星野泰視/デラシネマ

デラシネマ(1) (モーニングKC)
デラシネマ(1) (モーニングKC)

■ 映画の世界で成り上がり、 そして映画を変えようとする青年の物語。

時代は昭和28年、舞台は京都太秦。撮影所に入った新人が二人。 ひとりは大部屋俳優、ひとりはフォースの助監督。 彼らが目指すのは、きれいなだけではない、リアリティのある映画。 そのために小道具を用意し、演技プランを考えるのだが。


若い気力で何かを変えようとする話。ただし、そこには実力も 伴わないとだめだという話をかぶせる。一方、映画を作っている側も、 実際にはできるしわかってもいる。そのなかで、つつがなく映画を送り出すことや、 いま観客が本当に求めているものはなんなのかを考えた上で出しているのだ、 として、そのすり合わせをしながら物語を進めているところはリアリティがある。


一方で、映画はこの後、斜陽になっていく。助監督から監督に上がれない状況となる。 独立してどうか、あるいはテレビにかじを切るか。その後沈んだ時代があるだけに、 明るい話となりうるのかどうか。


異質なものであることが自分のポジションを切り拓く ためには必要である。一方で、大人数で仕上げる映画は、一人ではどうにもならず、 改革するには力がいる。大人数で作るものだけに、いったん形が出来上がってしまうと、 それを崩すことは難しい。トップが新しく異質なものを生み出すことを志向していない限り、大会社のなかで異質なものは生まれてくることはない。 結果、ジリ貧になっていったのが日本映画界である。まぁ自主規制を行い、 権利を主張し他者を攻撃しはじめると、その会社や業界、文化は限界である。 日本経済が失速していく、その様を先取りしたのが日本映画界の姿である、 としてその事由を描くのであれば、意味もありそうだが。 それとも、今の邦画復興に重ねあわせて何か描こうとしているのか。


まぁそんなことを考えず、古きよき時代を舞台とした青春漫画として読めばいいのだろう。が、だったらテレビ界初期のほうが、より面白いと思うのだが。


評価:C
評価は、A:傑作、B:佳作、C:無印、D:薦めない

【データ】
星野泰視 (ほしのやすし)
デラシネマ
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■著者の他作品(過去記事)
星野泰視/弑逆契約者ファウスツ
さいふうめい、星野泰視/少年無宿シンクロウ
【帯】 漫画で、映画だ。 助監督×大部屋俳優 夢と野望が新たな「映画」を創り出す!

【裏表紙】 昭和28年。黄金時代の日本映画界で底辺からてっぺんを目指す2人の男がいた。 日映撮影所に所属する大部屋俳優の宮藤武晴とフォース助監督の風間俊一郎。 撮影所の伝統と慣習に阻まれながらも、2人は「作り物」ではない「リアル」な映画づくりを目指す!
掲載=モーニング 2011年1号〜10号

講談社
モーニングKC
2011(平成23)年4月22日第1刷発行
定価=543円+税



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