井上堅二、まったくモー助、夢唄、葉賀ユイ/バカとテストと召喚獣

バカとテストと召喚獣 (1) (角川コミックス・エース 256-1)
バカとテストと召喚獣 (1) (角川コミックス・エース 256-1)

■ 学級対抗、召喚合戦!魔法学園的な内容を うまくずらした原作のアイデアはユニーク。

主人公の通う学校は、試験召喚システムという仕組みを取り込んだ実験校。テストの点数に応じた召喚獣を呼び出し戦うことのできるというもので、それを用いたクラス同士の対決、試験召喚戦争が行われるところだった。


魔法でありがちな召喚獣対決を、魔法力と関係なく行うことにしたところがユニークな作品。とはいえ学級対抗という形にしながら、その学級が能力別編成、試験結果に応じて召喚出来るという設定なのにそのクラスの編成が試験結果次第というのは学校の設計としては間違っているのだが、学級の設備待遇に差をつけるには能力順とするほかない。成績が低くても戦い方しだいで勝てる、という話ではあるのだが、その切り札が試験では実力を出せなかった人物という点で、このムリな設計を押し通すべく物語の都合に従って様々なことが配置されている感は強い。


そうしたムリに目くじらをたてるほどのことはないライトコメディではあるが、設定がややこしく今ひとつこなれていない点はやはり弱点だろう。 くだらないかけあいは面白いが、その場その場の構成は上手いものの全体を貫く大きな軸はない。一応、最上位のクラスと戦いそして勝つ、という目標はあるのだが、その目標を達成するまでのエピソードはクラス対抗召喚合戦しかなく、そのバリエーションは戦術の違いにすぎない。


恋愛要素も用意しているが、主人公が色々色気だっている割には淡白で、実は三角関係の頂点にいることを気付いていない。一方でカンのよい友人はわかっていて、そのことを読者にもきちんと提示している。もてそうにない人物が実はもてているという設定は、読者に対して夢を与えているのだろうか。 これはこれで構わないがしかしなんで女子ふたりが惹かれているのかがまるでわからないので、エピソードを転がしていくうえでの都合にしか今のところは見えない。


設定や人物が多くややこしいライトノベル的な話をマンガにした際に単行本一巻を魅力的にまとめあげるのはなかなか大変なようだ。面白くないことはないが、作品世界に引きずり込まれるような勢いを感じない。これは角川系の作品のほとんどに共通する弱点で、それは作品がテクニカルに組み立てられていることに理由があるのだろう。別に否定はしないし出来も悪いわけではないのでこれはこれで構わないと思うし実際楽しめもするのだが、小説+マンガ+アニメで展開するのが殆ど同じこのパターンで、先々を考えるとこれはあんまりよろしくはないのではないかという気がする。貶したいわけではないのだが、この手の作品は読んでいて何かもやっとしてすっきりしない。


【データ】
原作=井上堅二(いのうえけんじ)、漫画=まったくモー助・夢唄(まったくもーすけ・ゆめうた)、キャラクターデザイン=葉賀ユイ (はがゆい)
バカとテストと召喚獣 (ばかとてすととしょうかんじゅう)
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■著者の他作品(過去記事)
まったくモー助/極上生徒会
葉賀ユイ/ロッテのおもちゃ
【帯】 2010年1月6日よりテレビ東京ほかにてTVアニメ放送開始!!

【裏表紙】 クラス振り分け試験の結果、最低ランクFクラスに進級する事になった明久。教室の設備はボロボロ、クラスメイトはバカばっかりという劣悪な環境。やむを得ない事情でFクラスになってしまった優等生姫路瑞希のため、明久はAクラス相手に「試験召喚戦争」を提案するのだった!!青春エクスプロージョンラブコメ、コミックス第1巻!!
掲載=月刊少年エース 2009年6月号〜10月号

角川書店/角川グループパブリッシング
角川コミックス・エース
2009(平成21)年12月26日初版発行
定価=560円+税



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