぼれをもらうんだ」「他人の面白投稿をパクる」「運が良ければ元のツイートより反応もらえるぞ」「あと他人の犬猫動画を勝手に…」あの、本当にそういう手法でやってるんですか…?「やるわけねえだろそんな下品なこと……」というやりとりが素敵。
マンガ家・大森卓として、高校生で鮮烈デビューを果たした小松悠は、その後スランプに陥ってしまう。新たな作品を描けず、二度とマンガを描くこともないと思いながら進学した大学で、小松は大森卓を殺すと宣言する女性・三秋縁と出会い……? 【電子版特典】巻末には電子書籍限定カラーイラストを収録!
伯爵家令嬢、なのだが妾腹の子で父には放置され、男性優位の 社会の中で生きていくために頑張って神官のトップである聖女にまで上り詰めた 女性。そんな彼女のもとに、父が縁談を持ち込んでくる。 利用されるつもりはないが、どうせなら話自体を潰したい、と彼女は 条件を決めて提示する。
8つの条件すべてに合致する男性を夫として希望する、 というかぐや姫もそこまでは、という作戦。その筆頭は、とろとろに甘やかしてくれること、 から始まるもので、条件を全てクリアする者はまずいない、と思っていたのだが、 なんと応募者が。それも国王陛下からだという。
冷遇されてきた過去があるが実績を積み上げて力も持つようになった 女性。そんな女性の前に最高の結婚相手が登場し、 甘やかしてもらうお話である。 国王陛下とはかつて魔物退治で同行しており旧知の仲。 淑女教育を受けていない彼女の率直な物言いが、 妃とはなんでも話せる間柄になりたいと思っていた王の希望にぴったりだった、と。
そういうわけでその後の展開は、 基本的にヒロインが愛されちやほやされ甘やかされる展開。 題名通り、甘やかしなお話なので、心地よく読み進められる。 展開として今後これ以上なにかあるのか?と思わなくもないが、 甘々な作品が読めるならそれはそれで。
神官のトップ「聖女」ステイシーは男性優位の社会を象徴するかのような父から自由になるため、聖女の地位に上り詰めた。だが、それは父にとって格好の政略結婚の材料となってしまう…。手のひらを返したような態度で、縁談を持ってくる父に辟易したステイシーは、自ら結婚相手の条件を決めることとした。結婚する気などさらさらない彼女は、自分の趣味全開の『夫に求む8つの条件』を提示する。『こんなの全部当てはまる人いるはずがないわ――』と半ばふざけて書いた―――はずなのに…!?ある日、「私はあなたが出した条件全てに合致している」とプロポーズにやってきた男性が。なんとそれはこの国の国王陛下!ふざけた結婚条件で、王様からの求婚を受けることになってしまったステイシーは!?悪ノリからのまさかのピュアラブコメディ第1巻!
WEBデザイナーとして働いていたが会社が倒産、職を探して4ヶ月で希望の会社に入社できたが、 なかなか決まらず落ち込む時期に救ってくれたのはラジオアプリでたまたま選んだ配信者の声と言葉だった。
友人の一緒に婚活をしようという話から市役所主催のまちコンパーティに参加、 ところがそこで司会をしていた公務員の人の声が件の配信者であることに彼女は気づく。
持ち前のポジティブさで彼女はがんがん押しまくり、お礼として 彼が配信で行きたいと言っていた場所を訪れる。しかし彼女が好意を口にすると 彼の反応が変わってしまう。一方、彼女は行きつけの店の店主から告白されるのだった。
可愛らしい大人の恋物語。都合のよい話ではあるが、人柄の良い人物たちの話であれば それも良い。公務員が配信ラジオ?と一瞬思ったが、別にやっちゃいけないことはないわな。 なぜ始めたかの理由も明確。とはいえタイトルロールが公務員である必要も必然性も 特にないんだよな。まちコンで出会うというきっかけを考えた場合と、堅物という設定を 混ぜ合わせたら確かにこの設定が正しいとは思うんだけれど。題名に「公務員」は要らなかった ような気がしつつ、いまどきのタイトルの付け方なら中身に繋がるこの題が良いのか。
一巻完結でお手頃です。
【描き下ろし番外編3Pを新たに収録 】顔も名前も知らない、声だけの存在はいつしか楓の中で大きくなり……。
会社の倒産で、転職活動を余儀なくされた射手園楓は苦戦していた。続く不採用のメールに心が折れそうなときにふと聴いたラジオの配信。“ラムチョップ”と名乗る彼の何気ない雑談と柔らかな声色に、勢いでツライ自分の状況と、気晴らしの仕方を問うコメントを送ってしまう。送信ボタンを押した直後に我に返り後悔する楓だが、それに対して返ってきた誠実な答えは、彼女を勇気づけるのに十分だった。会ってお礼を言いたい。でも彼に会えるはずもない。そう思っていたが、思わぬ場所で彼の声を耳にして――!?【本作品は「マイクロ版タイトル名公務員・ひつじさんはガードが堅い」第1〜7巻を収録した電子特装版です】【恋するソワレ】
