【オススメ】 尾崎かおり/ラブレター


ラブレター (アフタヌーンコミックス)

■【オススメ】 物事は一面ではなく少なくとも表裏二面あり 実際は多面的である、という話。

電子版では切り出されて販売されている短編。 電子書籍の利点だろう。単行本では 「金のひつじ(3) (アフタヌーンKC)」 に併録されている。「金のひつじ」は、 もっと冒険の話になるのかと 思ったが、現実的な話で終わっちゃったな。 中途半端な話になっちゃたなという感があるが、 まぁまとまってはいた。


さて題名の作品だが、魂が神様の選んだカタログから 自分の生まれるべき物件を探すという話。 主人公は、十代のシングルマザーの子になることを選んだ。


話は賛否両論ありそうな内容。 ネグレクトを正当化するのか、という凡庸な批判も 出てきそう。ただ、亡くなった子の魂は、 実際、この話が描くようなものに近いんじゃないか、 とは思う。「あのまま大人になったら僕はいつか 彼女を憎むようになったかもしれません」というのが イイ線をついている。無償の愛を描いたら、 こんな話になるのだろう。それは結構なハードモードだ。


一方で、人間は平気で他人を批判する。 それは自分を安全地帯においているからだろう。 ただ、自分が非難されないところでしか人は他人を非難しない、という 話では案外なかったりする。 他人の嫌なところはたいてい、自分自身の嫌なところである。 他人を非難する人は、その非難している材料を 大抵は自分の身に抱えている。 それが顕現しないで済む場合に安心して非難しがちだが、 ブーメランのように返ってくることも多々ある。 自分がしていることの贖罪となると思い込んでいるような人も多い。


「人間たちは善と悪という幻想を作り出し自分たちを仕分けることにした」「みんな善の側に立とうと必死だ」と。 そうね。悪を非難していると自分が善の側で正しい側だと思えるのかもしれない。そんなわけはないのだが。やっていることは、他人を非難しているだけなので。それは善行でもなんでもない。


まぁそんな話ではなく、この話は、愛ってこういうものかもしれない、 理不尽だし融通は効かないし、取り返すことも不可能だが。 本当は取り返しがつかなくなる前に出会えたら一番だったのだろうけれども。


【データ】
尾崎かおり
ラブレター
【発行元/発売元】 講談社 (2019/4/23) ※電子版で購入
■評価→ B(佳作)
■購入:
amazon→ ラブレター (アフタヌーンコミックス)

『神様がうそをつく。』『金のひつじ』の尾崎かおりが贈る、母子の物語。生まれる前の魂の「僕」。神様に、誰の元に生まれたいかと問われ、僕は彼女を選んだ。彼女は魚沼麻子、17歳。家出中でスナックで働いている。彼女と僕は、僕の父の家で暮らし始めるが、そこでの生活は長くは続かなかった……。雑誌掲載後、大きな反響を呼んだ傑作読み切りを電子書籍化。※本作は「金のひつじ」3巻にも収録されています


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