予告犯 1 (ヤングジャンプコミックス)
■【オススメ】インターネット上で予告のうえ犯行に及ぶ予告犯。 それは、底辺を見た男たちの、社会に対するテロ行為。
インターネットカフェから動画サイトに投稿する新聞紙をかぶった男。 そこでは犯行の予告があり、そして事件が実際に起こる。一方、 26歳の美人警部補が率いるサイバー犯罪対策課が新設され、 彼らがこの事件に当たる。
被害者は、予告もされていることもあり、わかっているので、 警察はまずそこに聞きこみをかける。彼らは、この事件では被害者ではあるが、ネット上なので炎上した経験のあるような人物ばかり。 目立ちたいだけの犯罪者かと思えば、どうやら単独犯ではないことが わかってくる。
というところで、視点が反転。時間が巻き戻り、過去へ。まずは主犯格、彼が派遣社員として使い捨てられた頃を描き、さらに、その後の、日雇い労働へと話が移る。そこで経験した過酷な労働。しかし仲間意識の芽生えた関係のよい部屋。その中に出稼ぎの外国人が。彼が体調を崩し、そのことを現場の監督に告げたが、人を人と思わない対応であり、結果、彼らはある行動に出る。
予告犯の実態と彼らの行動の理由が明らかになる一巻の展開は、読者を引き込む作りである。一方で、そういう理由の割りに、行なっている犯罪は随分としょぼいものではないか?との疑問もある。彼らの行動原理となっている、社会の理不尽さへの怒り、というものと微妙に結びつかない感じが気持ち悪くはあるのだが、とはいえ話として読ませるのは確か。
この先に、もっと、社会を変えたり、ひっくり返したりするような、 そんなことが描かれるのであれば、これは熱狂するのだが。 そんなところまで、足を踏み出して欲しい作品ではある。
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評価:B
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【データ】
筒井哲也 (つついてつや)
予告犯
【 予告犯 1 (ヤングジャンプコミックス) (amazon)/ 予告犯 1 (bk1) 】
■著者の作品レビュー
筒井哲也/予告犯
筒井哲也/マンホール
インターネット動画投稿サイトで犯行予告動画を投稿する謎の男。果たして予告された事件は起きるのか…!? 高度に情報化された現代のテロリズムを描く、緊迫のサスペンススリラー開幕!!予告犯/1| 筒井 哲也| ヤングジャンプコミックス|BOOKNAVI|集英社
【初出情報】ジャンプ改 平成23年Vol.2〜5、24年Vol.6〜8 【発行元/発売元】集英社 【レーベル】YOUNG JUMP COMICS X 【発行日】2012(平成24)年4月15日第1刷発行 【定価】600円+税