佐藤秀峰/Stand by me 描クえもん


Stand by me 描クえもん 1 (SPコミックス)

■著者版の「まんが道」はスパイスが多め。

漫画家のアシスタントをしている青年が主人公。 彼の部屋にはいまおっさんが同居している。 おっさんは彼の名前と年齢、漫画賞の応募歴、 月収に家賃まで知っており、「お前・・・漫画家目指すのやめろ−」 という。おっさんは、未来の彼、なのだそうだ。


アシスタント先で気のある女の子は実は そこの漫画家先生とできていた。 そんななか、なんで漫画家を目指すのだ、 と問われ、彼は自問する。「僕はマンガが・・・好きなんだ−」と、 改めて思うのだった。


というところからは急展開。漫画賞で末席に選ばれると 担当編集がつき、やりたくもないが言われたとおりスポーツ漫画を 描くと短期連載化、更には自衛隊ものの企画で連載を持ちかけられると それが大ブレイクしていくのだった。


フェイク、ではありつつも、自身の半生をトレースしており、 雑誌編集者はテーマを押し付ける、取材協力だけの人物は原作者を名乗る、 契約書は存在しない世界、などなど、ギャグとして離れて見るには面白いが 現実をベースにしたものだと思うと笑えない話が続々と展開される。 この内容では既存の出版社での連載や発売というのは難しいだろう、 ということで自社で電子版リリース、一方で紙はリイド社からの刊行ということになった。 確かにこの版元なら一番しがらみがなさそうだ。


描いていることは一方的にも見えるが、主人公から見える景色は そうだろうな、という描き方になっている。 特に本作は、熱がある描写がありつつも、突き放した距離感 もあり、主人公の熱や憤りに持っていかれないだけの冷静さを 読み手が持ちうる内容になっている。未来の自分が登場して警告する、 という話であるので、そうした余白部分を生み出しているのだろう。 自身をネタに描く場合には、これくらいの距離感があると良い、 という実例だろうか。とはいえ結構きわどいことを書いているように思うが。


読者としては、出て来る話がどこまで事実なのかといったことを気にするのではなく、 本質的なこと、本作でいえば、契約と選択の話について熟考すべきなのだろう。 まぁ、そんな視点でマンガ読む人はほぼいないと思いますが。 なお読んでいて気分のよい作品ではないので、 自分も続刊を読むかどうか不明なため、その点でオススメをしておりません。


【データ】
佐藤秀峰 (さとうしゅうほう)
Stand by me 描クえもん
【発行元/発売元】佐藤漫画製作所/漫画onweb (2017/4/1)(紙書籍:リイド社 (2017/4/1)) 【レーベル】SPコミックス 【発行日】2017(平成29)年4月1日初版第1刷発行 ※電子版で購入(今回はKindleで0円でした)
■評価→ B(佳作) ■続刊購入する?→★★★
■購入:
amazon→Stand by me 描クえもん 1 (SPコミックス)

「お前…漫画家目指すのやめろ」 「未来から来た自分」と名乗るおっさんに翻弄されながらも、漫画家を目指す青年・満賀描男(まんが かくお)。夢へ突き進む描男を待ち受けるものは…!? フェイク・ドキュメンタリー的手法で明かされる漫画業界の光と闇。


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