【オススメ】 池田邦彦/国境のエミーリャ


国境のエミーリャ (1) (ゲッサン少年サンデーコミックス)

■【オススメ】東京が東西冷戦期のベルリン状態だったら、というパラレルワールドもの。焦点を絞って話を進めているところが上手い。

1960年代の日本が舞台。ただし、現実の日本ではない。敗戦後東西が分割占領されたパラレルワールド。東京より東はソ連統治、西は英米統治地区。そして東京は、北区文京区台東区および中央区の一部以東は東、以西は西と分断され壁が築かれていた。


そうしたハード面の仮想設定に従い展開されるのは東側を舞台にした話。19歳の笑わない少女が主人公。彼女は人民食堂で働いていたが実は彼女は西側への亡命を手助けする脱出請負人だった。


そこへ単身、人民警察の者が依頼を装いやってくる、というエピソードが第一話というフルスロットルで始まる物語。この出し惜しみないスピード感ある話の入り方は見事。


仮想世界ものは珍しくはないがハード面の構築を丁寧に行う必要があるので手間暇がかかる。まぁ本当はどんな作品でもそうなのだが、現実ベースだとなりで良いところをこの手の作品は全部シミュレーションしておく必要があるのでより手数がかかる。その分、きちんと手数をかけると作品は確実に佳作となる。タイムリープものに佳作が多いのと同様。


兄に関するエピソードは生真面目すぎ、親友に関するエピソードもウエットなところがあるが、それも1960年舞台の仮想世界ものでこの絵柄という点で非常に似合う。内容はハードボイルド。かつての劇画調なテイストをいま新作で描くのは一周まわって新しい。著者は良い鉱脈を発掘したのではないか。


一方で宣伝惹句が冒頭で「鉄道漫画の旗手」として著者を紹介しているのはミスディレクション招くかも…本作でも鉄道ネタが随所に出てくるのは著者が手掛けているがゆえのストロングポイントだとは思うが、鉄道もの期待して読む人向けの内容ではないし、著者紹介して読者呼び込む内容ではないので勿体ない売り方なのでは。なお監修の津久田重吾さんは「いまさらですがソ連邦」(ソ連・ロシア好き声優・上坂すみれさん絶賛!!)などの書物がある方ですね。


【データ】
池田邦彦、監修協力=津久田重吾
国境のエミーリャ
【発行元/発売元】 ※電子版で購入
■評価→ B(佳作) ■続刊購入する?→★★★★
■購入:
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鉄道漫画の旗手・池田邦彦が挑む新境地!!
『カレチ』『甲組の徹』『グランドステーション』など、 数多くの鉄道漫画を生み出してきた池田邦彦が 新たに挑むのは「仮想戦後活劇」!
物語の舞台は、太平洋戦争末期に本土決戦を経て 「1946年1月」に敗戦を迎えた日本。 ソ連を含む各国軍によって分割占領された日本は、 やがて「日本民主共和国」と「日本国」として独立。 それぞれが東西陣営に属する国家となり、 列島には鉄のカーテンが降ろされることとなる。
両国の境界には強固な壁が建設され、 国境の街となった東京は東西に分断されてしまう。
1962年の東トウキョウ。 押上で暮らす19歳の杉浦エミーリャは 十月革命駅(旧上野駅)の人民食堂で働く女性。 その彼女が持つもうひとつの顔、 それは東から西へ人々を逃がす脱出請負人としての顔。 若くして危険な橋を渡る彼女を待つ未来は果たして!?
“可能性としての東京”を舞台に、 壁の街で自分の道を模索する人々の物語、ここに開幕。


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