【オススメ】 竜田一人/ いちえふ 福島第一原子力発電所労働記

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いちえふ 福島第一原子力発電所労働記(1)

■【オススメ】事実は小説よりも奇なり、というが、 一方で、事実は報道よりも地味なものである。

原発事故のあった福島第一原子力発電所での、 災害後の始末に励む労働者の実態を描く漫画である。 実際に自身が入った現場をルポルタージュ的に描く。


とはいえセンセーショナルな描き方はしない。 煽ることはない。勿論、安全であるとは言わない。 が、その反対は、即危険であることを意味するものではない。 確かに特殊な仕事場であるが、その日常を 淡々と描く様は、他の作家やマスメディアには 薬とすべき者も多いのではないか。


ちなみに本作の本質は、原発事故自体もあるが、 第三話以降の話だろう。著者というか主人公が 福島第一原子力発電所にたどり着くまでの話が、 現代日本の職の構造を浮かび上がらせる。 住み込みの仕事はなし、職もなかなか紹介されない。 ようやく職にありついても仕事がなかなか来ない。 食や住の費用は引かれるが金になる仕事が無い。 そして仕事は孫請けの孫請けの更に、という状況で 間には何枚もの会社を挟む。結果、現場で働く人は 重労働であっても、いや、であるほど、 安い賃金となる。


とはいえ本作はそれに怒りをぶつけて我を忘れる 内容になったりはしない。淡々と描くのみである。 その後、何がどうなって今の、というか冒頭で 描かれた最前線の現場にたどり着くのかも、いずれ描かれるのだろう。


どうしてもこの手の題材は、演出を盛りたくなる。 その誘惑をどれだけ回避できるかで、作品の質が決まる。 冷静さや客観性が、本作の、題材以上に素晴らしい点である。


【データ】
竜田一人 (たつたかずと)
いちえふ 福島第一原子力発電所労働記
【発行元/発売元】講談社 【発行日】2014(平成26)年4月1日発行 ※電子版で購入
■評価→ A(絶品) ■続刊購入する?→★★★★★
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「メディアが報じない福島第一原発とそこで働く作業員の日常」、そして「この先何十年かかるともしれない廃炉作業の現実」を、あくまでも作業員の立場から描写。「この職場を福島の大地から消し去るその日まで」働き続ける作業員たちの日々を記録した、いま日本に暮らすすべての人たちに一度は読んでいただきたい「労働記」です。



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