【オススメ】 石井まゆみ/グッド・ちょっと・パーフェクト


グッド・ちょっと・パーフェクト 1 (マーガレットコミックス)

■【オススメ】子供の頃の思い出を妄想だと思いこまされていた女性は、 それが事実だったことを偶然知る。・・・説明しづらい話なんだが、 著者独特の持ち味炸裂でなんとなく読ませる。

会社の医務室でカウンセリングを受ける女性。そうはいっても 深刻なものではなく、子供時代のお話。 家で仕事をする父に意地悪な兄、その兄から守ってくれるふわふわの 大きなクマ。それが事実ではなく空想だと母に聞かされ、 でもその記憶がずっと残っているということの告白だった。


そんな冒頭で始まる話の主人公は元庶務課。今は秘書課をサポートしつつ 各部を回る移動庶務課というかリベロ的な存在で雑務をこなしている。 そんな彼女の新しい上司になるのが、海外の本社からやってきた エリアマネージャー。そもそも会社が海外の企業に買収されており、 そこから派遣されてきた人物だった。


そうした、よくわからない話を、丁々発止な会話でなんとなく転がしていき、 面白いんだけれどなんだこの話、と読者が思いつつ読み進めると、 このマネージャーが実は幼少の頃意地悪だった兄であることにヒロインが気づき、 つまり自分が妄想だと思い込まされていた思い出が現実だったことを知る という展開に。まぁ、冒頭のエピソードがあるってことはそういうことだわな。


話の作り方としてあんまりスマートではないのは、マネージャーとヒロインとが 幼少の頃親しかった関係であるということを描写するのにカウンセリングの 先生を介すること。そういう使い方をしないと先生の存在が無駄になる、 というのはあるが、いや、冒頭だけ登場であとは存在しなくても良かった気がするんだよね、医務室とかカウンセラーの先生は。本作ではユーティリティとして使っているけれども、この便利使いな設定はちょっと安易な気がしないでもない。


軸は、会社をリストラする話と、幼少の頃の思い出をリストラする話という、 リストラクチャリング物語。それをごちゃっと描くという感じで、正直、雑然とした印象あり。あんまり整理されて見えずに全体像がぼやっとしているのだけれど、 用意されたそれぞれの要素は面白いし、会話は軽快。新刊が出るのを毎度楽しみにしていた前作( 「歌うたいの黒うさぎ」 )ほどはノレてないんだけれども、続刊は買う予定。


【データ】
石井まゆみ (いしいまゆみ)
グッド・ちょっと・パーフェクト
【発行元/発売元】集英社 (2016/12/22) 【レーベル】マーガレットコミックス 【発行日】2016(平成28)年,デジタル版2017年発行 ※電子版で購入
■評価→ B(佳作) ■続刊購入する?→★★★★
■購入:
amazon→グッド・ちょっと・パーフェクト 1 (マーガレットコミックス)
幼い頃、意地悪な兄にいじめられ、ピンクのクマに守られていたという空想をしていた三角。本社から来た九堂が持っていた写真に、その空想とよく似た場面があって…!?


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