1.
新川直司/さよならフットボール
:完結している作品は仕上がりも評価されて不利なこともあるのだが、この作品は一巻の時の期待通りに出来上がった。少女が少年とスポーツで伍していけるギリギリの時期を描く青春マンガ。この手の作品は一巻完結や上下巻ものでは多いのだが、ここまで小気味よい切り取り方で輝きをもった作品はそうはない。
2.
白井弓子/WOMBS
:異種を宿すことで能力が生まれる、という設定で、妊婦を軍事力に使うSF。物語と世界を共に構築する、アイディアのあるSFらしいSFであり、そのレベルの高さを評価したい。
3.
東村アキコ/主に泣いてます
:評価の高い作品が多い著者だがこのブログとしてオススメするのは本作。絶世の美女が美女すぎて周りも本人も不幸になる、という設定のもと綴られるコメディ。題名が一巻のオチという構成は単行本派の読者として高く評価するところ。
4.
道満晴明/ヴォイニッチホテル
:南の島を舞台にした、リゾートでラブコメでオカルトなお話。 色々な話をぶちこみつつ、さらっと描かれた一巻は、その危ういバランスでのまとまり具合が魅力。このまま進むのか、どこかで爆発するのか、しかし足掛け5年で一巻出版という分量なだけに続刊はいつ出るのか・・・。
5.
コージィ城倉/ももえのひっぷ
:このタイトルから想像する内容ではおそらくない、小さな町を舞台にした土建絡みのサスペンス。真相がどこにあるのかわからない、かなり本格的な内容で展開が楽しみ。
6.
金田一蓮十郎/ライアー×ライアー
:弟が姉に恋をする、という設定を、よくもまぁ練りあげて、面白いコメディにするものだと感心する。客観的にみれば別に恋愛したってよさそうな関係であるのに、色々と嘘をつくことで、それが雪だるま式に転がっててんやわんやになる様はコメディの真骨頂。
7.
青木幸子/王狩
:「ZOOKEEPER」で楽しませてもらった著者の新作は将棋もの。奨励会の少年少女たち複数を取り上げて描く話は、既存の棋界ものの名作に肩を並べる可能性を期待できる立ち上がり。
8.
佐藤マコト/轟けっ!鉄骨くん
:人の脳をコピーしたロボットを主人公とするコメディ。著者の絵柄を活かす題材で、アイディアが素晴らしい。暴走ぶりを愉しむ一品。
9.
岡崎武士/レッツ☆ラグーン
:無人島漂流ラブコメ、かと思ったらこれがSFに転化していく。「LOST」など海外ドラマで見たような内容ではあるが、きっちりつじつまのあった話はドラマではなかなかない。展開、結末次第ではより高い評価ともなりうる作品。
10.
本山理咲/ハッピーエンドではじめよう
:転生ものはよくあるが、死ぬ前の猶予期間を猫として過ごす、という設定はなかなかよく考えたアイディアある一品。
以下、ユニークな作品として
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ジャンダヴィッド・モルヴァン、藤原カムイ/LOVE SYNC DREAM
:アート系、ハイブラウなパロディSF。おしゃれなので、飾っておくのにも良い本。一家に一冊。
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東百道、片山ユキヲ/花もて語れ
:朗読を題材に漫画に仕立てたユニークな作品。そのテーマ設定を活かして、表現手法を色々と取り入れている意欲作。
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福井あしび/マコトの王者 (赤),(青)
:ボクシングマンガだが王者とチャレンジャーの中身が入れ替わってしまうという設定、それを二人の視点それぞれに赤と青で分けて並行して描いていくというアイディアは、なかなか実際にやろうとは思わない。その実践を評価したい。
一巻完結本では
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きら/心臓より高く
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ヤマシタトモコ/ドントクライ、ガール
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石田敦子/ひきこもり探偵 おにいちゃんとマコ
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真造圭伍/森山中教習所
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福満しげゆき/生活【完全版】
・
長崎尚志、きら/SQ【エスキュー】
がオススメ。
【参考】
→
マンガ一巻読破 | 2009年のベストセレクション
→
マンガ一巻読破 | 2008年のベストセレクション
→
マンガ一巻読破 | 2007年のベストセレクション
→
マンガ一巻読破 | 2006年のベストセレクション