小林薫/後妻業の女


後妻業の女: (1) (ストーリーな女たち)

■ダークなサスペンス。面白いことは面白いのだが。

72歳の男性が再婚した。結婚相談所で紹介された相手は、 昔は美人だったようにみえるが地味な67歳の女性。 元看護師で料理も上手、パートも病院の仕事を続けている。 だが彼女は裏で義理の娘の悪口を夫に吹き込んでいた。


そして男性は風呂で溺死する。もちろんそれは、再婚した女性の仕業。 娘夫婦が死亡届を出す前に 銀行口座から金を引き出せるだけ引き出しつつ、表向きは演技を続けていた。 葬儀のあと遺言書が明らかになり、彼女は全ての遺産を相続する。


娘夫婦の相続分が0で遺言状は無効と訴える!と娘がいえば「公正証書遺言の効力は絶大です/裁判をしたところで勝てません」ってまぁそれは確かに無効にはできないだろうけど ・・・ええと遺留分って請求できますよね・・・なんていうか 細部が適当というか、全般に2時間サスペンスのノリの作品である。


食費削ってエステ、というシーンも、それ逆効果じゃね?と思うがそれ以前に食費削減してカップラーメン食べるという描写はどうなのか。絵として描きやすいのはわかる。でもこの主人公、料理上手なんでしょ?だったら普通に自炊したほうが安上がりだよね。そういう引っかかる描写が肝心なところで出てくるので話に乗りきれない。ちなみに題材も名前の似た小説やそれを原作にした同様の題名の映画もある が、本作は別にそのコミカライズというわけではないらしい。


題名にあるとおり、後妻を業として次々乗り換えていき お金を作ろうとする主人公。その目的が一等地にある高級介護施設に入るため、というのが予想外にせせこましい。なお結婚が金になると 思ったのは内縁の夫が交通事故で死に、保険金が手に入ったためという 展開もごく普通。普通でありリアリティがあるので説得力はあり 作品世界に読者を引き込む。 とはいえピカレスク・サスペンスと惹句にあるが、 不満に思った娘が彼女を追い続けるという展開があるので そこまでピカレスク感はない。 もっと突きつけたら作品評価もできたのだけれど。


【データ】
小林薫 (こばやしかおる)
後妻業の女
【発行元/発売元】ぶんか社 【レーベル】BUNKASHA COMICS 【発行日】2016(平成28)年5月1日発行 ※電子版で購入
■評価→ C(標準) ■続刊購入する?→★★★
■購入:
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父の再婚相手・久子(67歳)は、元看護師で料理上手。 しかし、その素顔は恐ろしい毒婦だった――!? 工藤恵美(めぐみ)は父の再婚相手・久子から父が風呂場で急死したとの知らせを受けた。 恵美も知らない父の7千万円という遺産は、いつのまにかすべて久子が相続するとの遺言状が残されていて………!? 現代、増えている高齢者の再婚・遺産相続問題に一石を投じる、ピカレスク・サスペンス!


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