【オススメ】 那州雪絵/八百夜


八百夜(1) (ウィングス・コミックス)

■【オススメ】 不老不死の話芸人をトリックスターとした 千夜一夜系。 大枠の設定とより小さな枠の設定、 そしてそこに至るためのエピソードの作り方が上手い。

国の女性を殺しまくった残虐な王がいるという 小国。そこに訪れた旅の者。宿を、とお願いするが、 しかし旅人がこんなところに来るわけがない、 と警戒された挙げ句に銃撃を受け、跳弾で頭を撃ち抜かれてしまう。


主人公というか狂言回しとなるのはこの旅人。 冒頭で死んでしまったではないか、と思うと、彼は息を吹き返す。 不老不死の呪いを受けて、八百年を生きているのだと いう。確かに彼は殺されても死なない。彼が語る身の上話は、 竜宮城のエピソード。それは本当であるかどうかはわからない。 が、城内に首尾よく入った彼は、代替わりした幼き王様に 見出され、話を聞きたいとせがまれることになる。


旅人が経験してきた、のかどうかわからないが語る話は、 いわゆる童話寓話の類。その話で人の心を魅了し、癒やす。 一方で彼の目的はなにか。国の中枢の人物はそれを 他国の者の企みかと疑うが、死に目にあって、というか 死にはしないが死ぬほどの痛みは感じるために錯乱した 瞬間の彼は、そこでこの世の中の俯瞰した状況を伝えようとする。 つまりは世界の危機であるらしい。しかし何故それを そのまま伝えないのか?といえば、そんなものいきなり 理解されないからだろう。


よくある話、としても、 話の構造と運びかたが上手い。 どう組み立て、どう大きな話に広げるか。 そしてそれを、どこまで見せ、どこまで隠すか。 目先の話を面白く思わせつつ、 その先を面白そうだと匂わせて読者を誘う構成は、 プロフェッショナル。安心して不見転で買える 作家さんは貴重。


【データ】
那州雪絵 (なすゆきえ)
八百夜
【発行元/発売元】新書館 (2018/12/25) ※電子版で購入
■評価→ A(絶品) ■続刊購入する?→★★★★★
■購入:
amazon→ 八百夜(1) (ウィングス・コミックス)
トオワの国は、王が国中の女を虐殺したと噂される血塗られた国。そこにある日、謎の男がやってくる。山賊だと疑われた男は運悪く流れ弾に当たって死んだ。――が、なぜかほどなく生き返る。驚き騒ぐ人々の前で、飄々と男は自らを不老不死だと言い出し……。名手・那州雪絵が紡ぐ、新たなる物語の幕があがる――!!


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