銀灰のスピードスター(1) (ビッグコミックス)
■【オススメ】 真のクルマ好きと、 ニュートラルであることを描く。
ポルシェのスピードスター、それは、スピードを知る者、という意味である。 描く話は、そうしたクルマも扱うディーラー兼工場が舞台。 自動車整備学校あがりの少年が主人公である。
主人公はクルマ好きなので車種を問わず扱えるその現場が面白い。 ロードテストも出来るのはとても楽しい。 しかし、工場に毎年採用されるのは20人ほどいるにもかかわらず、 6ヶ月には半分退職、1年後に残るのは3人ほど。 仕事はキツイ。給料は安い。そこで、残る者も客を素人扱いしてバカにする。 なぜなら、自分たちのほしいクルマは、自分たちでは買えないから。
一方で主人公の尊敬する先輩は、客の趣味嗜好を否定せず、 それは後輩についてもそう。フラット、ニュートラルであり、 主人公は尊敬していた。そして主人公自身がまた、そういうフラットな 人物であるのだった。
そんな主人公は、付き合っていた彼女に去られ、先輩も去り、 先輩の彼女だったはずの人物は他の人と結婚した後、再び主人公の前に現れる。 後半にはカーチェイスあり。しかもそのチェイス相手と 仕事をする、という大人な展開である。
「偏見なくフラットな視点でいなければ、機会も人も本当は見えない」 「見えればわかるし、わかれば当然[その先]に行ける」
主人公は、その先に行けるのか。特に急ぐこともなく、 しかし先輩が去ってから止まっていた景色のなかで、 少し何かが変わり始めた今、彼は別の道を歩き始めた。 話が始まりそうなところで一巻が終わる。 続きが早く読みたい、と思わせる一作である。
【データ】
楠みちはる
(くすのきみちはる)
銀灰のスピードスター
(ぎんかいのすぴーどすたー)
【初出情報】週刊ビッグコミックスピリッツ
【発行元/発売元】小学館
【レーベル】ビッグ コミックス
【発行日】2014(平成26)年12月3日初版第1刷発行
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■評価→
A(絶品)
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輸入車販売・整備のショップ「トミサカオート」の若手メカニック・元木は、職場の先輩・吉村を目標にしていた。だが、吉村は整備車両試乗中の事故によって還らぬ人となってしまう。 敬愛する先輩を失い日常がくすんでしまった元木だが、吉村が手がけていた空冷ポルシェ911ターボが託された。 ポルシェに魅了され、元木の日々が少しずつ動き出していく… ドライビング漫画の金字塔、『湾岸MIDNIGHT 』最終章、待望の第1集!!
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