【オススメ】 漆原友紀/水域

水域(上) (アフタヌーンKC)
水域(上) (アフタヌーンKC)

■ 【オススメ】 少女は倒れ、この世にはない場所の夢を見る。

水不足で干からびる中、ヒロインの所属する部活は 水泳部なので夏だというのにプールに水を張れず、 活動といえばグラウンドを走るだけ。そこでやけを起こして 全力でかけ始めたヒロインだったが、彼女はふっと気を失ってしまう。


その時、彼女自身は記憶は途切れていない。そして、彼女は 別のところにいた。水不足の現実と違い、 川の中で泳ぐ自分。その気持よさを経験した彼女は、 家に返りその地を思うと、再びその地に。そこで少年に出会い、 更に歳の離れたその父親と逢う。しかしどこか見覚えがあるような 気がした。


過去と「夢」が交錯する物語。祖父母と母の記憶にある世界を、 知らない筈の娘が夢のなかで出会う。「夢」というよりも、 現世でないどこか、と言うのがより正確。このきっかけとなるのは、 渇水。ダムに沈んだ村、というのが物語の中軸となる。


なぜ少女があちら側に行ってしまうのか、という点は特に 説明できるものはないのだが、なんとなくでも、呼ばれていたでも、 まぁ別に良いのだろう。ニュースを見てまどろんだ程度の人も同じ夢の世界を 訪れるのだから、このあたりは突っ込むべきところではないのだろう。


ある種、タイムスリップものと同様で、現在と過去、さらに「夢」の世界という三つの時間軸で重層的に織り成す物語であるので、読み応えがある。 過去に関してもじっくり描いており、話は親子三代の、家族の心に澱のように残る「亡くなったモノ」を中心に展開されていく。


上下巻同時発売。


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評価:B
評価は、A:傑作、B:佳作、C:無印、D:薦めない

【データ】
漆原友紀 (うるしばらゆき)
水域 (すいいき)
【 アマゾンで購入 : 水域(上) (アフタヌーンKC) , ビーケーワンで購入 : 水域 上 アフタヌーンKC
【帯】中学3年の夏休み、少女は奇妙な旅に出る  酷暑を水先案内人に。『蟲師』 を経て漆原友紀が放つ最新作。 上巻・下巻同時刊行!

雨が降らない現実の街と、雨が降り続ける"夢の村"。 それらをつないだのは人々の想い、そして忘れ得ぬ記憶。 『水域』愛蔵版(上巻下巻 )も同時刊行、発売中!
掲載=月刊アフタヌーン 2010年1月号〜6月号

講談社
アフタヌーンKC
2011(平成23)年1月21日第1刷発行
定価=648円+税



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