青木光恵/中学なんていらない。 不登校の娘が高校に合格するまで

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中学なんていらない。 不登校の娘が高校に合格するまで

■この素っ気ない丸めた描写は、確かに読みやすいが、 それで果たして良かったのか。

題名とくにサブタイトルどおりのエッセイ漫画である。 母は漫画家で父はライター・編集者である一家の娘 のお話。空気のやや読めない性格で、 裏表がない少女は、学校生活とのミスマッチが起こり、 しまいにはいじめにあって登校を拒否してしまう。


話の主題は、そんな娘も、学校に行かないまま、 高校に受かりました、なんとかなりました、 ということにある。なので、そこにフォーカスして、 ある程度さらっと描いている。著者の絵柄であるし 雰囲気も重く見えないので読みやすい。


が、いくつか疑問がある。まず、そんな娘を 題材にして描いていいのかいという、 まぁ他人が気にすることじゃないが最もな疑問である。 当人はまだ高校2年生。しかも高校でもクラスに馴染めないとか いじめに遭うとか・・・モデルにした漫画 描いている場合か。とはいえ中学のときとは違って、 学校に行く気はあるし塾は行くしバイトも始める。 学校とは別の世界がある点で、高校は中学と違うのだろう。


学校なんて行かなくてもいい!という話ならそう 高らかに描けばいいのに、という気がするが、 その点で親としては普通のラインに乗って欲しい と思ってしまう、エゴの部分を隠さず描いている のは誠実だなと思いはする。


しかし問題は学校の対応なので、しかしそこを掘ると 恨み事や個人的な話になってしまうから、と避けている。 確かに、家族にとってはそこに関わることは、 もはや何の意味もない。が、だったらこれ、 エッセイとして描くのではなくってフィクションに 仕立てあげるべきだったのではないか? というのが最大の疑問である。


著者自身で描くのではなく原作提供して、 モデルは想定できないようにして、 公立学校の機能不全を余すところなく描く 物語にすればいいのに、と思わないでもない。 教育をサービスして金をとるのは塾も 私立学校も公立学校も同じなのに、 なぜに公立学校は問題があるのか。 いじめた人間がきちんとその罪を負わないのか。 なぜいじめを行う人間に学校や社会は甘いのか。


まぁ、いじめが起こるのは閉鎖社会だからで、 そこから逃げ場がないから構造が硬直化しやすい。 学校という狭い世界、特に近所のコミュニティの 上に成り立つ公立学校はオンもオフもない地続きの 閉鎖社会である。そこでは、大人や他人や学校、 社会に違和感を覚える成熟した子供ほど、 住みづらいものである。 ちなみに違和感は当たり前。それを、 すりあわせていこうとすればやがて普通の凡人になり、 違和感を突き詰めていくとおそらく偉人もしくは変人に なるのだろう。日本社会ではなかなか後者の生き方はしづらいが。


なお、 ここでのいじめはちょっと特殊で、 どう考えてもいじめ主は精神的にオカシイので いずれ何らかトラブルを起こしそうなタイプだが、 しかし問題はそういういじめが起こった際に いじめる側を排除して事態を解消するという能力が 学校側にないことだろう。ガバナンスが機能していないのは 公立だからで、それでも作者は娘を公立高校に 入学させているというのが、悲しいというか、 それがお金の問題だというのも、 辛いというか、そこに一番の闇があるような気がする。


そんな話を全部ひっくるめてさらっと 描いてしまう著者の人間力は高い。 高すぎて物語としてはあっさりしすぎなんだよなぁ・・・。 漫画描くには良い人すぎるのでは・・・。


【データ】
青木光恵 (あおきみつえ)
中学なんていらない。 不登校の娘が高校に合格するまで
【発行元/発売元】KADOKAWA 【発行日】2014(平成26)年11月30日発行 ※電子版で購入
■評価→ B(佳作)
■購入:
amazon→中学なんていらない。 不登校の娘が高校に合格するまで

中学2年でいじめに遭い、不登校になってしまった娘。成績はオール1、学校の提示する選択肢は通信制高校のみ。中学の力を借りずに、家族が団結して合格を果たすまでをつづる実録コミックエッセイ!

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