村上もとか/フイチン再見!

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フイチン再見!(1) (ビッグコミックス)

■上田としこを描く伝記マンガ。

物語は昭和34年、小学2年生である僕の語りから始まる。 彼が少女雑誌で「フイチンさん」に出会ったところから、 作品と、作者である上田としこに話が及び、 その後は 上田としこ本人に主人公が変わって物語が展開していく。


既に売れっ子作家になっているところから話が始まっているのは、 話の前提を提示する上では上手な手だろう。 逆に、上田としこという人物の話である、という設定の狭さも 示すことでもあるが、それは題名からも明確であるし、 そういう話であることを冒頭に主人公の投影であろう少年 を狂言回しとすることで示しているので、 本作に関してはそうした作りの作品なのである、 と読者としては了解するほかない。


長谷川町子の名前も出てくるなど、 漫画史的に興味深い内容ではあるが、 逆に史実や実際の話はどうでも良いと思う向きには 全く向いていない作品ではある。 著者の上手さで煙にまかれてはいるが、 いまだ本格的には動き出さない主人公や、 史実をなぞるだけの話に、 著者の他作品に比べるともどかしさを感じなくもない。


このあと漫画家デビューや敗戦にまつわるゴタゴタなどあり、 また漫画家として成功することも確かなわけで、 2巻以降では急展開があることもわかっているので、 それを待てばいいのだろうが、 どうも乗りきれず、必要があれば完結時にでもまとめて読もうか、 と思った作品である。 それゆえ紹介を悩むうちに3巻までリリースされており→フイチン再見!(3) ビッグコミックス そして今月には4巻が出るという。


【データ】
村上もとか (むらかみもとか)
フイチン再見! (フイチンツァイチェン)
【初出情報】ビッグコミックオリジナル 2013年7号〜14号 【発行元/発売元】小学館 【レーベル】ビッグ コミックス 【発行日】2013(平成25)年10月5日初版第1刷発行 ※電子版で購入
■評価→ B(佳作) ■続刊購入する?→★★★
■購入:
amazon→フイチン再見!(1) (ビッグコミックス)
漫画家・上田としこ。1917年(大正六)生まれ、2008年(平成二〇)没。これは、まだ誰も歩いたことがなかった「女流漫画家」という道を拓いた一人の実在した「女」を主人公とした物語である。上田としこという一人の素っ頓狂な少女が、戦前の満州ハルピンの高く広い空に、想像の絵を思いうかべた時から、日本の、女の、「漫画の歴史」ははじまったともいえる。村上もとかが渾身の力を込めて描く、漫画の青い青い春。 待望の単行本第1巻!

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