ネスミチサト/霧籠姫と魔法使い


霧籠姫と魔法使い(1)

■常人には決して手が届かないものを 求める人嫌いの魔法使いが出会ったのは、妖精。

霧にまぎれて立つ塔、その持ち主は偏屈な魔法使い。 人から離れ、今は猫の形のろうそく立てに 魔法をかけて従者にしている。彼が求めているのは、 誰もが欲しがるものではなく、金を払えば手に入れられるものでもない、 常人では届かないもの。久々に降りた街で、 くだらないものばかり、つまらない街だと思い去ろうとしたところ、 サーカス団の見世物であるという妖精に目を引きつけられる。


魔法使いが妖精をさらっていくお話。コレクション的な 意味だったが、生き物である妖精はモノとは違うことに 魔法使いは面食らう。妖精も、ホームシックにはなりつつも、 彼が今まで自分を扱ってきた人たちとは違うことに気づく。


魔法使いの話、というよりも、一巻の時点では、これは 妖精の話である。さらわれた相手に恋をする、という ストックホルム症候群的な内容か。一方で魔法使いについては、 おつきの蝋燭立てや、旧友が登場して彼を紹介することで 一見偏屈そうにみえるのが彼のキャラクターのすべてではないことを バランスよく描写している。


とはいえこの話は本質的には魔法使いが変わっていく内容であるべきなので、 今後の展開はその方面が重視されていくのだろう。 雰囲気のある作品に仕上がっている。塔が移動できるという設定は 上手いので、使いこなした話となればなお良し。 同発の2巻で完結なのは分量としても手頃。紙書籍は2014年5月発行。


【データ】
ネスミチサト
霧籠姫と魔法使い(きりかごひめとまほうつかい)
【発行元/発売元】講談社 【発行日】2015(平成27)年8月1日発行 ※電子版で購入
■評価→ C(標準) ■続刊購入する?→★★★★
■購入:
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森の奥深く、霧に包まれた塔で、引きこもって暮らす魔法使い・ネーベルハウト。彼はある日、見世物にされていた美しい妖精と出会い、無理やり自分のもとへと連れ去ってくる。妖精に『シュティ』と名付け、自分を主と呼ぶように命じるネーベルだが、シュティはまったく心を開かない。しかし不器用なネーベルの優しさに触れるうちに、少しずつ2人の距離は縮まってゆき……? 偏屈魔法使いと、意地っ張り妖精のラブファンタジー開幕!

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