槇村さとる/ヒロインの条件

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ヒロインの条件 (クイーンズコミックスDIGITAL)

■槇村さとるは一巻完結となると寸詰まり感がある。

槇村さとるの長編作品には、独特のグルーヴ感がある。 構成にメリハリがあるのだが、それがパキパキしたものではなくて、 ゆるい流れの連続として表現されるのが特徴である。 何か急にイベントが起きてそれが物語の転機になる、 というのではなく、その前から流れは変わっている。


そういう性質の作品を描く作家なので、 短編ではあまり持ち味が出ない。尺が足らないので、 何か中途半端な、あるいは詰め込みすぎでとっちらかった 印象になる。数巻で終わる作品の場合は、ツマラナイということはないが、 面白く感じるものほど、論点が整理されている。 そのフォーカスされた論点から、話はあまりはみ出さない。 長く続くものの場合は、話がフォーカスされた枠を飛び出して広がっていく のだが、そこまで育たなかった、あるいは枠にはめこんだ場合には、 数巻でまとまる作品となる。


では一巻本の場合はどうか、というと、本作の場合、 短編ほどの不自由さはないものの、 長編ほどの広がりは持ちようがなく、 結果、寸詰まりな感があった。


フィギュアスケートの世界が舞台。 ただし、主人公はトップ選手だったが肝心なところで 失敗した過去を持つコーチ。そのときに、 コーチに見捨てられた、という思いがあって、 恩師とはぎくしゃくしている。 この設定は、スケートを描いた傑作佳作を持つ著者だからこそ 説得力を持つもので読み手は期待する。 が、話は、フィギュアをまったく知らないが スタッフとなっている男性を絡め、どこに向かうのか? と思わせる。さらに、才能ある初心者が入ってきたことで、 話が歪みはじめる。


その子が、昔、主人公のスケートを見てファンとなった、 という設定は良い。が、その後は、その子が主役となり、 主人公や、あるいは恩師の過去を彼女が背負う話となる。 それはさすがに話として歪みすぎているので、 その矯正のために、主役となった子供にしわ寄せがいく。 まぁ、これは妥当な展開であるのだが、 その後の調整は極端。そしていきなり時間が飛んで話を綺麗にまとめて終了。


うん、上手いのだけれども。描きたかったのは、 何だったのだろう。主人公である元選手で現コーチ、30歳のヒロイン の新たな人生、なのだと思うし、実際、そういう内容ではあるのだが、 それが、新しいヒロイン誕生という話にまとめられてしまうと、 うーん、それで良かったのだろうか? と思ってしまう。いや、上手い終わり方なのだ。それは確かなのだが。 良い話だけれど、主役はだれで、論点はどこ?というのがぶれているように見える。 「見捨てない」という話、なんだとは思うので、だからチームが同じママの結末は 綺麗に仕上がってはいるんだけど。


【データ】
槇村さとる (まきむらさとる)
ヒロインの条件
【発行元/発売元】集英社 【レーベル】SHUEISHA QUEEN'S COMICS DIGITAL 【発行日】2006年初版発行、2013年デジタル版発行 ※電子版で購入
■評価→ B(佳作)
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名門クラブでフィギュアのコーチをしているリサ。そんな彼女の前に、ズバ抜けた運動能力と物怖じしない滑りをみせる少女が現れ…。本格派フィギュアスケート・ストーリー!!

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