【オススメ】 やまむらはじめ/天にひびき

天にひびき 1巻 (ヤングキングコミックス)
天にひびき 1巻 (ヤングキングコミックス)

■ 【オススメ】 昔聴いた音楽を追い求め、やがて迷ってしまった 少年は、仕方なく入った音大で、その音楽を奏でた張本人と再会する。

少年は幼なじみの女の子とオーケストラのリハーサルを 見ることに。女の子の父親はコンマスで、外国のオケに 声をかけられこれが退団公演。しかし久々に振るという 指揮者が空回りでなかなか先に進まずメンバーの 評価も散々。しかし休憩後、現れたのは、少年と同い年くらいの 女の子。指揮者の娘であった彼女がさっと手をあげ指揮 をとると、それにあわせてオーケストラは音楽を 奏で始めた。そしてそれは、不明瞭だった指揮者の棒と 違い、その思う音を明確に示した見事な指揮だった。


このときの音が忘れられず、追い求め、しかしそれゆえ 迷ってしまった少年は、ヴァイオリンしか結局取り柄がないことで、 他の道にも進めず消去法で音楽を続けることにして 音大に入学した。そんな彼の演奏は、恩師にも 心ここにあらずという感じだと言われる代物。 思い浮かべるものを追い求めるがゆえに、 土台を固め重ねることをすっとばして先ばかりを 追いかけていた。そんな彼が音大のコンパで、 指揮科に入ったかつての少女と再会する。


音楽の道で苦悩する物語。主人公が天才というわけでは ない設定はこの手の話としては珍しいかもしれない。 そして天才のライバルが存在するわけではない。 天才として設定されているのは、指揮者である。 指揮者ゆえに、自分の音楽を自身では奏でられないジレンマ、 そもそも自分の求める音楽と実際に出会えるのかもわからない、 という問題設定はユニークである。そうした設定をしているために、 音大生の指揮者という立ち位置では物語は転がらない。 プロ相手に奏でなければ指揮者の話は進まないので、 音大舞台の話では主人公というか狂言回しは 指揮者である彼女ではなく演奏者である少年のほうに 設定されている。


楽器を持つ手がどうこう姿勢がどうこう、という ことについて全く分からない者としては そのあたりの描写に無頓着なので引っかかる点もなく 面白く読めるのだが、マニアの視点は違うかもしれない。 一方物語は、目指すものが見えない、自分の現在の力量を 考えるとぼんやりとしてしまい目標もはっきりしない、 そんなモラトリアムな状態の青年を描くもので、 これは真っ当な青春物語である。諦念しているように 見えるが、そこに少女の再登場で火がつき、 何を目標としそして今は何をすべきか分かっていく話は、 同じく迷っている人にとっては共感できる内容だろう。 ムラッ気のある天才の苦悩であり、 だだっこがオトナになる話であった「のだめカンタービレ」 とは違い、向こう側の話ではなくこちら側の話である。


冒頭の幼なじみがその後出てこないが、これはいずれ 投入されるのだろう、その時彼女のポジションがどこであるのか、 それによって話の動き方が変わりそう。この人物を一巻の時点で再投入しなかった分、落ち着いた展開となっており、話を急がないこの立ち上がりは 好感が持てる。


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【データ】
やまむらはじめ
天にひびき (テンにひびき)
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■著者の他作品(過去記事)
やまむらはじめ/神様ドォルズ
【帯】 谷川史子先生からの応援イラスト収録!「ひたすら一歩一歩積み重ねてゆくしかないのだ」秋央くん、同感です。コメントBY谷川史子

【裏表紙】 久住秋央はヴァイオリンを習う少年。秋央は幼馴染の少女・迫田美月の父親がコンサートマスターを務めるコンサートの練習を見に来ていた。だが指揮者の曽成氏とオーケストラの息は全く合わず、休憩時に曽成氏は失踪。そこへ現れた少女が、父の代わりだといきなり指揮を振り始め・・・!?天才少女との鮮烈な出会い−そして秋央は成長し− 音を奏でる若者達の音楽青春ストーリー!
掲載=ヤングキングOURS 平成21年7月号〜12月号

少年画報社
YK OURS COMICS
2010(平成22)年1月11日初版発行
定価=571円+税



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