【オススメ】 岡崎純平/ディアボロのスープ

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ディアボロのスープ(1) (講談社コミックス)

■【オススメ】大国に蹂躙された魔女の国、弱国の反撃なるか。

イラッとするが面白い物語。


辺境にある魔女の国が大国に攻め込まれる。食糧にも事欠き、魔女が魔法で栄養分を底上げしたスープが主食であるような国で、軍隊もなく、あっという間に蹂躙されてしまう。しかしそこで、10年前に悪人として収監された人物が、この緊急時に頼れる唯一の者として釈放される。


定番の戦争ものではある。大国が技術力でもって侵略し、魔法で成り立っていた国が蹂躙される。魔法と悪魔とで対峙するが、軍事力の前では勝負にならない。その絶対的な力の差を、戦略、戦術でひっくり返そうとする話である。


漫画としては、戦争ものながら魔女が戦力の中心なので画面は殆ど女性が占める。さらに悪魔と契約し魔物を出せるため絵的な変化もある。加えて物語の変数として、魔法と、囚人の知力による戦術とがある。たとえば「進撃の巨人」だと、人を喰う巨人と弱力の人類、という構図で話が進んでおり、そこには特に変数となる要素がないため、話を展開する際には何か違った事柄を投入していかねばならない、という追加の材料に依存することになる。一方、本作のように、設定である程度変動要素が秘められていれば、飛び道具に依存せずに自然な展開が可能になる。


魔女たちが素人な分、指揮する囚人が丁寧に戦い方を指示しており、戦争の戦略戦術もの、という要素も押し出せる。囚人の設定は少年漫画としてはかなり皮肉。国が攻められる危険を論じただけで危険思想として囚われ、10年の拘束で体力は奪われ視力も同様、その分聴覚は発達。さらにベストを求めるためにはセカンドベスト以下を切り捨てることを厭わない。こうしたどちらかといえばダークなヒーローの設定は、戦時の英雄は平時の英雄とは違う、ということを考えれば当然ではある。


どこに視点を置いて描き、あるいは読むのか、によって面白いかどうかは変わりそうだが、一巻を読む限りよく出来た構成だと思う。


【データ】
岡崎純平 (おかざきじゅんぺい)
ディアボロのスープ
【初出情報】別冊少年マガジン 2013年1月号〜4月号 【発行元/発売元】講談社 【レーベル】講談社コミックス マガジン KCM4858 【発行日】2013(平成25)年4月9日第1刷発行 【定価】429円+税
【掲載情報・次巻予告】この単行本の続きが4月9日発売の別冊少年マガジン5月号ですぐ読める、そうです。
■評価→ B(佳作) ■続刊購入する?→★★★★
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【紙の本】
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【公式サイト】

魔女が治める辺境の国、エダークス公国が突如、スペルビア帝国によって侵攻された。帝国の最新兵器と近代戦術を前に、戦争を知らない魔女と人民は次々と殺されていく‥‥。だがその最中、蹂躙される祖国を救う為、一人の重罪人が解き放たれた。この男と生き残った5人の魔女が、この国最後の希望。いま、殺戮が終わり、戦争が始まる!!
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■著者の作品@amazon→ 岡崎純平


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