竹内一郎、小川悦司/アストライアの天秤

アストライアの天秤
アストライアの天秤 1 (アフタヌーンKC)

■ 裁判員制度をネタにした作品がまた登場。

裁判員制度が始まることを見越してそれをテーマにした漫画が いくつか出てきているがこれもそうした一作。その際には 裁判ひとつで物語を締めるか、あるいは裁判官を主人公とするか、が 普通の考え方だと思うがこの作品は斜め上を行き、複数の裁判を取り上げながら主人公は裁判官ではない。しかし複数の裁判に関わることはできないわけで、 そのあたりの処理は力量が問われるわけだが、主人公の設定はあまりにもいい加減である。


主人公となるのは、著名な演出家だった人物である。が、そんな人物が「新劇 」の劇団の 「演出助手」で座長に頭が上がらない存在だったという過去の設定を読むと、なんだそりゃ、そんな人物が世間で有名になるかよ、留学時に有名になったらそんなところに戻るかいなと首をかしげる。まぁそこは重箱の隅としよう。裁判でとりあげられる事件が彼の人生をトレースしたようなものであるのも、まぁ読みきりであればありだろう。しかし、続くエピソードも同様に裁判員の人生とトレースする内容であるというのは、そりゃあ手抜きだろう。裁判や裁判員をダシに使って物語を組み立てているだけで、形だけ整えれば話が成立すると思っているように見える。 なお最初のエピソードの主人公は演劇に見切りをつけて漫画原作者に転職している。そして彼が旅先で次に裁判員になるひとと接触し親しくなる、という展開なのだが、よくよく考えてみれば、なんでこの主人公を引きずる必要があるのかさっぱりわからない。しかも話にうまく絡んでもこないのである。それでも物語が面白ければ気づかないし、見所があれば目をつぶるのだが。


サマヨイザクラ 」のようなチャレンジ精神はどこにもなく、キャッチーな題材をもとにありきたりの材料を重ねて物語に仕立てただけのテクニカルな作品である。原作者のダメな部分がまとめて出てしまったようだ。こんな話では絵が勿体無い。


【データ】
原作=竹内一郎 (たけうちいちろう)、 漫画=小川悦司 (おがわえつし)
アストライアの天秤 (あすとらいあのてんびん)
→ 【 アマゾンで購入 : アストライアの天秤 1 (アフタヌーンKC)
著者の他作品(過去記事)→ さいふうめい、星野泰視/少年無宿シンクロウ 小川悦司/幕末双雷伝 小川悦司/天使のフライパン
【帯】 協力タッグが挑む!超本格裁判員制度漫画!!裁きは、他人事ではない!
掲載=アフタヌーン2009年1月号、7月号、8月号

講談社
アフタヌーンKC 579
2009(平成21)年7月23日第1刷発行
定価=600円+税



search this site.

mobile

qrcode

selected entries

categories

profile

others

powered

無料ブログ作成サービス JUGEM