Kindle連載:鈴木みそ「マスゴミ」


マスゴミ (Kindle 連載)

■【オススメ】定期的に届く。金額は当初支払額のみ。企画として画期的。

電子書籍は紙の書籍をそのままトレースするだけのものなのか。発展していくためには、紙から離れた発想も必要ではないか。という話かどうかは知らないが、Kindleが新たに仕掛けてきたのは、連載という形だった。・・・たとえば楽天が本当に市場を切り開く存在であれば彼らが仕掛けるべきはこういう新しいことであるのだが、あの会社はそういうことが全くできないところが失望され嫌われる理由である。労働集約的に、兵隊を働かせるという発想しかない、古いタイプの経営者のようだからなぁ・・・。それはそれとして。


楽天はどうでもいい。Kindleである。Kindle連載は、定期購読雑誌の電子化のように見える。が、実際は、単行本のプリセールである。単行本が出来上がる前に売る。作品は仕上がった回ごとに配信されたまっていく。最後には一冊の電子書籍となる。


著者というか発行者は、締め切りに追われることにはなるが、作品がすべて出来上がる前にリリースできる。そしてそこでカネになる。しかも、単行本としての収入全額が最初に入ってくる。消費者側は、最初に全額払う必要があり、未完成のものにカネを払うことにはなるが、その後の追加の費用はない。


毎回課金するシステムと違うメリット−発行側は最初にまとめて売上が立つ、消費者側は一度きりの課金で済むので総額がはっきりする、という、ビジネススキームである。で、マンガ自体はどうなのか?ということだが、本作の場合は、以前雑誌連載されたが休刊となり途絶した作品である。なので、実は旧作未刊行ものの電子版リリースにすぎない−いまのところは。なお雑誌というか元の出版社の名誉のために付け加えると、著者にはWEBサイトで連載継続のオファーがあり、そこまで丁寧に作品のことを編集サイドでは考えていたのだが、しかしその締め切りがあってないようなWEB連載に著者自身の気持ちがついていけなかった云々とあとがきに記されている。


表題作は週刊誌の雑誌記者である青年の話。女装にめざめつつある、という設定も用意し、ふだんは切り込めないところに女性の姿で切り込んでいく。エピソードがたまれば面白くなったろうが、4話で終了。2009年という時代性を考えれば先行していたのだろう内容もあるが、今読むとその感覚がないのが残念。逆にいえば、今、同じような先行した作品をKindle連載でできるなら斬新さは増したかもしれない。


あと2作短編を足して6作で380円。週63円也。高いか安いか、というとどうだろう。ページ数的にはやや割高なのかコレ?と考え始めると結構悩ましいが、380円という値付け自体は安く見える。


【データ】
鈴木みそ
マスゴミ 鈴木みそ短篇集
【初出情報】別冊プレイボーイ誌(集英社)で2009年10月から読み切り連載した「マスゴミ」4話と、「婚活クエスト」、コミックバンチ誌2006年12月号に描いた「マッスル!」の全6話。 フォーマット: Kindle版 ファイルサイズ: 20300 KB 出版社: 鈴木みそ (2013/10/25) 販売: Amazon Services International, Inc. 言語 日本語 ASIN: B00FWJSYCK
■評価→ B(佳作)
■購入: amazon→マスゴミ (Kindle 連載)

この本は「Kindle連載」の一部です。「Kindle連載」は連載形式で定期的にエピソードが配信されます。一度、ご購入いただきますと、追加料金なしで、最終号(最終エピソード)まで読むことができます。本連載は6回を想定しております。現在、4号まで配信されております。1週間毎に新しいエピソードが追加され、配信される予定です。

主人公のさえない雑誌記者は、女装をするときらびやかな美女に変身する才能を秘めていた! マスコミの衰退と電子化が進まない業界の問題をコミカルに指摘した問題作。 別冊プレイボーイ誌(集英社)で2009年10月から読み切り連載した「マスゴミ」4話と、「婚活クエスト」、コミックバンチ誌2006年12月号に描いた「マッスル!」の全6話。

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