多田由美/レッド・ベルベット


レッド・ベルベット(1) (ワイドKC)

■親や環境に左右される少年の話を、アメリカナイズされた舞台 で描く。映画を見ているかのような流れる構成は見事。

まだ幼い少年の母が亡くなる場面から話が始まる。父は母にまつわるものをすべて封印してしまう。一方で少年は母のケーキのレシピを探し求める。幼馴染の隣家の少年は、悪い連中の窃盗の手引きに使われている。母親は入院中で父親との仲は険悪。ただしそれが双方を思うがゆえの親子の葛藤、歪みでもある。


親子の関係がこじれるなか、治安がさして良くない環境に少年たちが左右される悲劇。それをアメリカ舞台で描く話。80年代から90年代にオシャレとして流行った、描く話は別にオシャレでもなんでもないのだが纏った空気感は確かにオシャレに見えた作品を今あらためて読むような感じ。こだわりのある題材で十年一日な作品を描くことは別に悪いことと思わない。とはいえ新しさは感じないが、古臭さを覚えることもないので別に良いのだろう。


映画のカット割のように一コマづつカメラワークが変わる構成は、流れができて読んでいて心地よい。テクニックとしては申し分なく、一方で話がどうしても明るくはない。あとがきを読めばそれはパーソナルでプライベートなことに表現したいことがあるからとわかる。あとは読者がそれを受け入れるかどうか。環境から抜け出せない子供の話、というのは切実な問題ではあるのだけれど、それをフィクションとして、漫画として読みたいかどうかはまた別の話。


【データ】
多田由美
レッド・ベルベット
【発行元/発売元】 講談社 (2019/4/23) ※電子版で購入
■評価→ C(標準) ■続刊購入する?→★★★
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amazon→ レッド・ベルベット(1) (ワイドKC)
多田由美史上最長の連載作、待望の単行本化!亡き母が残したケーキ店のレシピを集めるアール。窃盗団と関わり、抜け出すことのできないランディ。ロサンゼルスを舞台に、問題を抱えながら支え合い、明日に希望を求める二人。きっとなんとかなるよ。


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