【オススメ】 穂積/僕のジョバンニ


僕のジョバンニ 1 (フラワーコミックスアルファ)

■【オススメ】言葉が、声が、呪縛を呼ぶ。深く分かり合えるものを欲し、 しかしそれが痛みとなる二人の話。

海に近い田舎町。地主だった祖父が入れこんで色々と 買い込んだこともありチェロに打ち込む少年。東京の大会 で受賞するも同学年ではチェロがヴァイオリンと区別のつかない者 ばかり。浪人生である兄もチェロをかつて演奏していたが、 ある時期に辞めてしまった。


そんなときにおきた海難事故。唯一助かったのは主人公と同世代の男子。 ハーフである彼を一時引き取ったのは主人公の家。彼はチェロの音を聴き、 その声が自分を海から呼んだのだ、と言う。


主人公は、チェロを理解してくれる人を求めた。事故にあった少年は、 そんな主人公に、「お前に俺の人生をやるよ/俺は生涯お前の友でいよう」と誓う。

俺だけはお前を裏切らない/この先何があってもお前を孤独にはしない
格好いい!というセリフではある。しかし共依存ではあるのかもしれない。


そして話はどうやら、もっと皮肉で凶暴だ。一家に迎え入れられた少年は、 主人公の教えでチェロを上達していく。そんな彼らの技術を客観視する 人物も登場し、ある意味絶望的なエピソードでもって一巻が締まる。


これは何を描きたい作品なのか、という点では疑問符が浮かぶのだが、 一巻の巻末に向けてのまくり方はゾクっとくるものがあった。 上手い。というか、よく練られている。このような良質の作品を読むことが 出来るのは喜びである。というかこれは 天才と凡才の物語だとすると「 さよならソルシエ 」の同工異曲なのだろうか。


【データ】
穂積 (ほずみ)
僕のジョバンニ
【初出情報】flowers(2016年) 【発行元/発売元】小学館 【レーベル】flowersフラワーコミックスα 【発行日】2016(平成28)年12月14日初版第1刷発行 ※電子版で購入
■評価→ A(絶品) ■続刊購入する?→★★★★★
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チェロの音が紡ぐ、天才と凡才の物語
海難事故に遭い、暗い海原を漂い、死の淵にあった郁未。彼を岸まで導いたのは、鉄雄が弾くチェロの”音色”だった--。
鉄雄の家で暮らすようになった郁未に、鉄雄がチェロを教え始めたことで、少年たちの未来が大きく動き始めたーー!!


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