【オススメ】 田口始/東京23区内に月1万5千円以下で住んでみた


東京23区内に月1万5千円以下で住んでみた

■【オススメ】題名で想像したのは体験ルポものだったが、 内容はそれとは違う自伝もので、しかしそれが面白かった。

コミティアで話題になった「上京物語」の 書籍化、という惹句の実録コミックエッセイ。


成績優秀だが人見知り、そんな彼が進学校を 卒業しながら大学などには進まず「僕はもう勉強したくないので/アルバイト でもしながら自由に生きていきます!」とドロップアウト。 勉強できるのに、というのがこの手の話としては意外。 とにかく実家を出たかった、ということで家庭の事情とも 思ったが、 台風が来るたびに 雨漏りする家とおさらばしたかったと書くのでさほど深い事情はない、のか?


都会に出てワンルームを借り、さて仕事と就職活動をするが、 これがことごとく引っかからず。ひきこもりそうなところで、 泊まり込み日給1万円のバイトの誘いが。 詳細も知らないままでそれはアウトなのでは?と思いきや、 テキヤのバイトで結果オーライ。それをきっかけに上京するが、 状況がかわり、しかし仕事は必要で今度は新聞配達員に。


そうして仕事を得ては邁進し、しかし境遇を鑑みて 転職先を探しては乗り換えていく。寮があるところを探し、 土地勘がないこともあるが勤務先はどこでもいいですと 答えるなど、バイタリティあるじゃないか、と思うお話。 しかし。好事魔多し。東京にはこんな待遇のよい仕事があるのか! と主人公が目を輝かせた職場は・・・ということで 一気に生活が暗転する。


面白いのは彼はそのやばい職場はすぐにバックレて 働いていないこと。でも彼は、そこで逃げたのでその後 窮地に陥ったと半ば後悔している。それも傍からみると面白い。 いや、逃げないとがんじがらめになっているので、 早々に逃げたのは正解だと思うけどなぁ。 機を見るに敏な人で、だから今の著者があるのではないかと思う。


著者が落ち着いた生活を送っている 現在から10代の自分に対して「おまえの話 笑い話になってるぞ!」と 描く眼差しが温かい。というかあとがきにある「とんでもない仕事」の 話も読みたいです。


【データ】
田口始 (たぐちはじめ)
東京23区内に月1万5千円以下で住んでみた
【初出情報】同人誌「上京物語」 【発行元/発売元】ぶんか社 【発行日】2016(平成28)年4月1日初版第1刷発行 ※紙書籍で購入 参考→上京物語 特別版
■評価→ A(絶品)
■購入:
amazon→東京23区内に月1万5千円以下で住んでみた

もしも、身ひとつで上京したらどんな生活が待っている? 九州から、住む場所も仕事も決めずに勢いだけで上京した作者が、実際に経験した日々を描いたコミックエッセイです。 新聞配達、露天商、焼き肉店など、さまざまな住み込みの仕事をへて、ついにはホームレスも経験!? 厳しいながらも楽しい住み込み生活を描いた、実録青春グラフィティ!! 創作系同人誌即売会「コミティア」で話題となった『上京物語』が、書籍になりました!


2015年のベストセレクションを含む年間オススメ



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