カルロ・ゼン、品佳直/売国機関


売国機関1 (BUNCH COMICS)

■実際に戦う者と、戦わざる者とのギャップを描く架空歴史もの。 前提が分かりづらいのが難点。

西と東を大国に挟まれた共和国。緩衝国とされていたが それが揺らいだがために両国の戦場とされ蹂躙された。 そして大国同士の手打ちにより終戦。かくして東西の 影響力を受けるなか、休戦なのか終戦なのか、 終の平和か束の間なのか、国民は様々な考えを持ち、 行動に移す。そんな混乱のなか、平和をすべての脅威から 死守する特務機関が物語の舞台として描かれる。


憎き敵国との安保条約を受け入れて何が自由か、 売国奴め、自由を!独立を!と訴えデモを起こす国民たち。 強制された平和でも、平和は平和。その平和を手に入れるために どれだけの犠牲を払ったのか。そもそもそんな独立を手に入れられる 力があるのか。ないからこその現状ではないのか。 そして反対を叫ぶ者は一体どう尽力しどう動き働いたのか。


かような認識の差を描写しつつ、本作が描くのは、 反動的な運動と通じる者たち、スパイの炙り出し。 誰がどのような思惑でどう国を食い物にしようとしているのか。 それを、百戦錬磨な上官のもとに、学校を首席で出たばかりで 新規に配属された新人を絡めることで多少読みやすく仕上げている。


とはいえ前提となる話が理解しづらい。冒頭数ページでざらっと 文字で説明されるだけなので、物語世界に没入するには時間がかかる。 ポーランドがモデルである、といわれてもまぁなかなか、 なるほど、とはならない。まぁアジアでも似たような環境はあるわけだが。話の本筋はそうした中で独立国として生きる小国は どうあるべきか、なので読んでいて分からないことはないのだが、 しかし両大国がどういうものなのか、がさっぱりなので 全体像が見えない。一巻はその状態で終わってしまうので、 靄がかかった印象が残る。まぁ漫画の単行本という形態が抱える 宿命か。


【データ】
原作=カルロ・ゼン、漫画=品佳直 (しなよしなお)
売国機関
【発行元/発売元】新潮社; B6版 (2019/2/9) ※電子版で購入
■評価→ C(標準) ■続刊購入する?→★★★★
■購入:
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チュファルテク合同共和国――。 戦争が終わった国家を舞台に、内なる暗闘が始まる。 ”愛国者”の敵は、いつだって”愛国者”だ。『幼女戦記』のカルロ・ゼン最新作!! これは、血と鉄で刻む戦後を抱きしめる物語――。


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