【オススメ】 ウチヤマユージ/よろこびのうた


よろこびのうた (イブニングコミックス)

■【オススメ】 老々介護の無理心中事件を追った記者が知った 真実とは。 素晴らしき逸品。

古い火葬場から白骨化した焼死体が見つかる。 老々介護の末に心中したと見られ、 その報道はテレビでも取り上げられた。 「妻の介護生活に疲れた夫が将来を悲観しての覚悟の心中」 「火葬場で自ら火をつけて・・・ですか想像するだけでも 壮絶な最期ですね」「老老介護の問題を浮き彫りにするような事件ですね」それから半年後。若手の新聞記者である主人公は介護特集絡み でその事件のあった現地に取材に赴くことになる。


事件が大々的に報道されたことで、事件とは無縁な土地でもあり、 親族の申し出で報道されている以上の資料公開はしない ということになっている設定は、マスコミに対する皮肉である。 記者も親族の家に取材に行くと水をかけられ追い払われてしまう。 しかし彼は、路上に残る異様なタイヤ痕に気づく。そして気になる態度をとった子供。そこで警察に行くと行方不明となった男性の存在が。 それを踏まえて、記者は追い払われた家に再び赴き、尋ねると、 家に招き入れられる。


本作は、人間の尊厳を描く話ではあるが、老老介護について 独特なアプローチをとって描いた作品である。 痴呆症、というブラックボックスを使ったミステリ ともいえる。記者は真相を突き止める探偵でもある。 しかも無遠慮に。本作の場合、救いは、彼は切れはするが 無神経にバリバリ突き進むタイプのようには見えず、 また、この話の真相は明らかにするには障害が多いことである。 こうした背景のある話は世間で表に出ることはない、 逆にいえば世間に出ている話は話せないことのないこと、 あるいは話せないことは話さずにオミットして いるということでもある。まぁ実際そうだろう。


というメディアの話は正直どうでもよい。 記者を主人公にしたのは物語をスムーズに導くための 狂言回しとして適役だったからにすぎない。 本質は、田舎で起きた悲劇であり、しかし田舎だからこその 理想的な幸せな最期でもある。ただ、土地に還りたい、とする発想は 農耕民族ならではだろう。


良作だと聞き内容も朧気に耳にしていたが、 こんな構成の作品であるとは思わなかった。 ぐいっと引きこまれ一気に読んだ。これは傑作である。


【データ】
ウチヤマユージ
よろこびのうた
【発行元/発売元】講談社 【レーベル】イブニングKC 【発行日】2016(平成28)年7月1日第1刷発行 ※電子版で購入
■評価→ A(絶品)
■購入:
amazon→よろこびのうた (イブニングコミックス)
北陸の勝野市、田園地帯の集落で火葬場から老夫婦の焼死体が見つかる。警察は老老介護の末の心中と結論付ける。事件から半年後、東京で週刊誌記者をしている伊能は取材ため勝野市を訪れる。近隣住民の口は重く難航する取材のなか伊能は、地域の雑貨屋の駐車場に残る濃いタイヤ痕、焼死した夫婦が事件の半年前に車を買い替えたこと、挙動不審な小学生という三つの『不自然』に気付く。それは事件の深淵へ至る第一歩であった。


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