妖怪の飼育員さん(1) (BUNCH COMICS)
■【オススメ】 この世に妖怪園というものが存在する世界の話。 世間の縮図として描きつつも飄々としており、 面白い。
2巻が発売された(妖怪の飼育員さん 2 (BUNCH COMICS) )ので慌てて一巻をライブラリから探してレビュー。
主人公が就職したのは「大きな都市ならどこにでも一つはある ごくありふれた 妖怪園」ということで、妖怪が普通におり、それを飼育する妖怪園なるものがある世界のお話。
珍しい妖怪がいるかというとそういうわけではないようなので、 つまり妖怪自体は先人たちの成果に乗っかったお話。 説明もそこそこに展開できるという点で正しい手法だろう。
主人公は妖怪マスター的な人物、なのだが動物マスターに比べると それを丹念に描いても凄い!とはならないので、その才能を味付けというか 話の展開をツイストさせるために使っているのもこれまた正しい。
動物園がそもそも存在意義を問われたりする中で妖怪園という設定にしている のはそのあたりも視野にいれてのことのようで抜かりなし。人間ほどの知性ではない 妖怪を並べつつ、人間以上の妖怪も登場させる。そして人間とは別の論理 で動くということも。
基本は暴走する漫才というかコントのようなネタと、 妖怪がアイデンティティを求めて苦悶というか迷走するネタとが主だが、 そこに人間の思惑というのが絡んだ回は特に皮肉な内容に。 ちなみに園の運営側にそういう思惑がないという設定にしている点が 本作が飄々とした空気を常にまとっている理由だろう。
「餓鬼」をめぐるエピソードは皮肉極まりなく、しかし、こういう対応をすればいいのだろうなぁ。本作では「バカな善人」と呼ばれており、それが新聞記者で、「よく調べもしないでまあ勝手なことを」と書かれているのだが、まぁ現実の問題もいろいろシンクロしそうね、と思いながら読んでおりました、はい。
【データ】
藤栄道彦
(とうえいみちひこ)
妖怪の飼育員さん
【発行元/発売元】新潮社
【発行日】2016(平成28)年3月11日発行(2015年12月紙書籍刊行)
※電子版で購入
■評価→
B(佳作)
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鳥月日和。社会人一年生。勤務先は、ごくありふれた妖怪園。妖怪医師の陸奥吾郎の指導のもと、鳥月は妖怪の飼育を手掛けることになるが…?
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