2014年のベストセレクション

・2014年も一年間ありがとうございました。今年は配送待ちのロス・積み上がる本の山・移動時の利便性という点から電子版に重点を移しました。結果、読みきれないのは変わりないにしても物理的な邪魔さは解消、思い立った時に買えるし携帯性も向上、ということで個人的には嬉しい一年となりました。一方で、いまだ紙と同時発売でない作品が多いため新刊キャッチアップという点では遅れをとる部分も出ております。ここはもう割り切って、来年も電子版の利便性を追求することとします。本当は電子版の場合、紙のように1巻から積み重ねていくみたいなことにしないで良い売り方がある筈だと思いますが、まぁそんなことを仕掛けてくるのは既存の出版社以外でしょうかね。では、今年のベストセレクションです。来年もご愛読よろしくお願い致します。

1. 矢樹純、加藤山羊/あいの結婚相談所
あいの結婚相談所 1 (ビッグコミックス).jpg ■【オススメ】「弁護士のくず」と同じ文法で作る、結婚相談所を舞台とした物語。 結婚は、条件に基づく契約である、という理念のもと、成約率100%を誇る結婚相談所の話。確かに、そういうものかもしれない。そんな設定の割に、話自体はハートウォーミング寄り、ただし鼻につく臭さがない。
2. 田島列島/子供はわかってあげない
子供はわかってあげない(上).jpg ■【オススメ】 高校を舞台にした、のんびりとした青春コメディの 類かと思ったのだが。大人になるための階段をのぼる冒険ジュブナイルの 一種だった。 上下巻完結の上巻。爽やかなジュブナイル。絵柄や構図のためか、興奮と距離を置いた描写で、とよ田みのる作品に近いテイストだろうか。新興宗教を絡めてやばい話に行くのかとおもいきや案外そうでもないのねという拍子抜けも含め、力の抜け具合が良い雰囲気を醸し出している。
3. 野村宗弘/満月エンドロール
満月エンドロール(上).jpg ■【オススメ】スイートな話かと思っていたら、 ほろ苦どころか、苦すぎる。 こちらも上下巻完結の上巻。著者特有のほんわかした浮世離れした雰囲気ではじまるが、途中から雲行きが怪しくなり、要するにこれが走馬灯の話であることがわかる。しかも、暗い。暗すぎる・・・のだが、この絵柄だと呑み込めてしまう。
4. 柏木ハルコ/健康で文化的な最低限度の生活
健康で文化的な最低限度の生活(1) ビッグコミックス.jpg ■【オススメ】また今度は凄いところに行ったなぁ・・・。 生活保護の現場を描く物語。 福祉の生活課という現場を描く話、という点でその題材に注目されて語られることも多いと思うが、実際の状況は踏まえつつも、あくまでもこれがフィクションであることを忘れずに編集部も著者も物語を転がして欲しいと願う一作。
5. 細野不二彦/商人道
商人道(1) (ビッグコミックス).jpg ■【オススメ】タイトルのルビはどうしようもなくダサいが、 内容もそういうモードだしそれで良いのか。 現代の商社マンを描くお話。それも題材がシェールガスでしかも舞台が中国というところが今現在の問題意識と合致しつつ現実の先を行っており、現実を後追いしただけの、(それは松下をモデルにしていた以上仕方がないのだろうが)「島耕作」シリーズとは心意気が違う。一方、後追いなのに結果的に不正解となる方向へ堂々と導いてしまっていた島耕作シリーズと比べ、本作の場合はどう転ぼうと主人公たちの運命が変わるだけ、というところがなかなかに上手いというか人が悪い作りである。その分、どう展開していくのか分からない面白さあり。
6. あずみきし/死役所
死役所 1巻.jpg ■【オススメ】 捻りのある死後の話。 ただインパクトある表紙は読者候補を遠ざけてしまいそう。 死者が死後に訪れる役所、という設定で構築する物語。死者にはそれぞれ異なる理由があるので、多様な話になるところが上手い。「お客様は仏様ですから」なんてセリフも用意しているところもニクイ。
7. Cuvie/絢爛たるグランドセーヌ
絢爛たるグランドセーヌ 1 (チャンピオンREDコミックス).jpg ■【オススメ】まっとうなバレエ漫画。 至極真っ当なバレエを描く少女漫画。槇村さとる作品か、と思うぐらい。それが、この掲載誌で、この著者で描かれていることへの軽い衝撃。ベストテンに入れたのはその衝撃のせいではありますが、衝撃抜きでもオススメの仕上がりです。
8. 手原和憲/夕空のクライフイズム
夕空のクライフイズム(1) (ビッグコミックス).jpg ■【オススメ】著者の目の付け所はサッカー漫画でも同様に上手い。 前作「ミル」の化け猫話のほのぼのさが素敵だった著者の次作はサッカーもの。似合うのかといえば、先にサッカー短篇集も出ているように、サッカーの勘所を掴んでうまく物語に仕立てている。「おおきく振りかぶって」のサッカー版に近い内容。一方で一筋縄ではいかなそうな裏のエピソードもありそうななさそうな、という伏線を用意しているところが最も上手い点かもしれない。
9. 蛇蔵/決してマネしないでください。
決してマネしないでください。(1).jpg ■【オススメ】科学実験学習マンガのような 内容。詰め込み具合が素敵な一冊。 主人公が専攻している物理学とはあんまり関係がないような気もするが、科学の話が実験交えて語られるユニークな作品。理系同士のオタクなサークルの中の話ではなくて、そういうことと無縁な存在を話の輪のなかに投げ込んでいるところがミソ。そうでありながら、手加減しないで色々なネタを突っ込んで読み応えあるものにしている点は、いかにも文系には受けそうな仕上がり。
10. 秋★枝/Wizard's Soul〜恋の聖戦〜
Wizards Soul 1 〜恋の聖戦(ジハード)〜 (コミックフラッパー).jpg ■【オススメ】架空のカードゲームの戦いを描いた作品。 なんだかわからないハズなのに、これはハマる。オススメです。 カードゲームのルール自体ろくに説明されずどんなシロモノかわからないのだけれど、それでも何か面白いように見えるところが凄い。

【参考】
月間オススメ
2013年のベストセレクション 2013年のベストセレクション(全一巻本)
2012年のベストセレクション
2011年のベストセレクション
2010年のベストセレクション
2009年のベストセレクション
2008年のベストセレクション
2007年のベストセレクション
2006年のベストセレクション



search this site.

mobile

qrcode

selected entries

categories

profile

others

powered

無料ブログ作成サービス JUGEM