中道裕大/月の蛇 水滸伝異聞

月の蛇 1 (ゲッサン少年サンデーコミックス)
■ 水滸伝ものだが、この作品は 梁山泊をつぶそうとする少女の物語。
飯屋で働く少年は、 国を憂いて梁山泊のものたちに肩入れする 。そんな少年に、連中は元をただせば ゴロツキだ、裏じゃどうだかわからない、 と告げる客の青年。その言葉を信じない少年は、 別のところで、 梁山泊の一人が近くで殺され、 仇討ちのために下手人を探しまわっている とのうわさを聞く。 自分も梁山泊 に入れてもらうんだ、と思っていた彼だが、 お使いをすませ店に帰ってくると、 雇い主は殺され、姉は連れ去られようとしていた。 梁山泊の好漢が近くまで来ているんだ、 そんな行為は許されないぞ、と叫ぶ彼に、 悪党は自分たちがその梁山泊の好漢であると告げる。
梁山泊がイメージを作っただけの 悪党である、とする設定から展開する話は、 彼らに対抗する存在を用意し、そちらに 主役の座を割り振る。 実際に対決するのは、切れ味鋭い黒蛇矛を もった青年。彼はしかし強い相手と戦いたい、 という興味であって、相手に対する悪意は特にない。 なので、悪漢ではなく寧ろ好漢と称すべき 人物との戦いは嬉々として相手との素手の 殴り合いに応じ、止めをさすこともない。 が、その青年を使うものがあり、 この少女は梁山泊の壊滅を狙い、 遊びではないとして、 自ら刀でもち、止めをさす。
と、そんな話で、善と悪とをはっきりわけた、 勧善懲悪な物語である。 強いもの同士の闘いというのが前面に出てはいるが、 その裏に、恨みか宿命かに突き動かされる 少女の存在がある。この存在がある分、 単なるバトルものではなく重さをもった 物語となっているが、しかし、 飄々として超越している 青年の軽さの魅力が相殺されてしまった 面も。
【データ】
中道裕大 (なかみちひろお)
月の蛇 水滸伝異聞 (つきのへび すいこでんいぶん)
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■著者の他作品(過去記事)
浜中明、中道裕大/ハルノクニ
【帯】 完全超悪水滸伝!!掲載=ゲッサン 2009年6月号〜8月号、6月号別冊付録1
【裏表紙】 梁山泊は私がつぶす。この命に代えても−必ず。 中国−北宋末期。乱れた世に立ち上がった 百八人の豪傑・梁山泊に、単身挑む黒蛇矛の男と、 悲願に燃える一人の少女。アンチテーゼ水滸伝、 始動!
小学館
ゲッサン少年サンデーコミックス
2009(平成21)年11月17日初版第1刷発行
定価=438円+税











