【オススメ】 斎藤けん/ねじまき真野さん

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ねじまき真野さん (花とゆめCOMICS)

■【オススメ】胸をぎゅっと掴まれる表題作が、素晴らしい。そして表題作以外も、素晴らしい。 これぞ珠玉の短篇集。

せつない短篇集である。思春期ものは恋愛を扱うことが多いわけだが、この切り口は、そうはない。 素晴らしい。


表題作のヒロインは転校生。秋という時期でもあり、学校もイベントの最中で、結局、馴染めぬまま。しかし、それでもいい、と割り切っている強い女の子。それは過去の経験ゆえ。自分自身にスイッチを入れる、ねじの巻き方を、幼少時に覚えたから。そう割り切った家庭環境もある。


そんな彼女に絡んでくるのは、隣の席の男子。ちょっとした弱みを握られて、仕方なく一緒に行動している。傍から見れば付き合っているのか?とおもわれるのだが、そういうわけではない。しかし、彼女の中で、感情が変わっていく。


それだけだと普通の恋愛漫画である。いや、それでも、彼女の幼少時のトラウマ的なことから、ねじを自分で巻いていた彼女が、そのスイッチを切り、ねじがとんだと表現する、その状況に陥っているだけでも、十分思春期の甘酸っぱく切ない部分を切り取った作品として成立するだろう。


しかし、本作はもう一味ちがう。恋愛ものなので当然相手がいるわけで、それは隣の席の男子なわけだが、彼にもエピソードをもたせる。寧ろ彼のほうが主役であるかもしれない。短編の恋愛漫画は相手役のキャラクターまで描くと短編に収まり切らないので型にはまった人物に描きがちだが、この作品ではきちんと背景がある。


内容はケータイ小説が盛り込んでいそうなエピソードかもしれない。しかし、ケータイ小説と違うのは、そのエピソードが人物に厚みを与えており、キャラクターが自分自身に酔っている話になっていない点である。ヒーロー、ヒロインを気取るのではなく、悩み、もがいている。 オトナの階段を登りつつ、 自分の変化する気持ちとどう折り合いをつけていいのかわからない、思春期の難しさを描いている。そこが、切なく、甘酸っぱいのである。


ちなみに、構成のテクニックとしては、「ねじまき」の設定をした後、それが成立しなくなる条件を加えて、最後にねじがとんだとするまとめ方が、とても綺麗。まぁここを評価するのは、頭で作品を読んでいる感じもするが。


この表題作と対になる 「架空庭園」で背景を描き、そして 描きおろし「その後の真野さん」で話をくるっとまとめるという構成。 その後の2編は違う作品世界だが、そちらも出来が良い。


【データ】
斎藤けん (さいとうけん)
ねじまき真野さん
【初出情報】「ねじまき真野さん」ララ 平成23年2月号、「架空庭園」ララ 平成24年1月号、「薔薇とジルコニア」ララDX 平成21年11月号、「吐露」ララ 平成24年8月号増刊青ララ、「その後の真野さん」描きおろし 【発行元/発売元】白泉社 【レーベル】花とゆめCOMICS 【発行日】2013(平成25)年3月10日第1刷発行 【定価】400円+税
■評価→ A(絶品)
■購入
【紙の本】
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【電子書籍】

【公式サイト】
ねじまき真野さん|白泉社 ←試し読み可能
クラスで浮き気味の転校生・真野さん。自分の髪を結う(=ネジをまく)ことでマイペースを保ってきたが、隣の席の野田君に弱みを握られ、つきまとわれることに! 構われる理由が分からないまま、彼の不可解な行動に振り回されるうちに…? 他3編&描きおろし収録、斎藤けん傑作読切集。 2013年3月刊。
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