矢島光/バトンの星


バトンの星 1 (ヤングジャンプコミックス)

■バトントワリング物語。面白くできていると思うのだけれど、 キャラクターがブレる人物を多くしたのは話の構成上向いているのかどうか。描きたいテーマはわかるが。

かつてバトンに打ち込んだが努力じゃ遺伝子に勝てないと観念したヒロイン。今は普通のOLをしているそろそろ三十路の彼女は、特になにもないプライベートの中で唯一、行きつけのサウナで女子大生たちから「主様」として崇められていた。恋愛経験がないからこそ適当なことを 言っているだけなのに。


…このサウナの主のエピソード、この話にいるのかな…本来ならそこをベースに話を回していきそうな要素なのだが、本作ではさしたる重みづけもなく、物語はタイトルどおり、バトントワリングの話に入っていく。バトンを持つ男子学生を見つけ、彼の練習演技に適切な指導をしたことで、高校生日本ナンバーワンである彼にコーチ役を指名される、という展開で、やっぱりサウナ話はいらんのだよな…。


バトンに関してはかなりしっかり。あとがきによると著者自身がバトントワリング経験者であり描きたい題材であったという。そこで、バトンの技と、それには素質が必要なこと、しかし一方でそうした大技ではない個性の即した特技を探し磨くことが重要なのではないかという考え、それを信じ来れなかったコーチ自身の後悔、と流石にテーマは深い。


一方で、キャラクターの描きかたが割と軽い。軽い、というか、ブレる。ぶれていないのはヒロインの同期でありバトン界のトップである男性だけ。この人物のキャラが立ちすぎており、それはどうなのか、特に一巻の段階では引っかかる。なので、一巻の時点で彼を出しすぎ。印象が全部持っていかれている。


わがままで傍若無人に見えた主人公の男子が案外素直だし、結構悩んでいるところは、丁寧に見えるがブレブレにも見える。絶対に欠かせない大技ができていない、ということに悩みがあるのはわかるが。まあ一番成長すべき人物なのでフラットキャラクターに設定するのはまずく、ラウンドキャラクターとするのは当然。ただ、この話はヒロインの話であるので、そうすると彼女の話をどう乗せていくのか、かが悩みどころ。ヒロインの成長譚とするのか、彼女の過去を男子に投影して果たせなかった道を進んでもらうだけなのか。しかし、ヒロインの成長譚とするのは荷が重くないか?


そして、バトン界で日本選手が上位に並ぶ、というのであれば、指導の形態はどうなっているのか。そもそも男子がアテにしていた指導者はどこへ?ある程度の学閥的なものはないのかしらん、そこにヒロインのようなブランクある人間が重宝される分野なの?など、頭に渦巻くものは多い。とはいえ、それらを丁寧に片付けると、単に題材だけが違い中身はよくあるスポーツもの作品に終わってしまう。なので、本作のような仕掛けをするほかないのもわかる。のだが、もやもやするのは、指導を受ける側はアクシデントで良いのだけれど、指導する側がアクシデントで引き受けることは普通ないからだろう。ちょっとチャレンジしすぎな題材だったように思う。


【データ】
矢島光
バトンの星
【発行元/発売元】集英社 (2019/2/19) ※電子版で購入
■評価→ C(標準) ■続刊購入する?→★★★
■購入:
amazon→バトンの星 1 (ヤングジャンプコミックス)

28歳OL、桐谷藍美(きりたにあいみ)、世界一をめざして男子高校生(コイツ)にバトントワリングをコーチする! #アラサ―OL #男子高校生 #バトントワリング #弟子と師匠 #共闘 #禁断の関係 #忘れられない好きだった人 #反抗期 #サウナ女子 #幸せとは #チューハイ大好き


■当サイトの月間オススメはこちらから


search this site.

mobile

qrcode

selected entries

categories

profile

others

powered

無料ブログ作成サービス JUGEM