【オススメ】 紫堂恭子/呪われた男


呪われた男 1 (プリンセス・コミックス)

■【オススメ】表紙のイメージとは違い、比較的軽い感じのファンタジー。

目的地に急ぎたい少年は、遠回りだと2週間かかる道を、 峠を越えて5日で行きたい、一緒に山越えをしてくれないか、 と道案内を頼むのだが、地元の者皆に断られてしまう。 そこで峠を下ってきた怪しげな男に同行をお願いすると、 嫌な顔をしながらも彼はついてきた。


実はこの同行を承諾した人物が主人公。コミュニケーション障害かのように 人と距離を置こうとしているが、それには事情があった。 彼は、呪いをかけられているのだった。


ダークでヘビーな話だが、語り口はコメディタッチ。主人公のペットにみえた かわいい犬が、邪悪な微笑みを浮かべながら人語を喋り、呪いの監視役の ような存在であることがわかる。主人公の呪いは、お願いごとをされると、 それを叶えるまでは逃れられないというもの。ただし、そうした主人公の認識は、 本質を掴んではいないらしい。


冒頭の少年は結局、主人公と旅を共にする。旅するバディものファンタジーだが、少年自身は、生計をたてたい、という至極現実的な目的しかなく 物語上では自由なポジションにいるというのがユニーク。 主人公が旅先でいろいろと願いをかけられて苦労する話だが、 その積み重ねに終始する内容ではない。 同じような小さなエピソードの繰り返しにとどまらず、 大きな物語もしっかり展開されるところに著者の話運びの上手さを実感する。


【データ】
紫堂恭子 (しどうきょうこ)
呪われた男 (のろわれたおとこ)
【初出情報】プリンセスGOLD(2014年〜2015年) 【発行元/発売元】秋田書店 【レーベル】PRINCESS COMICS 【発行日】2015(平成27)年5月25日初版発行 ※電子版で購入
■評価→ B(佳作) ■続刊購入する?→★★★★
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誰もが避ける通称“幽霊峠”。故郷への旅路を急ぐジャックはそこをどうしても通らなければならなくなる…。その道中、ブライクという素性の不明な男と出会うが、彼は大きな秘密を抱えていて…!? ワケあり美男のロード・ファンタジー開幕!!

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