【オススメ】 朔ユキ蔵/帰ってきたサチコさん

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帰ってきたサチコさん (flowers コミックス)

■【オススメ】濃度みっちりの短篇集。 お腹いっぱい、でも胃にもたれるかな。

5編収録の短篇集。 表題作は表紙のとおり、戦時を絡めたタイムスリップもの。 1943年から始まる話は、次のページでは2013年に飛ぶ。 そこではヒロインが10ヶ月ぶりに自宅に帰ってくる− が、彼女は実は10年間、別の世界で暮らしてきた後だった。


20歳だけれども向こうの世界で10年暮らして、 夫もいて、子供もいた。しかしそれでもこの世界に戻りたいと彼女は思った。 でも彼氏はすでに別の人と。だがそれもさほどショックではなかった。 何のために戻ってきたのか。そう思っていた彼女だが、 それはリングを繋げるためだった。


短編として上手い仕上がり、なのだけれど、これを短編でやるのは ちょいと窮屈で、習作のように見える。肉付けして 読み応えのある作品に仕上げて欲しかった。


「走れみつる」は皮肉な作品。夢をかなえたような、そうでないような、 微妙な内容である。とはいえ周りには恵まれているほうなのだろう。 史上最多規模でアイドルが存在する時代ならではの作品かもしれない。


続く「かりそめ」も良いファンタジー。これも夢の話か。 「心ここにあらざれば」は、民衆は適当であるし、 他国への干渉は所詮身勝手なものである、ということの裏返し。 皮肉な童話である。「劇的」は或る本を読むと身内に不幸が起こる、 というジンクスから手に取れなかった作品に絡んだ話。これも普通なら ジンクスが無になってメデタシのはずなのだが、 そういう筋書きにはしない。


・・・全部、皮肉なんだな。だけれども暗い話ではない。そこがミソだろう。 なので読後の感想はけっして悪くはないし、すべて良く出来た話なのだが、 一気に読むと、もたれる、疲れる。それはつまり、短編で終わらすには勿体無い 話が幾つかある、ということでもある。表題作は、その尺の短編で 描く内容ではないだろう。70年代の少女漫画にはありそうだが・・・。


【データ】
朔ユキ蔵 (さくゆきぞう)
帰ってきたサチコさん
【初出情報】月刊flowers(2013年〜2015年)、増刊flowers(2015年) 【発行元/発売元】小学館 【レーベル】flowers comics 【発行日】2015(平成27)年6月15日初版第1刷発行 ※電子版で購入
■評価→ A(絶品)
■購入:
amazon→帰ってきたサチコさん (flowers コミックス)

『ハクバノ王子サマ』『お慕い申し上げます』の朔ユキ蔵最新刊。予想外の展開とラストに衝撃が押し寄せる表題作ほか、さまざまなキャラクターや状況の「別れと再会」をテーマにした感動の短編集。

○収録作品 70年の時を越え、現代に戻ってきたサチコ。10年間暮らした過去との絆を鮮やかに描いた『帰ってきたサチコさん』、幼い頃の荒唐無稽な思い出が蘇る『かりそめ』、引退したアイドルへ憧れ続けた少女の半生『走れみつる』、国を捨てた父と残された者の思い『心ここにあらざれば』、ベストセラー小説と弟の最後の言葉『劇的』の5作品を収録。


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