「長い道」は「ボーダー」に似ている。 【オススメ】こうの史代/長い道


長い道 (アクションコミックス)
■巻数の少ない文芸的な作品ほど、実は、電子書籍に馴染むのではないかと思っている。しかし文芸的なマンガはあまり電子書籍化されていないような印象がある。そんな中、こうの史代さんの作品はそうでもなくて、電子版で手に入る。「長い道」も紙に比べるとお手頃な価格で入手可能である。

■3,4ページで1エピソードなので、すらすら読める作品は、昔のマンガのような雰囲気で、昭和チックな夫婦の関係は、たとえば、むんこ「だって愛してる 」に近いが、いや、実はこの話は昭和的でさえない。

■親同士が決めた結婚、女は従順というのとは違うがぼんやりしたタイプにも見え流されるのもわかるが、遊び好きな男も何故か受け入れる。この、愛していたわけではない二人が一緒になる、という構図は、今となっては異様に見えるかもしれないが、つい最近までは普通の話で、江戸時代の夫婦なんてものは多くそんなもんだったとも言う。結婚は、いい年したひとりもの同士がくっつくという、それだけの社会的なものであって、別に政略結婚というのでもない庶民の間でも、惚れた腫れたばかりではなかったことは、たとえば今だと落語の世界で垣間見られる。いま以上に世界の狭い時代で、恋愛の延長で結婚が決まるなんてのは、それは特例に決まっているわけで、今だって出会いがないとか結婚できないってのは、単に、社会が出会わせて結婚させる仕組みを失い、忘れてしまったからである。

■という話はともかく、そういう、よくわからない結婚をした二人は、当然相応の過去があり、実は妻のほうが深いものがある。とはいえ、それは、ちらりと見せるだけのことで、なんというか、よく見えない道さんのご家族のほうが闇は深そうな感じはするのだが、それはそれとして。飄々とした二人の結婚生活は、地に足のついた感がなくて面白い。さらにいえば、途中で妄想的に、金持ちになった話が挿入されることもあるのだけれど、狩撫麻礼+たなか亜希夫 「迷走王ボーダー 」に似ているのだった。「ボーダー」がどんな作品かは・・・ 「迷走王ボーダー」再読 を参照のこと。



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