芳崎様申し訳ありません。

初出情報を調べた所で書きなおすべきだったのを修正せぬままにアップしてしまいました。・・・何の話かと申しますと、 芳崎せいむ/風のゆくえ 天のめぐり に関してです。


理解できない設定、と思ったのは、時代を感じさせる設定、と思うべきでした。実際、さすがにオカシイ、と思い調べたところ1997年作品であることにたどり着いており、そこまで記したのだから本文も訂正すべきでした。1997年当時にパソコンを使えない雑誌記者がいても、それは十分、ありうる話です。


当時はテレホーダイ後ですがグーグル以前の時代で、当時の職場ではBYOD、自前のパソコンを持ち込んで使っているような状況で、ようやく事務所にパソコンが1台入って本社とつなごうか、という段階でした。メディアでは最先端のネット、パソコンを扱うべきで、そうしている人もいる反面、背を向ける人もいました。その状況を考えれば、パソコンを使える同僚と使えない主人公、という設定は、寧ろ上手な構図であったと思います。


ところで、小説は風俗から風化して読まれなくなる、ということを言われます。漫画でも同様でしょう。当時のメディアを扱っている本作は、そのメディアを扱った部分が、17年の間に風化してしまい、違和感を覚えさせたわけです。逆にいえば、それ以外の部分は風化しておらず、だからこそ普通に読めてしまい、かつ強烈な違和感に繋がったといえます。全体に古びていれば逆に、ああ、過去の作品なんだなぁ、と思ったはずなので。全体的に、今の芳崎せいむ氏の作品と、さほど雰囲気が変わらない、ということでもあります。


時の流れを越えるのは、風化しないものだと言われます。プロダクトでも、世間は最先端の流行を追いがちですが、実際に成功をおさめるのは枯れた技術を使ったものです。なぜなら、枯れている技術は安定しており、だからこそ、その安定の上に、新たな使い方を組み立てられるからです。小説も漫画も、風化しない作品は、同時代性とは離れた作品です。


本作の場合、「考古学」という、古びようがなさそうな題材を扱っています。そこに「メディア」の人間が絡むことで、古びる要素が出来てしまっています。しかし、元々の構造を考えると、この対立しそうな二者を持ちだしたことこそに意味があるのかも?と思えます。古きを知る考古学は、日進月歩であり、日々新しい発見と理論の創出があり、進化している。一方でメディアは先端を行きつつ、実際そういう同僚もおり、また消費者におもねればいいんだよ、と言いもするのだが、主人公はその中で、それは違うのでは、という立ち位置を取りつつある。その対比がひとつの見せ所、なのでしょう。


それが、作品発表当時はヴィヴィッドに機能したが、17年経った今読むと、実際に週刊誌が死に体であることから、メディア側のあり方がまったくもって古びて見えてしまい、対比として成立しなくなってしまいました。そういう宿命にあった作品といえるでしょう。


リサーチ能力のなさ、でいえば、国立国会図書館のあとは古書店のホームページ、という流れになっており、これは漫画としての展開としては自然ですが、考古学に強い大学とか、公立図書館とかっていうのが本当のところだと思います。そうなるとこの物語の展開に合わないですし、そもそも流れを考えると仕方がありませんが、当時の記者であれば、今よりも、リサーチ能力は長けていたはずで、その点で、この主人公はなんなんだろう?という思いは、時代の違いを別にしても否めないところではあります。


ところで。本作が1997年作品であることはアマゾンで調べてわかりました。つまり旧作再発と知らずに買いました。1990年代は私は映画と音楽に金と時間を使うのが殆どで漫画はさほど読んでいなかったために本作のことは存じ上げませんでした。紙の書籍であるならば、帯に再発の旨、記されてたのかもしれません。が、この電子書籍には、初出情報が記載されていません。奥付部分も、2014年発行とあり、マルシー表記も2014です。他の情報はありません。この点は版元さんにどうにかしていただきたいところであります。



コメント
この記事本文中の、リンク先が間違っているみたいですのでお知らせします。
時代設定以外の展開に関しましては、主観の問題ですし、17年も前の自分の作家性について語るのも個人的に違和感がありますのでお任せします。

