【オススメ】漆原友紀/猫が西向きゃ


猫が西向きゃ(1) (アフタヌーンKC)

■【オススメ】不自然を描きながら、なるがままに任せるしかない、という観念を描く、ちょっとしたファンタジー。

ヒロインが市役所の紹介されたアルバイト先は、フローを処理する業者だった。


フローって何?という話だが、「空間の浮動化」だそうで「元々この世界のすべての物質は 絶えずゆらゆらとごく細かにゆれていて安定せずにあるもので ときにバランスを崩して形を変えることがある それを浮動化またはフローと呼ぶ」のだそうな。そして、そのフローの存在があたりまえの社会の話。本作は、そうしたわかりづらい話を、事態に対しては初見であるがある程度理解力のある人間を通して描くスタイルの作品である。


とはいえフローは異常事態であり、例えば三叉路が七叉路にまで分かれてしまう。 それがどれくらいで終わる規模感なのかを推計する、人力の場合は原因を突き止めるのがフロー処理業者のお仕事。それがわかるのは、匂いのようなもの、だそうで勘と感覚と、あとはお供にしているしゃちょうと呼ぶ猫のテンション。猫はフローが好きであるらしい。


物語はエピソードごとにフローが発生し、それが解決される流れ。探偵ものと同じである。違うのはフローというものがあまり深刻に描かれないこと、なのだが、ヒロインは自身がフローの影響を肉体的に受けている。ただそれを雇い主は、いずれ解決するから、人生の寄り道と考えて、と軽く受け流す。


そうして描かれるのは、いろいろな変化があっても、なるがままに任せるのが良いのではないか、というお話であり、その根幹となる思想と、 あとは空気感を楽しむ作品。あとがきでは作者は「現代もの風景まんが」を描きたかったようで、「カーブミラーやガードレースのさびとか細い路地とかコンクリートの汚れ具合とか現代の萌え風景もたくさん描けるまんがなんだよ!」とあり、なるほど、と思った次第。そういう漫画だそうだ。それを成立させるために、猫を投入した様子。


この作品が似たような作品と違う点は、この先どうするんだ、という時に、ヒロインの状況は解決させないといけない、という明確なテーマがあるところ。こうした設定をしていない作品は話を畳むことなく拡散して休止しがち。本作はきちんと設定されているので、そうしたことはなかろう点が安心できる。まぁゆるゆるなままの話でもいいのだけれど、そういう作品は続かないことが多いので…。


【データ】
漆原友紀
猫が西向きゃ
【発行元/発売元】講談社 (2019/2/22) ※電子版で購入
■評価→ B(佳作) ■続刊購入する?→★★★★★
■購入:
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漆原友紀(『蟲師』『水域』)の最新タイトルは、“フロー”と呼ばれる奇妙な自然現象を処理するフロー業者・ヒロタと、アルバイトの智万ちゃん(見ため12歳、実年齢35歳)、そして“しゃちょう”(猫)が贈るストレンジなお仕事活劇! 三叉路が七叉路に増殖してたり、物体のカドがぜんぶ丸くなってたり、鏡の中に鏡反転の世界が生まれてたり。そんな変な光景を見かけたら、それは“フロー”。自然もときどき間違えるのだ。


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