【オススメ】 さいとう・たかを/ゴルゴ13


ゴルゴ13(1)

■【オススメ】発表からまもなく50年となる 作品だが、今読んでも充分に面白い。

名作を紹介する一巻読破クラシックス、 今回は言わずと知れた「ゴルゴ13」の一巻をご紹介。 作品を読んだことがなくても、ライフルを構える ニヒルな東洋人デューク東郷のことは殆どの日本人が知っている。


一巻最初の作品は、 1968年11月発表のものである。 まもなく50年となる。2年後には盛り上げ企画が あるのだろう。そこに便乗したい気持ちはやまやまだが 当方はそういう作りのサイトではないのでそこまで 待たずにレビューしてしまう。


冷戦時代、と思うが当時は雪解けしたりしなかったり、 がっつり東西対立という時代からプレイヤーがかわり 変化の起こった時代である。そんななかでゴルゴ13の 立ち位置は、便利屋。偉大な殺し屋、という位置づけではあまりない。 翻弄される存在でありながら、そこを見据えて先に先に立ちまわる 男の姿を描いている。


一巻時点でのゴルゴはがっつりと喋る。モノローグも多い。 周囲の会話を描くだけという感じではないのは いま読むと新鮮に感じる。 セリフが長々と描かれるシーンが時に出現するのは どうかと思うがそれもまたご愛嬌。 国際情勢を踏まえつつ、 その歪みの中で生き、泳ぎ、金に変えていく殺し屋を 描く本作は当時もそして今でもユニークな作品である。 歪みを活かした裁定取引をやっているようなものか。


本作は国際情勢自体を描きたいのではなく、 そこに殺したい側と殺されたい側が生まれるような 歪みに着目しているからこそ、長続きするフレームとなっているのだろう。一歩引いた構造こそが本作の本質である。似たような他作品は概ね物語が主人公に肩入れしすぎている。本作でも一巻は意外とその傾向のかけらは見えるものの、物語の渦中にゴルゴ13を巻き込ませようとはしていない。依頼された状況のなかで仕事をこなしながら生き残るゴルゴ13の在り方を考えれば、物語の作り方はこの構造しかない。そしてそれを邁進したことで、稀有な作品となった。主人公の物語を描くだけでは到達し得ない領域の話がある。その実例が本作である。


【データ】
さいとう・たかを
ゴルゴ13
【発行元/発売元】紙書籍リイド社、デジタル版小学館 【レーベル】SPコミックス 【発行日】1973年6月21日発行、デジタル版2007年9月5日発行 ※電子版で購入: 1-50巻まとめ買いはこちら→[まとめ買い] ゴルゴ13 (1-50)
■評価→ A(絶品)
■購入:
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英国諜報部は大戦末期に莫大な偽札を隠匿した元ナチの親衛隊長を消すためにゴルゴを雇った。要塞化した城で待っていたものは!?表題作『ビッグ・セイフ作戦』他、3話(『デロスの咆哮』『バラと狼の倒錯』『色あせた紋章』)を収録。


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