魔王が討たれた世界の話。しかし魔物は存在しており、それにより怪我をする者も 多くいた。そうした者も相手に診療する医者のお話。で、最初のエピソードは、 膀胱にスライムが入ってしまった人の診察という、まぁ、つまり、そういう作品である。
艶笑噺系ファンタジーか。医者自身は至ってまじめでまともだが、 魔物を使ってあれやこれやしたり、異種恋愛でトラブル抱えたり、 といったお話。変態エピソードは患者のほうの問題で、 医者は特に変態というわけではない。
ファンタジー世界を舞台にしながら今まで誰もやってこなかった話といえば 確かにそうなので、面白いところに目をつけましたねという話ではある。 絵がしっかりしているので読み応えも抜群。
魔王が打ち滅ぼされ平和が訪れた世界で、診療所を営む魔法医のレクス。しかし運び込まれてくるのは、スライムで××したりマンイーターに××をつっこんだりする、世界より救いようのない患者たちばかりで!? 異世界ヘンタイ診療コメディ開幕!!
高校生の女の子は信号待ちの際、他の人が歩き始めたのを見て信号が変わったと 誤認してトラックに轢かれて死んでしまう。異世界に転生するのだが、 彼女自身には目に見える能力は特にないようで 勇者として召喚された人物に巻き込まれたらしかった。
おかげで彼女は異世界の文字も文化も理解できない。 一緒に勇者として転生した男子は気を遣ってくれたのだが、 彼が勇者として出征する際に彼女は王宮から追い出される羽目に。 この世について何も分からぬまま彼女は路頭に迷うことになる。
巻き込まれ不条理ものを異世界転生勇者ものでやるという視点は面白い。 情報もなく無知なヒロインが酷い目に遭う話、という序盤に、 このまま不幸な話が続くようなら読むのをどうしようかと思ったのだが、 出会う人物はそれほど凶悪な性格ではなくヒロインを理由なく貶めたい陥れたい と思う者はなく、それぞれの事情とそれぞれの理屈で、そのとき相応の対応をしており、 親身になってくれる人物も存在するので、読み進めようと思う程度に 話の展開は戻ってくる。
何も才能がないと思っていた彼女が、使い捨ての魔導具の 当たり外れを見抜く能力があることに気づたところから、 彼女の人生が好転していく。いや、良かった。辛い話を読み進めるつもりはなかったので。
一方でこの世界の食がまずいことを常日頃感じていた彼女だったが、 隣に住むよくみる男性の料理が転生後初めて美味しいと感じるものだったことから、 次の展開に繋がる様子。
原作があるので話はしっかりしているが一巻の時点ではまだふわふわな感じ。 漫画で一巻にまとめるには余計な要素があって、原作あるものをコミカライズする際の 取捨選択の難しさを感じる。 それでも読ませるのは、絵の魅力か。内容自体はおもしろそうなので続刊に期待。
息子も高校生になり夫との会話も少なく 一人だと何をしてよいかわからずスマホばかり見てしまう女性。 結婚を控えているが式はしない指輪もなし子供もつくらない と決めている女性。この両者を中心に描く話。
「まったく接点のなかった二人の人生が交差する」と紹介文にあるが、 一巻時点ではちょっと接点ができる程度で2つのバラバラな 話が走っているという感じ。それでもどちらの話も説得力があり 引き込まれる。
中年妻の話は、大学時代の友人にあったり、 父だけが残る実家に帰ったりの話を交えつつ、 夫婦仲の冷めた夫との離婚を考える。 そして離婚相談サロンに訪れカウンセリングを受け、 他の訪問者と仲良くなる。 結婚目前の女性の話は、体裁にこだわる彼氏と 定期的に言い争いになる。馴染みの美容師と 髪を切ってもらったあとに飲みにでかけ、 踊った勢いでキスをする。
普通はどちらかの話だけだろうところを並行して描くことで、 結婚を立体的に浮かび上がらせよう、ということなのだろうか。 性自認やノンバイナリーといった題材を SFやファンタジー以外で作品にうまくなじませて表現することは なかなか難しいと思うが、思想や概念に走らずに 落とし込むことができたら佳作傑作になるのだろうと思う。
Web版「GINZA」の2023年漫画コンテンツ・年間PV数1位を獲得。 読むと心が奮い立つ話題作!
