【オススメ】 津原泰水、近藤ようこ/五色の舟

五色の舟 (ビームコミックス).jpg
五色の舟 (ビームコミックス)

■【オススメ】傑作、奇作。

原作のある漫画を推す気にはあまりならないのだけれども、 この作品に関しては、そう言ってもいられないだろう。


太平洋戦争に入った時代を描く話。主人公である5人は特別な者たち、 見世物小屋で生計を立てる人物である。かつて歌舞伎の女形であって、 しかし脱疽で足を切ることになった者が父親として、擬似家族を築いている。 背が伸びなかったが力持ちの小さな巨人に、膝が逆についている女性、 腕がなく耳も聞こえないがしかし心が読めて足を器用に使う少年、 シャム双生児の片方の生き残り。


彼らが健気に生きていく話か、というと、そうでもない。 蔑ろにされているのかというと、そうでもない。戦時下だが、 生計の手段がないでもない。暮らしは別に困窮してもいなかった。


では話は、不具者の擬似家族の一瞬の煌めきを描くのか、というと、 そういうものでもない。この手の暗さを纏う幻想的な話に お誂え向きの材として、「くだん」が登場し、それによって 物語の展開は急激に流れを変える。


トリックスターとしての「件」により、未来が予知され、さらに、 パラレルな世界へと導かれる。これはSF、ファンタジーであったのか。 読み手は終盤で、よく知ったはずの歴史の、しかし決定的に違う 要素のある世界で綴られる話に、呆気にとられつつ、魅了される。 こうしたウルトラCがあるのか。原発ドームのない広島。 なるほど、これこそ、フィクションである。 耽美な終わり方をする、昔ながらの、しかし今どきは珍しい短編であり、 それを綺麗に漫画化したのは、見事という他はない。


【データ】
原作=津原泰水(つはらやすみ)、漫画=近藤ようこ (こんどうようこ)
五色の舟(ごしきのふね)
【初出情報】月刊コミックビーム 2013年8月号〜2014年3月号 【発行元/発売元】KADOKAWA 【レーベル】ビームコミックス 【発行日】2014(平成26)年3月24日発行 ※電子版で購入
■評価→ A(絶品)
■購入:
amazon→五色の舟 (ビームコミックス)

先の見えない戦時にありながら、見世物小屋の一座として糊口をしのぐ、異形の者たちの家族がいた。未来を言い当てるという怪物「くだん」を一座に加えようとする家族を待つ運命とはーー。津原泰水の傑作幻想短編を、近藤ようこが奇跡の漫画化。月刊コミックビーム2013年8月号〜2014年3月号に掲載の全8話を収録。カバー、あとがき(近藤氏、津原氏)は書き下ろし。

参考→ 11 eleven (河出文庫)W3(ワンダースリー)
 

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