【オススメ】 七海仁、月子/Shrink〜精神科医ヨワイ〜


Shrink〜精神科医ヨワイ〜 1 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)

■【オススメ】 精神科医にまつわる話を真摯に描く。

雑誌編集者である女性は最近全然眠くならない。睡眠をとらなくても平気なタイプだと自認していたが電車に乗っていた際いきなり息苦しくなり倒れてしまった。そこに居合わせたのが精神科医。冷たい彼女の手を温めながら一緒に数字を数えながら呼吸してみると、彼女は少し楽になり落ち着いてきた。しかし会社に戻って会議に出たところ再び発作が出てしまう。救急車で運ばれたが特に異常はなし。今日だけで二回も発作があったと訴えると、医師からは精神科にかかってみることを勧められる。しかし彼女には抵抗があり、それでも不調が続いたことから、心療内科なら…と受診をしてみる。だが医師は自分を一度も見ないままに薬を処方。不安が募り、電車にも乗れない。そんな状態の駅のホームで彼女は再び件の精神科医を見つけ、すがりつく。


主人公は精神科医。ちょっとぬぼっとした風貌だが実はエリート、だが大学病院の研究職には戻らず開業医をしているという状況で、それには彼の過去の経験が関わっているらしい。そんな彼の目的は、患者の命を助けること。自分と出会った人は1人も絶対に死なせない、と誓っている。そんな彼のクリニックを舞台にした話。患者によりいろいろなケースが提示されていくことになる。


医療ものだが本作の場合、医者になどかかりたくない、という思想以上に、精神科にかかるのは嫌だとか問題があると思われるのではないかという障壁がある点をテーマの一つにしている。日本の精神病患者は30人に1人程度、アメリカでは3人に1人が精神疾患を持っていると。しかし日本の自殺率は先進国最悪レベル。アメリカではちょっとしたことで予約を入れて会う相手が精神科医。確かにウッディ・アレンの映画ではおなじみな風景。日本の場合、病院は「特別なところ」で、「そんなこと」で行くことではない、という発想は高齢者以外の大概の人がもっていて、特に精神科については余計にそうした意識がある。日本は隠れ精神病大国だと。そのことを前提に、主人公は行動をしている。


精神科はこころの症状を診るためのもの、心療内科はストレスなどで身体に不調がある人を診るためのもの。精神科には精神医療を専門に学んだ医師しかいないが、心療内科には様々な心療科出身の医師がいることがあり、一部には精神疾患に詳しくない医師もいるのが事実と。


その上で一巻で取り上げられるのは、パニック障害、微笑みうつ、大人の発達障害。巻末ん見は「困ったときの相談先」というページもあり、なるほど、と思いつつもあげられるのが全国保健所一覧、全国精神保健福祉センター一覧、全国いのちの電話一覧、それぞれのURLと、まぁそういうことにしかならないよな…。病院、医者に関しては、本当に、どこに行くのが良いのか、口コミやコネクションくらいしかないし、とはいえ患者はアマチュアでしかないのでプロの目から見てどうなのかはわからない、そのプロの視点での評価は出回らないし問題のある医師はネガティブな情報が出ると名誉毀損などで訴え圧力をかけたりするというのが現状でもあり…。その点でかかりつけ医を作れという国の方針は正しいっちゃあ正しいが、そのかかりつけ医でも専門外のことはコネクションもなかったりするので堂々巡り。本作の場合も最初の2エピソードは接点のある医師のところへ行くという展開なので、結局、その病院を選ぶきっかけがあるかどうかが重要なのかもしれない。


漫画は悩み困惑し焦る患者に対し、ゆったりと受ける医師という構図で、テーマや題材から当然だが上から高圧的に描く話ではなく、そして大抵の人が自身も経験しなくもないシチュエーションが提示されており、フィクションとして読みながらも現実に引きつけて考えられる内容となっている。


【データ】
原作=七海仁、漫画=月子
Shrink〜精神科医ヨワイ〜
【発行元/発売元】 集英社 (2020/1/17) ※電子版で購入
■評価→ B(佳作) ■続刊購入する?→★★★★
■購入:
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【雑誌掲載時の著者カラー原画を収録したリマスター版!】パニック障害、うつ病、発達障害――。隠れ精神病大国と呼ばれる日本は、その名の通り、精神病患者の数自体は、アメリカ等と比べると少ない。その一方で、自殺率は先進国の中でも最悪レベル。悩んでいても“精神科は特別なところ”という思いこみが、人々の足を遠のかせてしまう…。精神科医・弱井は、そんな日本の現状を変えていき、一人でも多くの“心”を救うべく、こう願う――。「僕はこの国に、もっと精神病患者が増えればいいと思っています」


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