誰かに決められた〈幸せ〉は、いらない。
結婚と、離婚。 人生の岐路に立たされた 二人を描いた 南Q太最新作。
【この物語は…】 冷え切った夫婦関係に悩む〈あや〉。 性自認に揺らぐ中、結婚を控える〈けいと〉。 まったく接点のなかった二人の人生が交差するとき… 「女」だとか「妻」だとか。「普通」だとか「常識」だとか。 自分を縛るものと闘い続ける「私たち」の物語。 行き詰まりを感じる日々。 自分の本心に向き合ったとき、人生が動き出す。
田舎の駅に朝からいた軍人さん。その後目指す家に向かい、 祝言の日取りが今日だと伺っていたのだが、という。 すると日付が新暦と旧暦とで取り違えていたと知るのだが、 来ちまったものは仕方ねえからやるか祝言、となり、 何も知らされないままだった娘は三時間後、結婚する羽目となる。
定形コマ基本で綴られる、急な結婚から始まる物語。 背が高く面もよく、エリートなのだが出世欲のない軍人が、 地方でのんびり暮らし馴染んでいく様を描く、和やかなお話。 定形コマのほうが大ゴマは映えるよなぁとしみじみ。
軍人は、出征して軍功もあったのだが 戦死したことになっていて家督は弟が継いでいた、 というなかなかの設定。 結婚を機に近くの駐屯地に転属したということで、 一巻終盤では帰営する展開で、 そうなるとこの後はどういう話になるのだろう? 軍人さんの話なので、どの世界のどの時代なのかわからないが、 改めて出征するといった展開もあるだろう、 と考えると話の着地が気になるところ。 地に足付いた、噛みしめる幸せ、という一巻の味わい そのままで続刊も読みたいのだが。
【電子特典5Pコミック付】ある日、農家の娘・花の自宅を訪ねてきた軍服姿の青年・誉。彼は今日が祝言の日だと聞いてやって来たという…。SNS・同人誌でも話題沸騰、そちらに未収録のお話も多数掲載&全ページカラー掲載!
トラックにひかれて死んだ少年は、異世界に転生することになったと女神に告げられる。 しかもその異世界転生の神が一緒についてくるのだという。 それはなぜか。実は女神が彼に一目惚れしたから。好きな人と一緒にいたい、 と職権乱用。しかし彼に行きたい世界を選ばせたところ、元の世界に戻りたいと 言い出すのだった。
転生もののシチュエーションを使ったコメディ。転生者に神が片思いして つきまとう、というストーキング話に仕立てている。神は転生者に能力を付加できるのだが、 それは転生させるときだけ限定で転生後には付加できない、ということで、 転生させるためにはもう一度死ぬしかない、 なので女神自ら少年を殺す、というブラックなコメディに。
転生の神なので人の命が軽く、生き返らせることが可能なので何かあればどんどん殺す。 そしてその死の体験に快感を覚え始める少年。少年が現世に未練があるのは、 好きな女の子がいるから。その子は少年が眼中になかったのだが、転生神含めて 友達付き合いを深めたところで三角関係のようになっていき、 さらには女神にも同僚がいてそれは女神のことが気になっていて、 というよくわからない恋愛スクエア状態に発展。
物語として展開していったら神としての成績が落ちてどうこう問題が影響していくオチのような 気もするが、ニッチなところを攻めたコメディとしてなかなか面白いのでは。 なお巻末にはプロトタイプ的作品も掲載。本編では女神は少年しか転生させない、 というか殺さないのだが、こちらはどんどん人を転生させてくスタイル。少年を 身近に置きたい設定は同様なのだが、本来少年は異世界に転生する運命なので、 正しく転生させようという力が働きあらゆる不幸が少年を襲うという展開。 こちらの設定も確かにありだな、と思いかけたが、まぁオチが最低だったので最終的にはナシな気がします。
異世界転生神・ルリは、平凡な少年・夜杉京士郎に一目惚れ。さっそく職権を乱用して一緒に現世へ転生し、彼の気を引くためチートを与えようとする。だが、転生させるときのみ転生神のチカラが使えることに気づいてしまい…?転生の女神に愛された男の運命はいかに!?
