パンデミック懸念のなか、朱戸アオ作品を再読する。


パンデミック懸念のなか、朱戸アオ作品を再読する。「インハンド」が連載中でドラマ化もされた朱戸アオ氏。件の作品はバイオテロ的な話であるが、著者の他作品ではパンデミック、アウトブレイクについて深く掘り下げたものがある。


Final Phase」(一巻完結)はウイルス感染で都市封鎖、クラスター感染が描かれる。…今の新型コロナウイルスと同一視して不安や恐れを増幅してしまうと困るのだが、マスコミや野党議員の追及は現実どおりな感じ。とはいえ現場ではそれどころではないのでその辺りの外野にはほぼ触れられない。そして医療従事者が危険なのもまた現実のとおり。

なお作中でもパンデミックの例としてちらりと出てくるスペインかぜ。別にスペインが発生源でもなんでもなく、最初の流行が第一次世界大戦時で戦争当時国は情報統制していたので、中立国だったスペインで最初に報道されたから、ということらしい。全人口の3割が感染したとされ、高齢者は行き残った反面青年層で大量の死者が出たという。そしてこれは当時としては未知のウイルスだったが、今でいうA型インフルエンザである。


リウーを待ちながら」(全3巻)は過去にあった伝染病の蔓延。医療崩壊がどういうものかが描かれている。全数検査が何をもたらすかは、まぁマスクやトイレットペーパーの品切れ状況を見れば連想できるはずなのだけれど、有識者の中には1テーマでしか状況を把握できない方が多くいるようで…。本作は事件の起きている現場を描いていることから自分自身にとって最適な行動に走ろうとする人はいても、傍観者的な立ち位置から役に立たない話をする人物は出てこない。そして、有志の協力が得られている。現実では専門家が勝手に持論をぶちまけて混乱を招いているというところがなんとも…いや表に出ないところでまともな人達がまともに動いているのだと思うが。

両作品とも、最終的にはパンデミックは終結する。今までの現実もそうだった。今回の新型コロナウイルスは、このままであればただの悪性の風邪、新型インフルエンザの域を出ない。変性する恐れはあるが、それは防ぎようがない。そして、ウイルスを抑制することはできない。次の冬も流行することはほぼ確実である。その際にワクチンができていれば、インフルエンザと同様の扱いで良くなるだろう。

現状のコロナウイルスへの日本の対応は過剰すぎると思うが、とはいえどうするんだ!という無知の声に対してはある程度対策を打つ必要があり、かつ感染のピークを抑制するという目的と合わせると妥当なのだろう。全量調査を目指すのは統計学的にしか意味がなく、検査は従事者への感染リスクを高めるので医療崩壊に繋がる。まぁ今回はパンデミックとしては重篤患者も死亡者も少ない。本物のパンデミックに向けての予行演習と考えると良いのかもしれない。

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