山下和美/ランド

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ランド(1)

■因習が支配する社会に育った少女が、 村の外の世界を知る。

山に子を捨て、神に捧げる役割を担ってきた男は、 妻がその生命と引き換えに残した双子のうち 一方を凶相であるとして捨てることを迫られる。 それを拒めなかった彼は捨てる子に残す子と同じ名前をつけ、 そしてその帰り道、自分自身の目をついた。


しきたりが支配する世界の話。主人公は彼の娘で、 物怖じをしない子である。山に囲まれるこの世界で、 その向こうに人が住んでいるのか?と想像できる子供。 他の者は、山の向こうはあの世である、ということを 信じている。


人減らしが必要で因習に従う社会。しかしその中でも、 彼女が住むところは貧しい田舎で、豊かな都会があることを知る。 さらに、捨てられた子たちは生きている者もいて、 それらは別のコミュニティを作っていた。主人公の父の、 つまりは自分の父の命を狙って襲いに来たことで、 その存在が明らかになる。


そして物語は、そうしたそれまでの話がまだまだ小さいフレームの中の ものであったものを示すかのように、外の世界、みんなが言うところの 「あの世」を描写する。


これは現実世界の話なのかパラレルなのか、あるいは尾瀬あきらの「リュウ」 のような話なのか。と思わせる一品であり、巧いとは思うのだが、いかんせん、 持って回った展開で話が先に進まない。おんなじところをぐるぐる回るのが 山下和美作品に感じるもどかしさであり本作もその匂いがぷんぷんと。 自分に続きを読み切る自信がないためオススメはしませんが良作ではあると思います。


【データ】
山下和美 (やましたかずみ)
ランド
【発行元/発売元】講談社 【レーベル】モーニングKC 【発行日】2015(平成27)年4月1日発行 ※電子版で購入
■評価→ B(佳作) ■続刊購入する?→★★★
■購入:
amazon→ランド(1)
〜その村では人は必ず50歳で死を迎える〜。村人を縛るしきたり、「あの世」と呼ばれる山の向こう。双子の姉を生け贄に捧げられた少女・杏。獣の皮をかぶった役人達が取り仕切る「この世」と呼ばれる村で神に見守られて暮らす人々。そして、不思議な山の民。杏が見つめる先には希望も絶望もある。この物語で描くのは、山下和美が抱く、日本という国への不安。

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