冒険者パーティを抜けると宣言した術師の話。 森を探索するという話だったのに当日になって急に山の探索に変更され、しかも 悪びれる様子もないのに愛想が尽きたと。 ギルドを通して面倒をみるよう依頼された教導が自身の仕事、 そもそも仲間でもなく、パーティとして育った今となっては 依頼は十二分に果たしたはずだ、というのだった。
サバサバとあるが寧ろ主人公は 面倒な仕事によくそこまで付き合ったな、と思うお話。 その後の話は確かにサバサバというか殺伐。 依頼された仕事以上はやらない、 追加の仕事は金次第、 それも彼の術には相応のコストがかかるから、 という理由はあるのだが。
メンバーと顔を合わせたくないので別の町に移り、 そこで依頼を受けるのだが、 舐めるような対応には容赦しない、 時に我を忘れるほどに術を展開することも。
安い依頼も認可冒険者の推薦状と引き換えに受けるのだが、 その認可が降りることよりも人間関係のゴタゴタに巻き込まれる ことを嫌い他の町へと出立するような人物。 面倒事が嫌いなのに面倒事に巻き込まれるという 不幸なプロフェッショナルの話に見える。 そういう悲劇であり喜劇であると。 一巻の終わり方を見ても続刊も楽しそうで個人的に期待大。
無愛想にして無遠慮。しかしこの術師ーー最強。 魔族との幾度の戦いにより荒廃した世界で、 イマドキ冒険者ヨハンのサバサバ(殺伐殺伐)すぎる冒険譚が始まるーー! 呪術によって紡がれる本格ダークファンタジー開幕!
1990年代のドイツが舞台、ということらしい。 フランスからやってきた男性は雨の中、宿へ。あいにく満室だと言われたが物置部屋だという 一室を用意されることになる。偽名で泊まったのだが、しかしホテルの亭主は彼の素性を知っていた。
著名な作家で、しかし現在は失踪中として賞金つきで探されているのがその男性。 彼は幻影が見え幻聴が聴こえており、常に自身の分身と会話している。 そんな彼と出会ったのは、街中の警察に追い回されている少女。 彼女は孤児院にいるのだが、たびたび脱走し、その都度捜索されているという。
飲み込みづらい形で、つまりストーリーテリングは最重視されない形で 描写されていく物語。主人公である男性と少女は、互いのことをよく知らない。 少女は、父が目の前で自殺し、その莫大な遺産を継いだことから色々面倒なことに 巻き込まれているという設定、しかもその実母は警察の警部であるという、 よくわからんことになっている。
正直、面白いのかこれ?という感じはあり、男性は作家の割に察しが悪いというか、 町から動かず、一巻巻末もちょっと雑では、という引きで終わるので、 続刊は読むけれどオススメは様子見。
嘘と真実、 夢とうつつ。 二つが交わるとき、運命が動き出す。
過去のトラウマに今も悩まされ「想像上の友達」のピートと旅するテオは、心に壮絶な傷を抱えながらも無邪気に笑う少女・リノアと出会う。 一見正反対に見える2人の共通点は、どこまで逃げても自身にまとわりつく記憶とその苦しみ。 そして偶然の2人の出会いによって、終止符が打たれたはずの過去の事件は再び動き出し……。 1990年代ドイツの田舎町を舞台に、現実と幻想、嘘と真実が絡み合う、ドラマチックヒューマンストーリー。