奥付の発行年の表記につきましては、紙の発行物でもリニューアルだと最初の掲載年が表記されてないこともありますね。
私の想像ですが、出版社側ではあえて最初の発行年を具体的に表記しないことで、マニアではない若いライト読者の方に、古い作品だという印象を与えないようにしているのかもしれません。
happysadさんのような方は、それこそAmazonなどで確認が可能ですし。

ともあれ、ご購入および読了ありがとうございました。^^
何冊か拙作を読んでくださっておられるようでしたので、まさか「最新作」だと思われているとは正直全く思い至りませんでした。

今後も読んでいただこうとは思いませんが、自分なりに励んでまいりたいと思います。
今回はお騒がせして申し訳ありませんでした。
これからも記事がんばってくださいね。
  • 芳崎
  • 2014/06/05 8:14 AM
ご指摘ありがとうございます。リンクに余計なコードがついていたようで修正いたしました。感謝いたします。

1997年当時のPC環境を振り返ってみると、gooやinfoseekが出てきた頃でしたね・・・

出版社のやり方は正直どうかと思いますが、買う前に調べろ、ということなのでしょう。こういうブログをやっている身としてはレビュー記事を書く上で注意不足でした。

作家さんはご自身自体がブランドであるので、振りかかる火の粉は払うのが当然のことと存じます。当方としてもコメントいただいたおかげで修正することができ感謝しています。積極的に関与いただいたことは、寧ろありがたく感じております。

一巻本は基本的に購入していますので芳崎様の新刊が出た際には勿論喜んで購入させていただきます。今後もご活躍されることをお祈りしております。

  • happysad
  • 2014/06/05 11:24 PM
今回は自分にというより、そちらに火の粉がかかっていルのが気になってなんか飛び出してしまった感じです。
発表年を知っている人が読んだらあれ?と思うと思って。
かえって大事になってしまった感じで恐縮です。
  • 芳崎
  • 2014/06/06 6:09 AM
いえ、ご丁寧にありがとうございました。

1997年当時を振り返ると、自分はNECから東芝のダイナブックに乗り換えたころで、仕事場では各自が自前のパソコンを持ち込んでいました。個人のホームページやら掲示板やらに宣伝の告知をお願いしたり、メールマガジンを始めたり、といった時代。gooやinfosekkも出てきたころで検索コンテストなんてのもあったなぁと、思い出しました。
  • happysad
  • 2014/06/06 11:00 PM
手前味噌になってすみませんが、コミックスが出たのが97年、漫画の掲載が96年で、原稿自体は掲載よりも数ヶ月前倒しで書いていました。
私自身はネットを始めたのは97年ですが、この原稿を書いた頃はまだ何も知らず、弟にいろいろたずねたり、弟の友達のパソコン画面を撮影させてもらったりして作画しました。
そのへんが「俺の98!」と言うセリフに現れているかと思います。
happysadさんも色々とご存知のようで感動します。
これからもご指導ご鞭撻よろしくお願いいたします。^_^
  • 芳崎
  • 2014/06/07 5:38 AM
コメントありがとうございます。WINDOWSがブームになって、インターネットの時代に入りポータルサイトの競争が始まる過渡期でしたね。この前後でパソコンをめぐる環境はだいぶ変わったと思います。

題材もあり、他の部分は全く今読んでも違和感を覚えない分、時代によって変わったところと変わっていないところの差の大きさを感じました。

ご迷惑おかけしました。、
  • happysad
  • 2014/06/07 2:11 PM
こちらこそ大切なサイトのコメント欄を汚してしまい、申し訳ありません。
2009年に一度復刊される時に、確かに当該のPCネット関連の部分だけは、書き直そうかと思っていました。けれど、その頃ものすごく多忙だった事と、復刊というのは新規読者さんもさることながら「当時小学生の時に読んでいた」「中学生の時に連載を楽しみにしていた」という方がいらっしゃって、この漫画作品は、そういう感想をいただくことが多いものだったため、そこに加筆があると、かえってそういう方たちの「思い出」を突き放し、そちらの方向に「違和感」を感じさせることになってしまう、と危惧してあえてそのままにいたしました。
と言うわけで、happysadさんのご指摘は、適確だったかと思います。ありがとうございました。
レスは結構です。^^
  • 芳崎
  • 2014/06/08 10:06 AM
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