【オススメ】 新川直司/さよならフットボール

さよならフットボール(1) (KCデラックス) [コミック]
さよならフットボール 1 (KCデラックス)

■ 【オススメ】 少女が男の子に体力で対抗できる最後の瞬間、 そのきらめきを描く青春サッカー漫画。

中学のサッカー部、男子にまじりボールを操り 華麗なドリブルですり抜けていく少女。 テクニックは抜群、しかし、監督は試合に出してはくれない。 でも彼女は試合にこだわる。特に今回は、昔一緒に遊び回り 自身を親分と呼んでいた少年が対戦相手。すっかり身長の 伸びた相手に、まだ自分が勝てるのだというところを 見せたかったのだ。


小学生のころは体格的に優位だった女の子が、 男子に追い抜かれていく中学生の頃を抜き出して 綴る話。スポーツ少女にとってはジレンマに陥る 時期だろう。対抗できる最後の瞬間に輝こうとする 少女を描く話である。


いきなりクライマックスのような展開は、 もっと落ち着いて描いたほうがいいように思うのだが、 『マガジン・イーノ』という雑誌では腰を据えた 描き方は許されないのだろうか。 唐突な始まり方は、トップスピードで走り出すのと同じで、 その勢いを持続するのは難しい。が、よくよく読むと、 巻末には次の2巻で完結と書いてある。内容的にも 長く続けられる話ではないので、これは適切。 2巻で走り抜けるのであれば、この演出は寧ろ逆にぴったり である。


少女の才能と努力、彼女の存在がチーム全体を引っ張っている ことは、監督もチームメイトも認めている。 が、フィジカルで差がある彼女は男子と共にプレーすれば どうしても負けてしまう、ケガの可能性だってあるだろう。 試合に出すわけにはいかない。とはいえそこで少女が引き下がってしまえば 話は終わりである。なのでもちろん彼女は試合に出ようとする。


そんな話の裏側では恋心も。ただし、ヒロインのではなく、その周辺、幼馴染の男子たち。彼女のことが好きな二人、それが、彼女が今気にしているのが対戦相手の学校にいるかつての幼馴染であることに嫉妬を抱きもしている。普通の話だと、女の子のほうがオトナで、男の子のほうがコドモなのだが、この物語は女の子でありたくない少女の話で彼女はサッカーのことしか頭にないため、少年たちのほうが彼女を優しく見守るという構図になっている。幼馴染ふたりが彼女のことを好きで、ふたりは互いの気持ちを知っており、という三角関係は、彼女が鈍感でありかつ少年たちが紳士であることで壊れることなく維持されている。そしてそれが通用するのは今だけだということも、少年たちはわかっている。いずれ壊れる関係までを描く余裕はないとは思うが、そうした展開もできる設定を持っている点で、話に深みが生まれている。


サッカー漫画としてきちんとプレーを描いている点も魅力的。サッカーを知らない人を相手にしていない作りだが、スポーツ漫画はそれでいいように思う。メジャースポーツの場合は特に、初心者視点など無視して物語を構築していいのではないか。一流の見事なプレーは綺麗で見ているものの目をひく。そうしたプレーの美しさを描けば、ルールなんてわからなくても興味をもち引き込まれるものだ。ノウハウ的なものも描く作品が多くなったいまのスポーツ漫画では、こういう割り切りも寧ろ必要なのではないか。


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【データ】
新川直司 (あらかわなおし)
さよならフットボール
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■著者の他作品(過去記事)
辻村深月、新川直司/冷たい校舎の時は止まる
【帯】 2010年最注目の青春ストーリー 少女が目指すのは、フットボールの頂点!

体格に勝る男子と混ざりながらも、少女の夢は色褪せない。誰よりも速く、誰よりも強く、誰よりも上手くなりたい−14歳。恩田希の青春は、加速する!!
掲載=マガジン・イーノ02〜05(月刊少年マガジン2009年7月号増刊〜2010年1月号増刊)

講談社
講談社コミックス
2010(平成22)年2月17日第1刷発行
定価=552円+税



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