佐木飛朗斗、東直輝/妖変ニーベルングの指環

妖変ニーベルングの指環 1 (少年チャンピオン・コミックス)
■ オペラをコミック化?しかも チャンピオンで?と思うが、 これが案外というか想像以上に嵌っている。
ワーグナーによる歌劇「ニーベルングの指環」を 下敷きに描く話はしかし過去ではなく未来が舞台。 世界の破壊、神々を名乗る異能の者と、 巨人たち、さらに地底にニーベルング族という異形の者を 配し、人類はマイノリティという世界 におけるファンタジーとして物語を始める。 主人公はジグルト。魔剣と共に 捨てられていたところを拾われ養われ成長した彼は、恐怖を 感じたいがために、戦闘の真っ只中に向かっていく。
父に赦され放たれた女神、主人公の覚醒を止めようとする魔女、 これらを絡めた話は主人公が自身の出自を自覚しないまま その好戦的な性格ゆえずんずんと突き進むという点で オリジナルの内容を超えてアクションとファンタジーの 色彩を強めている。絵柄の描き込みとスケール、 それも子ども向けではなくやや年齢層高め向けな内容ということで、 『週刊チャンピオン』掲載というのはハマった感あり。
話がどこに向かうのかは明かされておらず、 度々主人公以外の人物の視点が挿し込まれて話が揺らぐ点で ややふらついた演出ではあるが、下敷きとなる作品がある点で、 物語自体がふらつくことはないだろうし、 それを読者としても理解しているので不安になることはない。 オリジナルから変えている部分もあるが大筋を大きく 違えることはないだろう。なので話の流れは実は わかりきっている点で興味は部分的に失せるものの、 結末や大筋を知っているからとして人気が出ないわけではないのは 歴史ものを見てもわかるとおり。 ありものの話をベースにすると基礎がしっかりしているので、 話が大きく崩れることはない。
こうした、 ありもの、特に著作権を気にしなくて良いものを 下敷きにした「本歌取り」のような作品は、 芸術・文化の基本だろう。著作権だなんだで 無駄に厳しい時代のなか、 目の付けどころが上手い。
【データ】
原作=佐木飛朗斗(さきひろと)、漫画=東直輝 (あずまなおき)
妖変ニーベルングの指環 (ようへんにーべるんぐのゆびわ)
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■著者の他作品(過去記事)
佐木飛朗斗、東直輝/外天の夏
佐木飛朗斗、山田秋太郎/爆麗音−バクレオン−
【帯】 炸裂する激情の巨匠佐木飛朗斗と若き情熱のアーティスト東直輝が新たな解釈で伝説的オペラをコミック化!! 「恐怖を知らぬ愚か者」ジグルトと巨竜ファフナーとの激闘劇、竜殺しのジグルト編を完全収録!掲載=週刊少年チャンピオン
【裏表紙】 現代ファンタジーのルーツとも言える伝説的オペラを激情の筆致でコミック化!! 「恐怖を知らぬ愚か者」ジグルトと天より遣われし「戦乙女」ブリュートゥ、運命の出会いが神々・巨人・小人・人間を巻き込み壮大なる闘いの大楽劇の幕を上げる・・・。
秋田書店
SHONEN CHAMPION COMICS
2010(平成22)年2月20日初版発行
定価=400円+税











