【オススメ】鬼頭莫宏、カエデミノル/ヨリシロトランク


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■【オススメ】ゲームチェンジャーにより、世界のルールが変わった。 殺された人は、加害者が殺されれば、この世に生き返ってくるのだった。 傑作。

17歳の少女が殺される。ストーカーの被害届も出していたのだが。 犯人がたとえ捕まり死刑になっても、娘は戻らない。 呆然とする父。そんな彼の前に、改変者、と名乗る存在が現れる。 世界の法則を変えると。本来あるべき姿に。それは、因果応報。 罪を犯した人間を罰すれば失われた人を取り戻すことができる。 「娘さんを殺めた人間を殺しなさい」「そうすれば娘さんは生き返ります」


警察より前に犯人を見つけられるかどうか。 そして犯人が死んだとしても自殺や自然死ではダメだという。 そもそも、こんなバカげた話を信じるかどうか。 しかし父親は、それに掛けてみることにする。


冒頭のエピソードを初めに、この世界では 事件事故による被害者としての死者は生き返ることになる。 人殺しを殺せば被害者は生き返る。しかしそうして 殺された人殺しも同様に生き返る可能性がある。人を殺した人には、 殺された人を蘇らせるために殺されるリスクが生じるのだった。 …それはまっとうなリスクであるようには思うが。


ハードな設定をいじったSF、いや、サイエンスではないかな・・・。 ひと一人殺しても死刑にならない、 殺された者の人権が生き残った者の人権より軽い、 というこの現代社会のバグを大胆に、しかし絶妙に扱った一品。 現実世界の司法は何故、犯罪者を排除するのではなくて 更生する方向でいろいろな仕組みを作ろうとしているのかが いまいちわからず、社会の秩序を守ることを大前提にしたら 納得しがたい状況にあるのだが、この辺どう分析しているのか 知りたいのだけれど…死刑の話をすると冤罪を持ち出す人が いますがそういう話ではなく、実際に殺人を実行している人が 精神状態だのなんだので罪を軽減される意味不明なルール についての説明ですね…そのあたりの矛盾をついた 設定となっているのが凄い。


さらに本作は、この設定を考えただけではない。 そこから踏み込んで、では、世界のルールがこう変わった場合、 人々はどう対応するか?さらに社会はどう変わるか?も考えたところにある。 ルールの特性を踏まえて、社会はそれをどう活用していくか。 複雑で、なんじゃこりゃ、と思い読み込む必要があったが、 なるほど、これは、すごいアイディアだ。それを誰が出したのかも含めて、 なかなかよく考えられている。


疑わしきは罰する、というルールはすごい。とりあえず容疑者を殺してみて 被害者が生き返れば実行犯なんだもの・・・でもこれ、共犯者がいる場合は バグるようだが。そして裁判を行うために、死刑にした容疑者を生き返らす。 つまり死刑執行人を殺す。じゃあその死刑執行人はどうするの? というとそこは受刑者から選ぶのだという。


そして、登場人物が何か提案を受けたと思うと、続く話は時代設定も 変わった内容に。しかしそこでも新ルールは共通していて、 なるほどそんな使い方をするのかという話になっている。 この話が巻末にあるとないとでは印象もかわるが、 しかしこのエピソードより前で一巻が終わっていても十分に傑作と 評価したとは思う。


【データ】
原作=鬼頭莫宏、漫画=カエデミノル
ヨリシロトランク
【発行元/発売元】 講談社 (2020/9/9) ※電子版で購入
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構想10年ーー『なるたる』『ぼくらの』の鬼頭莫宏が描く絶望と希望、そして切実な「祈り」の新・異世界物語。
ある日、世界は「改変者」と自らを名乗る少女によって新ルールに書き換えられた。殺した人間を殺せば、殺された人間が蘇る因果応報の世の中に。娘を生き返らせたい父親、身重の婚約者を救うために死ぬ男、罪を償いたいヤクザ…。死者への想いを抱えながら生きる者たちの暗闇と光の物語。


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